平成25年12月静岡県議会定例会

2013年12月9日

質問内容

質問者: 佐地 茂人議員
質問分類 一般質問
質問日: 2013/12/09
会派名: 自民改革会議

 

 

○議長(中谷多加二君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第百五十六号から第百七十七号までを一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、六番 佐地茂人君。
       (六番 佐地茂人君登壇 拍手)
○六番(佐地茂人君) おはようございます。それでは、通告に従いまして自民改革会議の一員として一般質問を行います。
 その前にまず堀江龍一先生死去に伴う選挙によりまして、その衣鉢を継ぐ者として静岡県議会に議席をいただいたことに誇りを持ち静岡県勢の発展のために尽くす決意を表明し、質問に入らせていただきます。
 今回は、大きく五点の質問を分割質問方式で質問させていただきます。
 近年のグローバル化、少子化、高齢化、コミュニティーの崩壊、モータリゼーション、家族の変化、高度情報社会、自然災害などさまざまな要因により人々の安全・安心に対する希求は高まってきています。このような中で治安を守り犯罪を抑止するなど警察への県民の期待はいやが応にも高まってきております。
 そこで、私はまず初めに警察施設の整備について、警察署整備計画についてお伺いいたします。
 本県には二十七の警察署が設置されており、政令指定都市である静岡市は三カ所、浜松市は五カ所であります。現在策定中の総合計画の後期アクションプランの案では、警察施設の整備として平成二十九年までに浜松西警察署の新設と下田警察署松崎分庁舎の建てかえの準備作業が記載されております。浜松市への行政区ごとの配置は当然必要でありますが、人口八十万人の浜松市に六カ所目の警察署が建設されることを考えますと人口七十万の静岡市に三つの警察署では不十分ではないかと感じるところであります。
 例えば静岡市駿河区には静岡南警察署がありますが、政令指定都市への移行に伴う分区によって六万五千人の住民が住む長田地区が加わり、管内は二倍近いエリアとなりました。しかし以前からの警察署の庁舎のままであり、老朽化に加え手狭になっております。加えて大地震や津波などを想定すれば、庁舎の機能も不十分ではないかと危惧しています。人口が増加している駿河区では、長田地区への警察署新設の必要があるのではないかとも考えております。また大仁警察署でも合併による管内の変更によって手狭であると伺っております。
 このように地域や時代の変化や犯罪の発生状況などを踏まえ、また予想される東海大地震も想定しながら警察署を配置する必要があると考えますが、どこにどの程度の警察署が適当なのか警察署の配置の具体的な考え方についてお伺いします。
 先ほど総合計画の後期アクションプランについて触れましたが、今後四年間で二つの新警察署等の準備計画を立てるというのでは余りにも遅いのではないかと感じています。現行の警察署再編整備計画の進捗状況と完了見込みについて伺います。
 一方、警察署の再編整備とは別に新たな課題が生じてきております。それは既存の警察署の老朽化であります。警察署の建設年度を調べますと最も古い下田警察署は昭和四十七年度建設であります。ことしで四十二年が経過します。昭和五十年代建設は七カ所の警察署があり、六十年代建設では四カ所の警察署があります。警察署は予想される東海地震や女性警官の増加、駐車場の需要、自治会を初め、交通指導員や交通安全推進委員、地域の防犯協会、防犯推進委員など多くの地域住民の利用への対応が必要となっています。またストーカー相談窓口は、プライバシーを考慮し、それ以外の相談窓口と別に確保することや相談員の待機場所も必要であります。時代の変化によって警察署のあるべき姿は変わっており、警察署の新たな整備計画が必要であると考えます。現行の再編整備計画終了後、いや、すぐにでも次期警察署の整備計画が必要ではないでしょうか。
 そこで、次期計画について、どのように取り組んでいくのか伺います。
 また、警察署の役割は多様化しており、それに合わせた警察署の整備が求められています。警察署を利用する県民の方からは、エレベーターがないことや段差が多いことなどが指摘されます。そこでバリアフリーやエレベーター等の新たな社会の要請に対する施設整備について、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、交番の配置計画についてお聞きします。
