平成13年第1回定例会(第7日目)

公的社会保障の将来増が不透明の中、リバース・モーゲージを提案する

◯4番(佐地茂人君) 21世紀の元年に、私もとうとう三十路という節目の年を迎えました。
(「おめでとうございます」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。物事に対するしっかりとした考え方を学んでいきたいと思っております。
30を迎え、さらに一層、ゴー・フォー・ブロック、壁を突き破れの精神を心がけ、何事にもチャレンジの気持ちを忘れず、
今後も皆様と議論を闘わせたいと思っております。
 では、通告に従いまして、初めにリバース・モーゲージに関しての質問をさせていただきます。
 超高齢社会を迎え、今後、老年人口、つまり65歳以上の方々はますます増加し、生産年齢人口が減少していくことは、皆様御承知のとおりでございます。
今後、老年人口を支える生産年齢人口が加速度的に少なくなり、年金、医療、介護などの社会保障システムの全体的な見直しは不可避の状況にあります。
社会保障制度の中核をなす公的年金については、まず基礎年金については、1999年の制度改正において財源を明示しないまま、
2004年までに国庫負担割合を3分の1から2分の1に引き上げるとされました。将来の増税は避けられないことから、若年世代に対しては、
将来の負担増や年金給付に対する不安を駆り立てています。
 企業年金については、厚生年金基金が確定給付型であり、予定利率をはるかに下回る運用金利のため、
利差損が発生しており企業負担で穴埋めできずに基金を解散せねばならなくなっている例も出てきております。
また、確定拠出型年金については、厚生労働省、財務省等がアメリカにならった個人のリスク管理による年金制度、
いわゆる日本版 401Kの導入について具体案を作成している段階であります。
 医療保険制度については、医療給付側の合理化を目指す薬価制度の見直しがまとまらず、また高齢者医療費はふえ続ける一方で、
加入者の人数や月収が伸び悩んでいるため、国保や多くの健保が経常赤字に陥っています。
 介護保険制度については、今後は利用者の増加が見込まれるであろうし、運営もさることながら、
まずは社会全体で介護するという意識の定着を制度導入とともに行っていかねばなりません。
 このような公的社会保障の将来増が不透明の状況の中、若年層は年金への不安、中高年齢層はリストラへの不安、
高齢者は将来への介護費用や生活への不安を感じ、手元に貯蓄などの金融資産を残して、予測できない老後に備える行動をとっています。
結果的に、国の経済においてキャッシュが回らない状況になっているわけであります。
 こうした中で、公的年金を補完する個人年金制度の充実等、新たな雇用の場の創出、在宅介護の充実等による、
いわば高齢者社会のセーフティーネットを個人の努力に待つ部分もありますが、行政としても構築していかねばなりません。
 そして、地方自治体は厳しい財政状況の中、急速に進む少子高齢化に対応するため、医療、保健、介護の強力な連携のもと、
多様な市民の要求にこたえるべく、さまざまな施策を充実させなくてはなりません。
 ここで、私はリバース・モーゲージという政策を、静岡市の福祉政策の選択肢の1つとして活用してみたらどうかと提案するものであります。
リバース・モーゲージというのは、高齢者が所有する住宅を担保に融資を受けて、これを老後資金として生活費に充て、そこに住み続け、
死亡時に住宅を売却して負債を返済する制度であり、資産はあっても現金収入が多くない高齢者の老後対策の1つとして、近年注目されている制度であります。
 先日の静岡新聞の記事によれば、資産を子供に残すより、自分の老後の生活のために使おうと考えている人が静岡県内で6割にも上るそうです。
また、国民の70%が生活に不安を抱え、不安の内容は老後の生活設計に集中しています。60歳で退職した人が奥さんと二人で平均寿命を生きようとすると、
その間に約6,000万円かかるそうで、平均的な厚生年金の支給を受けたとして 2,000万円近く不足するとのことであります。
この老後の生活に必要なお金は、現在では貯蓄を少しずつ取り崩すという形で賄っていますが、結果として世の中を回るキャッシュは少なく、経済にも影響が出ています。
 リバース・モーゲージを制度として導入することで、高齢者自身の資産、土地、ストックを、金融資産、現金、フローに変えることにより、
必要以上の貯蓄をなくすことができるのではないでしょうか。そして何よりも、計画的で自立した老後の生活設計が立てられ、
生き生きとした生活を送ることができるのではないでしょうか。また、清算後の土地の流動化効果も経済に大きく影響するのではないでしょうか。
 ここで質問をいたします。リバース・モーゲージについて、制度の研究や他都市の状況等について調査を行ったと思いますが、
