平成24年6月定例会(第4日目)

2012年6月26日

質問内容

教育行政について

◯26番(佐地茂人君) それでは、通告に従いまして、教育行政について質問いたします。
初めに、静岡市児童生徒の学力についてであります。
社会の複雑化、高度化や国際化、情報化の進展などに伴い、子供が学ばなければならないことは、量的にも質的にも拡大の一途をたどっております。これを支える公教育の資源も限りがあり、今や公教育は内政上の大きな課題となっております。
このような事態を踏まえ、平成23年度から小学生はすべての教科等で新しい学習指導要領による教育が始まり、中学生も24年度から新要領によっていることは周知のことと思います。
新要領は、子供たちの現状を踏まえ、生きる力を育むという理念のもと、知識や技能の習得とともに思考力、判断力、表現力などの育成を重視しており、ゆとりでもなく詰め込みでもなく、次世代を担う子供たちがこれからの社会において必要となる生きる力を身につけてほしいとの考えから策定されたものであります。
この新要領により、教育課程が具体的にどのように変わったのかについてであります。
その前に、ここ20年間の経緯をたどってみることといたします。
平成元年に、当時の文部省はゆとり教育の導入を狙いとした教育課程の改訂を発表し、平成4年度から実施。このゆとり教育は、教材の3割削減と受けとめられ、社会的にも反響を巻き起こしました。円周率が3.14から3に簡素化されたことは、記憶に新しいところでありました。そして、14年度から学校の完全週5日制が実施され、年間授業日数は202日程度になりました。その結果、小学6年生の総授業時間数は、昭和43年度の年間1,085時間から平成10年度には945時間と、30年の間に140時間の減少となり、また総合的な学習の時間も導入され、教科の時間が減ったのであります。国語を例にすると、245時間が175時間へと70時間も減少しました。その後、児童生徒の学力低下が社会問題化し、ゆとりを持たせ過ぎではないかという批判が高まり、文部科学省もゆとり教育の見直しを行い、今回の新学習指導要領の全面実施により、小学生は23年度に、中学生は24年度までに授業の時間数を徐々に増加させることになりました。
現在の授業時間数でも、小学生は20年度と比較して556時間の増加となっており、中学生は210時間のそれぞれの増加となっています。この結果、例えば小学1年生について見ますと、週3時間の授業の増加、5年生と6年生は週2回に6時間授業に加え、学校ごとに違いはありますが、5時間目の授業終了後に児童委員会等の行事が毎週行われ、下校時刻は午後3時半を超える毎日となっております。当然、家に帰り着く時刻は午後4時を回ることも通常であり、それから1時間ほど遊びに出かけ、家に帰って疲れて寝てしまうこともよくあることだと想像します。習い事があれば、午後5時ごろから出かけ、7時過ぎに帰ってきて、夕飯を食べて、家庭学習を済ませるなんて、今の子供は本当に大変だなと思います。授業の時間数の増加による学校生活や家庭生活への影響が気になるのであります。
そこでお伺いいたします。
学習指導要領の改訂に伴い、学習内容はどのように変わりましたか。また、子供たちへの負担については、どのように考えていますか、お答えください。
ところで、このような事態に対応して、改善策を講じている市もあります。
例えば、福岡市や北九州市では、小中学校での土曜日授業を開始。学校週5日制の理念を守りつつ、授業参観や地域や保護者に開かれた学校との名目で、総合的な学習の時間などの枠を活用した学習活動を土曜日に行い、その分、平日に生じた余裕時間を学習の定着のために充てるなどの工夫をしています。また、練馬区では、振替休業日を設定しない土曜授業を行っています。福岡県教育委員会は、月2回まで土曜日授業を実施できるとしております。
元年度には、年間の授業数1,015時間を週6日で行っていたのを、現在、同じ時間数を週5日で実施することは、やはり児童にとっては負担やストレスも生じてくるのではないかと考えます。
そこでお伺いをいたしますが、他市では土曜日に授業を行うことについて推進する市もあるようですが、このようなことについては、どのように考えていますか、お答えください。
続いて、全国学力・学習状況調査について質問いたします。
全国学力・学習状況調査は、22年に4回目を実施し、昨年度は東日本大震災の被災の影響により取りやめられました。24年度は、4月17日に抽出調査として、新たに理科を追加して5回目が実施されました。本市は、公立小学校と中学校の全校で希望利用方式を活用し、各児童生徒一人一人の学力や学習状況の把握に努め、きめ細やかな指導の実現や学習改善に生かしていこうとする前向きな姿勢を高く評価しているところであります。