 交番・駐在所は、地域における治安の最前線に位置し警察の顔、地域の安全センターとして親しまれております。平成十九年度当初は、交番が百九十九カ所、駐在所が百五十七カ所でした。今年度は交番が二百五カ所と少し増加しましたが、駐在所は百四十七カ所と減少しました。今後も削減していくのではないかと危惧しているところであります。交番が減らされることを県民は望んでいませんし交番の廃止に地域の方々の御理解を得るには、交番配置の将来像が重要であると考えます。
 そこで、交番配置にどのように取り組んでいくのか伺います。
 駿河区では現在交番の再編整備の最中でありますが、長田地区においては人口や地域性等を勘案すると三カ所の交番体制では心もとないと感じています。また駿河区の駅南地区では一つの交番に二つの管内を持たせるものも存在しており、早期の是正を期待しているところであります。
 そこで、駿河区における交番配置計画がどのようになっているか伺います。以上について答弁をお願いいたします。
○議長(中谷多加二君) 島根警察本部長。
       (警察本部長 島根 悟君登壇)
○警察本部長(島根 悟君) 佐地議員にお答えいたします。
 警察施設の整備についてのうち、まず警察署整備計画についてであります。
 警察署の整備、配置につきましては、自治体の区域との対応を基本とし管轄区域における犯罪や交通事故の発生状況等の治安情勢はもとより、人口、面積、道路状況、地勢的条件、住民の利便性等に配意しつつ、また警察は執行組織でありますので大規模事件事故が発生した場合、第一次的に対処することができる人員規模となるかといった観点も考慮するなどしております。
 現行の警察署再編整備計画につきましては市町村合併の動向等をきっかけに策定したものでありますが、現在残る浜松市西区内の警察署の新設を目指し候補地の選定を進めているところであり、関係機関とも協議しつつ取り組んでまいりたいと考えております。
 警察署の老朽化等への対応については、第四次地震被害想定に基づく整備のほか警察施設の建築年度、耐震補強工事の状況、狭隘化の程度等、多角的な要素をもとに新設、移転、建てかえ等が必要と考えられる警察署について順次選定を行い、部内検討を進めてまいります。
 また、県警察では平成八年に静岡県福祉のまちづくり条例が施行された以降に建設している警察署には、ユニバーサルデザインの考えを取り入れ、エレベーターを設けるなどの整備を推進しており、今後も来庁者の利便性に配意した施設の整備に努めてまいります。
 次に、交番の配置計画についてであります。
 これまでに警察警戒力確保の必要性から交番・駐在所の統廃合を進めてまいりました。配置に当たっては人口動態や世帯数、事件事故の発生状況、自治会区や学校区など地域の実情を総合的に勘案し、県下における警戒力がバランスよく保たれるよう適正な配置に努めてまいりたいと考えているところであります。このような考え方に基づき交番設置の必要性を検討しているところでありますが、議員御指摘のとおり静岡市駿河区におきましては交番建設用地の確保ができず、一つの建物に二つの交番が同居し所管区に交番が所在しないという状況となっていることからこれを是正し、適正な配置となるよう引き続き関係機関と協議をしてまいりたいと考えております。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 六番 佐地茂人君。
       (六番 佐地茂人君登壇)
○六番(佐地茂人君) 御答弁をいただきありがとうございました。私の思いが伝わったでしょうか。具体的な形でさらに今以上に頑張っていっていただきたいというふうに思っております。
 ただいまの御答弁に対して意見を申し上げます。
 警察署の庁舎や交番は、県当局との予算等の調整を経て警察本部が設置します。執行部との調整を今まで以上に行い、速やかなる庁舎等の建設をお願いします。県当局の皆さんにつきましても、ぜひ御配慮をよろしくお願いいたします。
 次に、茶業の振興についてのうち茶の生産支援についてであります。
 本県は、我が国を代表する急流大河川が県土に展開し、それらが谷々を削り広大な中山間地を形成するに至っております。この谷合いなどに良質茶を生産する茶産地が集積されてまいりました。本県茶業は、このような恵まれた地勢と先人たちの営々たる努力により、日本一の茶産地として名実ともに日本の茶業を牽引する地位を築いてきました。茶どころ日本一の言葉にふさわしい業績を上げてきましたが、近年は緑茶の消費は減少傾向にあり新たな取り組みが必要になっております。