この制度をどのように市として認識していますか。また、今後、静岡市として制度を導入する考えはありますか、お答えください。
 次に、公私立幼稚園の保育料の格差について質問します。
 前回、前々回の一般質問で、我が党会派の大橋議員、山田議員、また馬居議員、岩ケ谷議員など多くの議員により、
公私立幼稚園や幼児教育のあり方など議論されてきました。
 その結果、当局からは、1つ、幼保を大きく1つの幼児教育としてとらえた今後の幼児教育のあり方の研究、幼保のさらなる連携強化による、
幼保一元へ向けての取り組み。2つ目に、障害児への理解の重要性について。小学校入学前から、もっと意識を強めていくこと。
3つ目に、静岡市幼稚園教育振興計画に基づく、私立幼稚園の3歳児保育の開設。これらの方針が示されたところであり、私はこれを高く評価しております。
新しい方向へ試行錯誤しても、失敗を恐れることなく、ぜひともチャレンジする気持ちを持ち続けてほしいと思います。
 しかしながら、私としましては、公私間の保育料の格差について、なお当局のお考えをお伺いしたいと思います。前回も我が党の山田議員がお尋ねしましたが、
今回は財政的な観点から質問させていただきます。
 平成11年度現在の状況から申し上げてみますと、公立幼稚園9カ園、私立幼稚園39カ園、合わせて7,932名の幼稚園児がいて、
公私入園者の比率は、公立7%、私立93%は御承知のとおりでございます。入園金や月額の保育料を比較しますと、公立幼稚園入園金は2,350円で、
月額保育料が7,200円です。私立幼稚園入園金は平均で3万 4,885円で、月額保育料は平均で2万1,427円です。入園金の格差は3万2,000円余り、
月額保育料格差は1万4,000円余りであります。年額では、17万円余の差が生じます。
 そこで、公立、私立の保護者負担の格差是正を目的として、幼稚園就園奨励費補助制度がありますが、年収290万円以下の世帯で、
市民税非課税世帯を見ますと、公立の家庭では、第1子につき2万円の減免額で、保護者負担額は年間6万6,400円です。
私立の場合は、13万3,750円の減免額で、保護者負担額は年間12万3,374円です。年間の保護者負担額は5万6,974円の格差があります。
市民税所得割非課税世帯においては、年間の保護者負担額は8万8,924 円の格差があります。年収が上がるほど、その格差が大きくなることは否めないわけでありますが、
私は、この年間の保護者負担が多少の開きとは思えません。この公私立幼稚園間の保護者負担の格差に開きがあることについて、何が原因であると考えていますか。
当局のお考えをお答えください。
 さらに、公立幼稚園の幼稚園費5億 5,800万円から、保護者が支払う入園料と保育料の1年間分を足した金額に、
578名の園児の人数を掛けた金額を差し引いて運営費を計算すると、5億803万円余となります。
公立の幼稚園9カ園でおよそ5億円の運営費が必要であるということになります。
 私立幼稚園の運営費を、私が独自に計算した結果を申し上げますと、私立幼稚園に向けられる多種多様な県、市からの補助金を合算しますと、
まず市から受ける補助金が、1つ目に私立学校振興補助金1億454万3,260円と。2つ目に、幼稚園就園奨励費補助金2億9,867万5,400円。
そして県から受ける補助金を静岡市にある幼稚園が受ける金額として計算すると、私立学校経常費助成に10億6,802万1,420円、
日本私学学学校経常費助成に10億6,802万1,420円、日本私学学校振興共済事業団助成に1,821万2,500円、私立学校退職基金造成費助成に4,380万6,875円、
私立幼稚園協会預かり保育推進事業費助成に489万3,538円、私立幼稚園障害児教育事業費助成に1,824万3,076円です。
静岡県と静岡市の補助金の総額は、15億5,639万6,069円になります。そして、保護者が支払う入園料と、1年間分の保育料に7,354人の園児数を掛けると、
18億2,973万4,032円です。合わせて、私立幼稚園の39カ園で、33億8,613万101円が出費されており、
およそ34億円近くを39カ園で運営費として必要であるということになります。
 この計算に基づき、園児1人当たりにかかる金額を計算すると、公立幼稚園は園児1人当たり、年間87万9,000円余のお金がかかります。
私立幼稚園は46万円ほどの年間にお金がかかります。差し引き42万円ほどの格差が生じることになりますが、
この園児1人当たりにかかる年間の金額の開きに対して、その原因は何であって、意識としてどうとらえているのかお答えください。
 また、この公私立幼稚園間の格差を狭めるための方法としてどのようなことが考えられますか、お答えください。
 少しばかり話の観点を変えますが、前回、大橋議員が藤枝市の例を参考にお話ししておりました。藤枝市は歴史的背景の中で、
政策的に公立幼稚園が存在しません。結果として、藤枝市は私立幼稚園だけに任せるということになり、