全国学力・学習状況調査は、確かな学力と健康と体力、豊かな人間性をバランスよく育み、伸ばしていくとの新要領の3つの目標のうち、特に確かな学力を具体的に伸ばしていこうとする方策に活用されることが重要と考えます。
義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、児童生徒の学力や学習状況を把握、分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図り、検証改善サイクルを確立し、教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てることであります。
具体的に申し上げますと、個々の学力、学習状況のきめ細やかな分析の活用であります。各児童生徒がどこでつまずき、どのように克服していくかにつなげるためのデータ分析を行うことであります。
次に、つまずきを克服するための授業の改善、つまり教師の授業力のアップであります。
そして、最後に家庭学習の定着です。わかりやすい授業により勉強を理解することの楽しさを経験し、より学習する意欲を持つことと繰り返し繰り返しの勉強により、確実に理解力を高め、確かな学力として自分のものにすること、この3つの観点が重要であると考えています。
本市においては、21年度静岡市教育委員会点検・評価報告書が作成され、22年度以降には報告書に掲載されたモデル校の実施状況を各学校へ広く成果の普及活動を行ってきました。23年度は、全国調査は行われませんでしたが、モデル校の実績を参考に、時には学力向上専門家委員会の支援を受けて学校ごとに学力・学習状況を分析し、課題を検証し、授業の改善を行ってきたとお聞きしております。現在では、すべての学校で検証改善サイクルの確立もなされているようであります。24年度の実施体制では、4月に行われた全国調査を分析し、学力向上専門家委員会へデータを提供し、分析、課題の把握を行い、学校ごとの支援策や授業改善に取り組んでおられるとのことであります。
本市の検証改善サイクルがうまく機能しているか、各学校に任せ過ぎではないかとの心配もありますし、分析作業についても、どの程度細かに行っていくのかが気になります。また、きめ細やかな分析結果を生かすことができれば、教育委員会や各学校のそれぞれの目標が明確で具体的になるのではないかと考えますし、具体的であればあるほど、実績にも結びつくのではないかと考えております。本年度の取り組みが気になるところであります。
そこでお伺いをいたしますが、平成24年度の全国学力・学習状況調査について、市としてどのように取り組んでいますか、お答えください。
確かな学力の定着ということに関して、市内の各学校では粘り強く何回も同じことを繰り返し、理解力を高めるという活動を取り入れ、確かな学力の定着を図るという取り組みも始まっているようであります。
我が子の例を披露させていただきますと、定着度テストという取り組みも行っております。漢字と計算のテストですが、90点以上とるまでテストを繰り返す仕組みです。昨年は、我が子も夏休みに学校へ3回目のテストを受けに出かけ、何とかクリアでき、辛抱強く指導していただいた先生への感謝の気持ちと信頼感でいっぱいです。また、我が子も勉強がわかったという自信がつき、勉強に対する姿勢が変わりました。このような学校での確かな学力の定着の取り組みができるのではと期待しているのであります。
また、勉強がわかるようになれば、家庭学習の意欲も向上しますし、家庭学習が定着すれば、確かな学力が身につき、さらに勉強を深めようとする意欲も芽生えるのではないでしょうか。
そこでお伺いをいたしますが、これまでの全国学力・学習状況調査から、本市の家庭学習の取り組みについては、どのような改善が見られていますか、お答えください。
学力向上のための取り組みでは、現場の学校は、支援モデル校での校内研修や各教科の授業改善の実績をもとに、各学校の教師の授業力アップにつなげていくようであります。教育委員会では、教育課程の編成に対し、指導主事の訪問を行い、指導や助言による改善計画や校内研修の推進により授業力の向上に努めるようであります。また、学力向上専門家委員会の検証作業が必要であれば、各学校へのサポートにより改善を図るとのことであります。
前回、私は、授業改善については、各学校の主導ではなく教育委員会が主導となり推進力を高めるべきではないかと訴え、例えば、指導主事の学力向上推進班という専門チームの編成や教育専門監制度の活用による、3校から4校が一体となった事業改善の研修による授業力のアップを行う事例を示しました。
本市においては、今年度の実施体制により、どのように具体的に授業改善が行われ、教師力がアップされるのでしょうか。
そこでお伺いをいたしますが、平成24年度の全国学力・学習状況調査をどのように授業改善へとつなげていきますか、お答えください。
次に、本市の小学校及び中学校適正規模について質問いたします。
全国的に児童生徒の減少傾向が続き、合併する以前の静岡市においては、市の中心部において、その傾向は顕著であることから、この課題について、12年6月に市立小中学校適正規模等審議会に諮問し、13年9月に市立小中学校の適正規模、適正配置の基本的考え方及び具体的方策と題した答申が審議会から市長へ提出されました。この答申では、小中学校ともに適正な学校の規模を12から24学級と位置づけた上で、城内小と青葉小、一番町小と三番町小、新通小と駒形小の6校については、3校に統合することが望ましいという結論を出したのであります。現在の新小学校2校については、統合後の検証作業は当然に必要であり、児童や保護者のアンケート調査も行っているようでありますので、それらをもとに、よりよい学校運営を目指していただきたいと思います。
総じて、新小学校の児童は、新しい校舎での生活の影響がよいからか、人気もあるようで、児童数も増加しているとお聞きします。
今回の市立小学校及び中学校適正規模等審議会では、主に清水区を対象に審議されることと、全体では中学校のあり方と、中山間地地区においては、どのような学校運営が望ましいかを議論する場であると当初は理解していました。前回の答申後、凍結状態になっている新通小と駒形小の統合についてどうするのかに加え、前回議論の及ばなかった中山間地域と清水区の小学校のあり方がどう具現化されるのか、中学校については、学区の編成もあるのかという一歩踏み込んだ議論が行われるものと考えておりました。
審議会は現在のところ、第4回まで進んでおり、私もすべての議事録を一通り拝見しました。
審議について簡単に紹介しますと、第1回目は国の適正規模の考え方や本市の置かれている現状を説明していただき、各委員から適正規模についての考え方をお聞きしました。適正規模は、地域の愛着の源、地域の歴史文化や拠点であることなどを考慮しつつ、規模を決めるときに大人の事情で決めるのではなく、子供たちがどうやったら楽しい幸せな明るい生活を送るような規模になるのがよいか等の意見が印象的でありましたが、委員の意見を総合すると、やはり中学生は一定の人数での環境がよいのではないかというところが私の印象に残りました。
第2回目は、学校の小規模化の影響や、静岡県の35人学級、いわゆる静岡方式と静岡市の地域ごとの児童生徒の推移から現状を把握し、適正規模の基本的な考え方を確認しました。この中で、通学距離などを勘案し、市街地と中山間地の置かれている現況を分けながら検討する流れになったようであります。
第3回目は、葵区の玉川小、玉川中学を現地視察した後に行われました。適正規模について具体的に話し合いを進めていく考え方を、通学距離、通学区域、学校と地域社会、検討区域の考え方、検討基準で進めていくことになり、区ごとに話し合いを進め、小学校については大規模校を対象外とし、中学校では6から11学級の各学年2学級以上の学校と過大規模校と大規模校は検討の対象外としました。そして、行政区別の検討、審議対象の学校案で核心に迫っていく事務局案が提示されたのであります。
第4回目では、適正配置の具体的方策に向けて、通学区域の変更、学校の統合、小学校と中学校の併設、その他という手法を提示し、対象校について分析しました。学校の統合については、葵区の新通小、駒形小と、安倍口小、美和小で統合する案、そのほかは具体的方策の検討を行っていながらも、当面は推移を見守るということになっています。葵区、駿河区では自治会の区域を分断した学区編成があり、また自治会規模を前提とした結果、過大規模校となっている小学校もあります。当然、保護者や地域住民に対する配慮は最も大切ではありますが、審議会の議事録を拝見すると、適正規模は中規模校としつつも、実際は現状で行っていくという方針が見え隠れするのであります。また、今後、審議委員の多様な意見について、教育委員会はそれを受けとめ、どうしていくのでしょうか。
そこでお伺いをいたしますが、本市の目指すべき学校の将来像については、どのように考えていますか。また、なぜ今、適正規模等について検討する必要があるのかをお聞きしたいと思います。