市街地と中山間地域の人件費の格差を調整することも含めた、独自の私立運営費補助金を21園の所属する市の幼稚園協会に1億2,000万円程度の助成をしております。
これによって、藤枝市の私立幼稚園の月額の保育料は、平均1万5,000円です。静岡市の私立幼稚園、月額平均2万1,427円とは、約6,000円の差が生じます。
静岡市の方針として、公立、私立の共存ということには、現在の状況からは少なからずとも理解するところです。そして、
官も民もそれぞれに重要な役割を担っていることは、前回の答弁で承知しています。しかし、今後は各地方自治体において、
少子化や保育の社会化に合わせた独自の幼児教育、保育の環境整備が求められていくことと思います。公立幼稚園の入園料及び保育料もしかり、
独自の料金設定をしてもおかしくはないと思います。
 そこで、総務省の地方財政計画に基づく料金改定の意義と必要性について本市はどのように考えているか、お答えください。
 また、中核市の中で豊田市が9,100円という月額の保育料を設定しておりますが、今後本市としても格差是正を踏まえた独自の金額を設定していく考えはないか、
お尋ねします。
 以上で1回目の質問とさせていただきます。


56 : ◯総務部長(亀山博史君)
◯総務部長(亀山博史君) お答えをいたします。
 まず、リバース・モーゲージについての認識ですが、この制度は担保物件となる自分の家に住み続けることができることが特徴で、
平成11年度の調査では、全国で17団体が実施しております。
 実施方法としては、武蔵野市のように自治体が直接貸し付けを行う方式と、自治体が金融機関をあっせんし、
利子分の無利子貸し付けを行う間接融資の2つの方式がありますが、ほとんどの団体が間接融資の方式をとっております。
長寿化が進み、高齢者が長い老後を、住みなれた地域で安心して暮らせるよう行政が支援していく上で、この制度も選択肢の1つであると考えております。
 次に、この制度を導入する考えはないかということでございますが、実施団体の状況を見ますと、最近では、土地価格の下落等による資産の担保能力の低下や、
法定相続人全員の同意が必要であることなど法的な課題から利用実績が少なく、余り機能していないというのが現状であります。
また、制度の導入を検討している団体でも、金融機関との調整が難航し、なかなか立ち上げられないといった例も聞いております。
 したがいまして、現在の社会経済情勢のもとでは、本市がリバース・モーゲージ制度を導入することは難しいと判断しておりますが、
今後地価が安定して担保能力が維持され、市民の需要もあると確認できれば、実施について検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。


57 : ◯教育部長(藤田勝也君)
◯教育部長(藤田勝也君) 公立・私立幼稚園間の保育料の格差についての5点にお答え申し上げます。
 まず、公立・私立幼稚園の保護者負担の格差に開きがあることについて、何が原因であるかとの御質問でございますが、
市立幼稚園は地方財政計画の指針や近隣市町、同規模都市の状況を踏まえ保育料を設定しておりますが、私立幼稚園はその経営規模等による運営経費から割り出し、
保育料を設定していると伺っております。
 また、設立の経緯や運営形態の違いも、保育料設定の要因の1つとなっており、これらのことから、差が生じているものと考えております。
 2点目の、幼児1人当たりにかかる年間の金額の開きに対して、その原因は何であって意識としてどうとらえているのかについてでありますが、
幼児1人当たりにかかる年間経費は、各幼稚園の園児の数、教職員の数、年齢構成及び給与形態、教育内容や教材の差異など、
経営形態の違い等から生じているものと考えられますので、金額の開きはやむを得ないものと考えております。
 3点目の、公立・私立幼稚園間の格差を狭めるための方法と対策はとのお尋ねでございますが、公私立幼稚園間の保育料、
幼児1人当たりにかかる経費に差異があることは認識しているところでございますが、この差異につきましては、設立の経緯、
運営の違い等から生じているものと考えられ、差異をなくすことは困難ではありますが、多少の縮減につきましては、今後検討してまいりたいと考えております。
 4点目の、総務省の地方財政計画に基づく料金改定の意義と必要性についてでございますが、総務省の地方財政計画による提示は、
健全な地方財政の維持を図るための1つの指針であり、社会情勢の変化等を加味して示されるものであるため、
他都市の例を見ましても、地方財政計画による提示を1つのよりどころとして、保育料等の改定を行っております。
 市の健全な財政を維持するためにも、地方財政計画の提示により、料金改定を行うことは必要であると考えております。
 最後の、豊田市が9,100円と高い保育料を設定しているが、今後本市として格差是正を踏まえた独自の金額を設定していく考えはとのお尋ねにお答え申し上げます。