今回の審議会の資料では、将来の人口推計をもとに算出された児童数が使われております。
ここで注目することは、地区によっての児童数ですが、推移がほとんど変わらない地区と、数年後には100人以上の児童数が減少する地区があります。
そこでお伺いをいたしますが、静岡市立小学校及び中学校適正規模等審議会では、何年先を見据えて審議を進めていますか、お答えください。
以上で1回目の質問を終了します。

◯教育長(高木雅宏君) 私からは、学習指導要領に伴う学習内容の変化、それから適正規模審議会等の内容についてお答えしたいと思います。
学習指導要領の改訂に伴う学習内容についてですが、週当たりの標準授業時数が小学校1・2年生で2時間、3から6年生で1時間増加し、中学校では各学年で1時間増加しました。年間の総授業時数では、小学校1・2年生で70時間、3から6年生で35時間の増加となります。中学校では、各学年35時間の増加となることになりました。具体的な学習内容の改善としては、言語の力を育むこと、外国語教育や伝統、文化に関する教育を充実することなどが挙げられております。
子供たちの負担ということもありました。このことですが、学習内容は確かに増加しましたが、子供たちが負担を感じず、授業に意欲的に参加できるように体験的な活動や調査、見学などを取り入れるなど、授業改善を図っております。また、学校行事の内容を見直すなどして、子供たちの過重な負担とならないよう努めているところでございます。
続きまして、適正規模等の審議会に対する内容でございます。
まず初めに、本市の目指す学校の将来像ということについてお答えをしたいと思います。
子供たちは集団の中で切磋琢磨し、成長過程に必要な生きる力を身につけていきます。集団の中で多様な価値観に触れ、たくましく、そしてしなやかに生きていくことのできる力を持った子供たちを育てる学校こそが、本市の目指す学校像と考えております。
また、今、適正規模等について検討する必要ですが、現在、少子高齢化や情報化の急速な進展により、社会が一層複雑化、多様化するなど、子供たちを取り巻く環境は激しく変化をしております。急激な少子化に伴い、学校が小規模化すると、活力ある教育活動ができにくいなど学校運営に支障が生じます。また、一部地域においては、マンションの増設等により人口が増加している地域もあり、学校の大規模化が課題となっているところでございます。このため、適正な学校規模を確保し、子供たちにとってよりよい教育環境を提供するとともに、一層の教育効果の向上を図るため、適正規模等について検討をする必要があると考えております。
次に、この審議会は何年先を見据えているのかという御質問でございます。
当審議会では、5年後の平成29年度における児童生徒数の推計値をもとに審議を進めております。先ほど議員からもお話がありましたけれども、旧静岡市において、中心市街地での児童数の著しい減少が見られました11年前、このときに静岡市立小中学校適正規模等審議会が開催され、6校の統合について、平成13年9月に答申をいただいたところでございます。
以上でございます。
◯教育次長(望月和義君) 学力向上対策に係ります何点かの御質問にお答えいたします。
まず、土曜日に授業を行うことについてですけれども、本市では、学校教育法施行規則の改正により、平成14年4月から学校週5日制を実施しております。学校週5日制の趣旨は、子供たちを家庭や地域に戻して、学校では経験できない自然体験や社会体験などの多様な活動に参加することを通して、これからの時代に生きる人間形成を図ることでございます。
現在、学校開放日として多くの小中学校で土曜日に授業公開や学校行事を実施しておりますが、学校週5日制の趣旨等を踏まえ、土曜日を通常の授業日の1日とすることは考えておりません。
次に、平成24年度の全国学力・学習状況調査についてですが、本市としての学力の状況を明らかにするために、抽出校だけではなく、すべての小中学校が参加して、4月17日に実施いたしました。採点、分析につきましては、平成24年度は学習状況と学力の関係、例えば家庭学習がどのように学力に影響しているか、また学校図書館の利用が子供の学力とどう関係しているかなど、詳細な分析をいたします。各校では、このデータを活用して課題を洗い出し、事業の進め方や活動内容などの工夫をして授業改善につなげてまいります。
続きまして、全国学力・学習状況調査からわかる家庭学習の取り組みについてですけれども、家庭での学習習慣の確立は、子供たちの学力向上にとって、とても大切なことであると考えます。教育委員会といたしましては、これまでも各校を訪問する際に、指導主事から家庭学習の重要性を伝えてまいりました。各校におきましては、授業のまとめを家庭で行うよう指示したり、家庭での生活時間を見直して計画表を作成させたりするなど、家庭学習の定着に努めております。その成果として、全国学力・学習状況調査の項目の中にある授業の復習に対する取り組み状況では、中学3年生の家庭学習において、復習に取り組む数値が向上してきております。
今後も家庭との連携を図りながら、学習習慣の改善に取り組んでいくよう、引き続き各校に働きかけていきたいと考えております。
次に、平成24年度の全国学力・学習状況調査をどのように授業改善につなげるかについてですが、これまでも各校では校内検証改善委員会を組織し、本調査から明らかとなった課題の解決方法を考え、日々の授業の中に取り入れております。さらに平成24年度は、学力と生活習慣の関連など、より詳細な分析結果を得ることができるため、各校の課題が基礎的、基本的事項の定着にあるのか、あるいは、その活用力にあるのかなどを分析いたします。そして、授業の進め方や活動内容を工夫し、児童生徒の学力向上に向けた取り組みを、より充実させてまいります。
以上でございます。
〔26番佐地茂人君登壇〕
◯26番(佐地茂人君) 御答弁をいただき、ありがとうございました。
土曜日授業に関してなんですが、本市において土曜日授業の影響力、そして効果等をどのように調査して分析した結果、本市はやることをしなくなったかと、そうしたところをぜひまたお示ししていただければというふうに思います。今うちはやらないからやりませんという形であるのであれば、他市は何でやっているのかということをやはり勉強、研究した上で行っていただければというふうに僕は思っています。
それでは、2回目の質問です。
我が会派では、特色ある基礎学力についての政策研究グループを設置し、意見交換や視察研修などにより意識の共有化を図りつつ、自己研鑚をしております。
学力向上に関して勉強を重ねた事柄を幾つか挙げますと、古くは東京都杉並区和田中学校の藤原校長、リクルート社出身の民間校長が実施しました夜スペシャルや土曜寺子屋であります。最近では、隠岐島の海士町で取り組んでいるソニーの人材育成をしていた岩本さんという若者が手がける高校魅力化プロジェクト、那須烏山市で取り組むサタデースクールがあります。豊後高田市の学力向上策、夏季冬季特別講座や寺子屋講座、水曜日講座では、勉強を教えてもらった生徒が成長し、今度は勉強を教えるボランティアになり恩返しをしたという話や、ケーブルテレビの設置率が高いという地域の特性を活用したテレビ寺子屋講座は、何と視聴率が90%超えで、その時間は家族で講座を見るという話などが大変印象的でありました。
このような特色ある学力向上策を本市でも取り入れていただきたいと願ってやみません。市長のマニフェストでは特色のある教育をうたっておりますので、その具体化を望みます。
今年度の新規事業として、学力アップサポート事業が予算化されたことには、子を持つ親の立場からも興味もありますし、静岡市の学力向上推進策として非常に期待しているのであります。
この学力アップサポート事業は、全国調査の集計分析委託費が予算の大きな内容であります。モデル支援校として、各区2校ずつを対象に、小学5・6年生の中から自分の課題を解決しようとする児童、各10名ずつを対象とし、課題を持っている学校から抽出選定するとのことであります。個別指導は、年間44時間、週2回で年間22週間、放課後に行うというものであります。先ほども申し上げましたが、現在小学校のいわゆる高学年生はまず授業時間が長いこと、ときには児童クラブに通っている可能性があることなど、かつ平日の放課後に時間と精神的な余裕があるのか、また学力の定着がなされていないのであれば、基礎的な学力から学ぶことも必要で、それであるならば低学年生には必要ないのか、また、本来この事業は教育委員会や学校の責任で行うべきではないか、などといった疑問も残るところであります。
そこでお伺いをいたしますが、学力アップサポート事業とは、どのような事業ですか、お答えください。
学力アップサポート事業の個別指導については、リーダー支援員も含め、教職経験者の有償と、有償ボランティアである一般支援員18名の計24名で構成され、各学校にリーダー1名と一般支援員3名の計4名が個別授業に当たることになります。20名程度の児童に4名の先生が多いか少ないかは判断が分かれます。