 地方財政計画に示される保育料の確保は、標準額であり、金額や上げ幅につきましては、各市町の状況により独自に設定することは可能であります。
本市におきましても、全国の中核市、近隣の市町などの例を参考として保育料を設定しており、今後もこの考え方を踏まえて料金を設定してまいりたいと考えております。
 以上でございます。


58 : ◯4番(佐地茂人君)
◯4番(佐地茂人君) やっと落ち着きました。いきましょう。
 御答弁をいただきましてありがとうございます。寂しい御答弁ではございましたが、全く私の先々を見る考えを、
また皆さんと今後検討を闘わせていきたいと思っております。
 2回目は、意見と要望を申し上げます。
 まず、リバース・モーゲージについてであります。
 日本では、20年前の1981年に初めて武蔵野市が導入に踏み切りました。以降、自治体や信託銀行等で、同制度を採用する動きが見られました。
時代の背景として、日本の経済の急成長と、土地、不動産の価格が上がったバブル時代を迎えるということがありました。
そして、制度の問題点として、利用者が想像以上に長生きした場合や、先ほど当局が指摘いたしましたように不動産価格が暴落した場合の担保切れの発生や、
市場金利が上昇する場合等、さまざまなリスクの発生が予想され、今現在の利用実績は確かに少ないことは存じております。
また、何より国民の資産を子孫に残そうという農耕民族的発想により、財産を自分の老後に清算してしまおうという考え方が、今までは定着しなかった実情もあります。
 本市においても、介護保険制度導入に合わせて、リバース・モーゲージの調査を考えたのではないかと推測しますが、
確かに20年前のリバース・モーゲージの制度のとらえ方では活用は難しいと思います。しかし、介護保険制度をきっかけに、子供を当てにしない人が急増し、
老後は子供とは別に暮らし、自立して生き生きとした新しい老後のスタイルを求める動きが今後ふえていくのではないでしょうか。
また、現在の日本の経済状況の中で、金利が低いことや不動産価格の底値感などを踏まえると、発想の転換により、
今の状況をプラスと考慮しての制度導入のとらえ方はできないものでしょうか。
 現在北海道では、大都市など地価が一定水準を超え、多くの不動産取引がされている場合のリバース・モーゲージの導入とともに、
地価が安い大都市以外の地域で、活発な不動産取引が望めない場合においても活用できる新たな制度を北海道では構想しているようです。
これは、フランスのビアジェというリバース・モーゲージの類似の終身契約の考え方を一部取り入れています。
行政が地域の魅力を市外へ発信する広報活動を行い、地域で暮らしたいと思う人と、新たに地域に住みたい人との仲介機能と信用の補完を行うというものです。
今後、都市間競争が予想される中で、人口減少への対応策として検討されてもいいのではないでしょうか。
 昨日、森山議員が、南アルプスの整備について、交流人口をふやそうと提案をされました。私はあえて定住人口をふやしてもいいのではないかと思っております。
静岡市は気候が温暖で、自然が豊かで、老後や結婚したら住みたいまちだと、よい評価を受けていると思います。
例えば、井川地区の自然に囲まれた生活を望む人がいるならば、素晴らしい環境を提供する一翼を担ってはどうでしょうか。
IT革命がさらに進むならば、このようなことは実現するのかもしれません。地価が高い中心街と、自然豊かな山間地域の両面を持ち合わせた静岡市にとって、
この考え方をぜひ発展させて、新しいリバース・モーゲージを研究してほしいと思います。当局の政策形成能力にこれから期待したいと思っております。
 次に、公私立幼稚園間の保育料の格差についてであります。単純に、何でこんなに料金に差があるのか、市民の皆さんはどう思うのか、
自分なりに説明ができるようにと思い、調査をしてみたところであります。しかし、私立幼稚園の運営が実際にはどれだけかかるかわかりませんが、
公立幼稚園を運営するには、一体幾らを住民に負担していただくのが適当であるかを、当局の皆さんに改めて考えていただきたい。
そして、どの幼稚園や保育園に通う子供を持つ親御さんにも、そして子供にも納得ができる受益者負担の原則の料金設定を考えていただきたく思いました。
 市長の施政方針にもありました。地域の行政はみずからが決め、みずからの責任で行う、この信念に大変共感を覚えます。
今後、予想されるであろう幼保一元に対しても、入園児、保護者の負担金をどう決め、既存の施設とのバランスもいかに図るか検討されることと思います。
その折には、受益者負担の原則のもと、格差是正を十分考慮した本市としての独自の考え方を踏まえた料金の設定をお願いいたします。
 以上で質問を終了させていただきます。ありがとうございました。


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