義務教育の一環でありますので、当然、無償で、対象児童保護者には負担がありません。授業内容を十分に理解できない児童が普通の授業の妨げや学級崩壊につながる可能性もありますし、学力の二極化した現状を考慮すれば、確かに重要な事業であると感じます。また、今回の支援を必要とする児童が、みずからの力で勉強することは困難であり、地域の学校応援団等の夜間や土曜日に行われているボランティア補習に参加することも難しい状況があると思われますので、学校で決められた個別授業に参加することについては、やむを得ないと考えていますが、他の子供たちには与えられない格別の予算を投じ、特別に支援するということからには、当然結果を求めることも重要であると考えております。
そこでお伺いいたしますが、学力アップサポート事業の成果については、どのように考えていますか。また、成果を具体的に把握する必要があると思いますが、どのようにお考えですか、お答えください。
個別授業を受けることになる児童については、確かな学力が身につき、勉強が楽しくなり、家庭学習への意欲向上につながってほしいと願っています。私は、今回の学力アップサポート事業は大切だと思いますが、静岡市の子供がたくましく、しなやかに、教育長がおっしゃるよう成長し、厳しい時代を生き抜く力を確実に身につけていくには、すべての子供たちが個々の能力をもっと伸ばしたいと希望しているのであれば、義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点からも、もっと勉強したいと思っている子供たちに対しても、静岡市の特色ある教育として、学力の向上について、すべての子供たちに支援をするべきであると思います。
そこでお伺いをいたしますが、授業内容を十分に理解できない子供たち以外についても支援が必要であると考えますが、さらに自分の学力を上げたいと思っている子供たちについては、どのように考えていますか、お答えください。
初めに、他市の事例を幾つか紹介しましたが、他市では、大学の教育学部や塾と契約を交わし、大学生の派遣によるボランティア補習や塾の講師との連携において、講義を低廉な価格で提供するなど、工夫を凝らしながら、大きな予算を使わないでも教育委員会の努力による制度設計により、特色を持った学力向上策を講じております。また、実際に確かな学力を身につけ、さらに興味があることを勉強していくのであれば、中学生への支援策が求められてくるのではないでしょうか。今回の学力アップサポート事業は、小学生に焦点を当てていますが、中学生はどうでしょうか。例えば、一部の中学校では行っているかもしれませんが、高校進学への道も含め、中学3年生への支援策として、中体連を終えた中学生は放課後の時間、かなりの有効な時間がありますし、教室を解放し、実質的に勉強したい生徒の場所を確保し、わからないところについては先生に聞くことができる機会を、学校から積極的に与えるということは、お金もかかりませんし、いかがでしょうか。
そこでお伺いいたしますが、今回は小学5・6年生が対象の支援策となっていますが、中学生についてはどうしていきますか。また、例えば中体連を終えて部活動を引退した中学3年生については、放課後の学習体制が重要であると考えますが、その必要性についてはどのように考えますか、お答えください。
次に、本市の小学校及び中学校適正規模についてであります。
第4回目の審議を議事録で拝見し、幾つか自分なりに気になる点について伺います。
まず、中山間地や山間部の小中学校についてであります。
学校は地域の拠点であり、最近では防災拠点でもあり、入学式や卒業式では、児童生徒の人数よりも地域で見守る大人の人数が多いことが通常で、子供たちは、その地域愛に感性を育み、支えられている実感が彼らの人生の中でも大切な宝物として残ると思います。
このような状況を考慮してか、中山間地、山間部の適正規模については、国の通学距離という事情を前に出し、現在のところは別枠で、学校ごとではなく一律で話し合いをしていきましょうという流れのようであります。
一方、29年の児童生徒の推移を見ますと、実際は過少規模の複式学級で、学校運営的にも厳しい、保護者も集団的な活動ができない、地域の大人も高齢化が急速に進み、かつ人口も減少しているという非常に厳しい状況であります。市では、中山間地の地域振興策や活性化策の1つとして、移住支援を行っていますが、その家庭の子供たちの活躍により維持できる学校も、今後は今以上に想定されるのではないでしょうか。
確かに学校は、地域の拠点で大切な施設でありますが、子供たちのことを一番に考えていくのであれば、足久保小の集団バス通学がありますし、バス通学やスクールバスを走らせてもいいと思いますし、横断的な事業として、スクールバスに地域の方も無料で移動交通として活用できてもいいと思いますし、中山間地支援を小学校の統合も含め、一体的で議論することも一案ではないかと思います。また、学校を防災拠点として残すことや、コミュニティの核が学校以外でも存在していく支援も必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
各地域の事情は違いますので、一律で議論するのではなく、中山間地、山間部についても、個別で議論をすべきであると思います。
そこでお伺いをいたしますが、中山間地や山間部の小中学校について、審議会ではどのように話し合いが行われますか。また、コミュニティとして小中学校のあり方については、どのように考えますか、お答えください。
審議会委員からの意見は総じて、その地域の実情は考慮しつつも、やはり中学校生活は一定の人数が必要であろうとの意見が印象的であります。また、小学校と中学校、幼稚園や保育園も1つの場所で1つの施設で運営すれば、保護者も学校の先生も運営上は助かるのではないかとか、小中一貫で行ってはどうかという意見もありました。本市において、現在のところ、小中一貫については取り組まない方針ですので、小中連携を一体施設で行うことになるとは思いますが、これも一案だと思います。
個人的には、やはり中学生は距離という課題を越えてでも1学年2クラス以上がよいと感じていますが、教育委員会はどのようにお考えでしょうか。中山間地及び山間部の中学校のあり方については、どのように考えていますか、お答えください。
1回目の質問でも触れましたが、適正規模の具体的な方策として、通学区域の変更、学校の統合を手法として活用しておりますが、実際、通学区域は変更できないように教育委員会案が提示されております。また、通学区域審議会という別の組織で審議していて、自治会の総意で要望書を提出すればできるという説明をしており、それは今回の適正規模審議会の答申のほうが重い結論になるので、言う必要はないし、それなら何で通学区域の変更の話を上げるのかと思います。
審議委員からも、統合以外でももとに戻すだけでできる具体的な事例の提案がありました。第4回目の審議については、市街地の学校で小規模校や過少規模校となる可能性がある学校の周辺について話をされましたので、通学区域の変更については、すべて推移を見守ることになりましたが、今後の過大規模校の審議については、通学区域を変更しなければどうしようもないと思うのですが、どのように審議を進めていくのか気になります。
そこでお伺いいたしますが、過大規模校は、通学区域の変更によって調整することも一案であると考えますが、どのようにお考えですか、お答えください。
第4回目の審議委員の意見について申し上げますと、由比地区の2校の統合については前向きな発言が多く聞かれました。また、その他の地区においても、有効ではないかと思われる意見が多々出ておりました。駿河区については、特に参考になった意見もありました。ここでは申し上げませんが、私もそう感じたことがありました。
審議会議事録を見て感じたことは、本当に審議会の委員たちの熱心な議論が想像されて、ぜひ教育委員会案が、そのままではなくて、活発な議論をしていただいた結果、今度は地域に議論を求めるような意見も取り入れた答申であってほしいと感じました。また、財政的な観点からの議論はされていないようでありますが、ぜひとも参考程度には、新設する学校の建設費や既存の学校の運営費、維持経費がどれほどなのか、審議してもよいのではないかと思います。
最後に、答申が9月に出されるとお聞きしておりますが、その後の予定についてお伺いします。今後の統廃合等の計画策定に向けては、どのように進めていきますか、お答えください。
以上で2回目の質問を終了します。

◯教育長(高木雅宏君) 私からは、学力アップサポート事業についてお答えします。
学力アップサポート事業についてですが、本事業は、全国学力・学習状況調査の分析結果を踏まえて、本市教育委員会が選定する支援校に対し、有償ボランティアの学力アップ支援員を派遣いたします。そして、放課後、学習支援を希望する児童に個別指導を行うものでございます。
平成24、25年度の支援校については、支援を希望する小学校の中から6校を選定し、1校に4人の支援員を派遣いたします。放課後1回1時間、原則として週2回、年間22週にわたって、学校と協力しながら個別指導を行ってまいります。全国学力・学習状況調査の結果を活用し、つまずきを早い段階で発見し、改善を図るために支援を行う学校を小学校といたしました。そして、調査対象であった6年生及び次年度に調査を実施する5年生を支援の対象といたします。
学力アップ支援員は、子供個々の課題に対応できる教育職員としての勤務経験のある者や、教員免許状を有する者、あるいは教員養成課程を履修している大学生の中から選定していきます。子供たちがこれまで以上に意欲と自信を持って学習に取り組めるよう、個別指導の充実を図ってまいります。
以上でございます。
◯教育次長(望月和義君) 初めに、学力向上対策に係ります3点の御質問にお答えいたします。
まず1点目の学力アップサポート事業の成果についてですが、個別指導を受けた子供たちの学習内容の理解状況や意欲の向上などを確認テストや、子供、保護者へのアンケートにより明らかにしてまいります。
支援校における成果につきましては、必要に応じて静岡市学力向上専門家委員会に意見を伺いながら、評価していきたいと考えております。その評価結果につきましては、ホームページを通して適切な時期に公表を行うとともに、効果的な学習支援の方法につきましては、全校に普及し、各校における事業改善に生かしてまいります。
次に、2点目のさらに自分の学力を上げたいと思っている子供と3点目の中学生への対応につきましては、関連しておりますので、一括してお答えさせていただきます。
まず、学力の向上を望む児童生徒についてですが、日常の授業の中で、習熟度に応じた指導の充実を図るとともに、各校において、子供たちの状況に応じて学習支援の場を設定するなど、工夫をしてまいります。
次に、中学生についてですが、放課後の学習体制につきましては、これまでも各校において学習相談日を設定するなど、生徒の学習状況に応じた支援を実施しております。なお、中学生を放課後学習の対象にとのことですが、本学力アップサポート事業は、小学校の早い段階での学力面の改善を図ることを目的と考えております。このことは、中学校における学力向上にもつながるものでございまして、本事業は、小学生を対象に取り組んでまいりたいと考えております。
続きまして、小中学校の適正規模に係ります何点かの御質問にお答えいたします。
初めに、中山間地や山間部の小中学校について、審議会ではどのように審議するのかとのお尋ねについてでございますが、中山間地や山間部に位置する学校につきましては、現在もほとんどが学級数が少ない小規模校となっております。市街地の学校とは地理的条件が異なりますので、審議会では、地域特性に応じた学校配置についての考え方をこれから審議する予定となっております。
また、地域コミュニティとしての小中学校のあり方についてですが、中山間地や山間部の学校につきましては、今後、ますます小規模化することが予想されます。そこで、子供たちの将来と今後の学校施設のあり方につきましては、地域住民や保護者の方々と十分協議を重ね、御理解を得た上で最良の方策を選択することが大切であると考えております。
次に、中山間地及び山間部の中学校のあり方についてですが、山間地域の中学校につきましても、今後、審議会で審議していく予定でございます。中学校におきましては、学力の向上や社会性の育成などを図るため、一定の集団の中で活動する環境が望まれます。しかし、地理的条件により中学校同士の統合などが難しい場合、例えば、先ほど佐地議員からも御提案がございましたけれども、近隣の小学校との施設の一体化によって小中学校の連携教育を推進し、9カ年の中で社会性を養う機会を確保するということも1つの方策として考えられます。いずれにいたしましても、審議会からの答申をもとに最上の方策を検討してまいりたいと考えております。
続きまして、過大規模校は通学区域の変更によって調整できると考えるが、いかがかとのお尋ねについてでございますが、確かに隣接する学校間の通学区域を変更すれば、過大規模校の解消は可能でございます。
しかし、現在の学区は長い歴史の中で自治会、町内会との関係により形成されてきた経緯がございます。そこで、通学区域の変更におきましては、通学の安全性や通学距離、自治会、町内会との関係など、地域の特性などを十分考慮した上で検討していく必要があると考えております。
最後に、今後の統合などの計画策定に向けて、どのように進めていくのかについてでございますが、本年9月ごろに小中学校適正規模等審議会から答申をいただく予定となっております。その後、審議会からの答申をもとに、庁内関係各課によります配置計画策定に向けた組織を立ち上げます。そして、具体的対策を含みます市立小中学校配置計画の策定を平成25年3月末を目途に進めてまいります。
以上でございます。