 本県では、荒茶の価格が平成十一年をピークに低迷しており、荒茶生産量は高年齢化による後継者不足などにより減少傾向にあります。平成二十三年には全国に占める割合が四一%まで小さくなりました。四割をかろうじてキープしているという状態であります。平成二十三年の静岡県の生産量三万三千五百トンに対し鹿児島県は二万三千八百トンであり、静岡県の生産量が減少する一方で鹿児島県の生産量は増加しています。ことしは全国の生産量約八万六千トンのうち本県は約三万三千トンですが、鹿児島県は二万六千トンと徐々に本県の背中を捉え始めており、茶業界からはいつ鹿児島県に生産量日本一を奪われてもおかしくないという声を聞きます。茶どころ日本一の静岡県として、生産量日本一の座は死守すべきであると考えます。
 そこで、県は茶の生産支援にどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、茶の販路拡大策について伺います。
 リーフ茶の消費量は、消費者の購入量と支出金額がともに減少しております。ペットボトル等の緑茶飲料は安定しつつありますが、リーフ茶は六十歳未満の年齢が若くなるほど飲まれない傾向にあります。このことから急須で茶を飲む習慣がなくなる、つまり家庭内に急須がなくなるという衝撃的な事実が見えてきます。
 一方で日本茶の輸出量は、ここ最近増加の傾向にあります。このような状況を考えると国内消費に対し新たな取り組みが必要となってきています。一方輸出拡大方策が県としても重要になってきています。茶の振興は生産者、JA、販売加工業者、小売店、茶に携わる業者、食品業界など関連する業界全体での取り組みが重要であります。とりわけ生産農家の意識改革、茶商の国内外への販路拡大、県の支援が肝要であります。
 また、本県の特徴として全国のお茶の使用量が一世帯千グラムに対し、本県はおよそ二倍の二千グラム弱であります。この特徴を継続するために県内の子供たちや若年層に向けてリーフ茶を飲む普及活動も忘れてはなりません。
 静岡県のイメージである茶業の維持発展のため、県内外でのPR活動や多くの食品業界との新商品開発、そして静岡茶の販路拡大についてどのように取り組んでいくのか伺います。以上について答弁をお願いいたします。
○議長(中谷多加二君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 茶業の振興についてのうち、お茶の販路拡大策についてお答えをいたします。
 静岡県のお茶農家を励ますにはお茶の消費量をふやすということが大切です。そして静岡茶の消費を拡大するためには日本国内全域、とりわけ大消費地である首都圏、さらに海外で販路を拡大するとともに、お茶の飲まれることの少なくなっている世代に対する普及啓発が重要であると考えております。
 このため、お茶の主要な購入先である大手量販店に対しまして茶業関係者と連携をして静岡の品質の高いお茶を売り込むとともに、東京有楽町にあるグリーンティープラザ――行かれましたか――ぜひお行きいただきたいと存じますけれども、このグリーンティープラザ、地下鉄をおりて山手線に乗りかえる、その途中の一番いいところにございます。このグリーンティープラザで急須で入れた静岡茶とお菓子を首都圏の皆様に味わっていただくなど消費の拡大に取り組んでおります。なかなかの人気スポットでございます。
 また、海外の展示会に出展する茶商を支援するとともに、海外からバイヤーを招き商談会を開催するなど静岡茶の販路開拓を推進しております。先日和食のユネスコ無形文化遺産への登録が決定いたしました。和食とお茶とは一体です。ですから和食とともにお茶の魅力を一体的に国内外に情報発信してまいります。
 先ほど佐地議員のほうから茶どころ日本一という言葉が再三述べられました。茶どころ日本一ということは茶の都ということでございます。今日本は和食が世界無形文化遺産になりました。我々は食の都づくりを推進しておりますが、知らぬうちにそれが海外に伝わって例えばお隣ではフードポリスという名前におきまして、これを国を挙げて要するに食の都づくりを今推進しているところです。しかしキムチしかないでしょう。中心はですね。しかし本県は食材が日本一です。この食材日本一を活用した食の都づくりを茶の都づくりとともにやっていくと。もし韓国の言うフードポリスという言葉を借用するならばティーアンドフードポリスと。食の都、茶の都をつくり上げるという、そういうしっかりとした戦略を持たないとだめであるというふうに考えております。
 さらに茶商や生産者を対象として、マーケティング知識を習得し販売戦略を立案するO―CHAニュービジネス創出支援講座を開催するなど新商品開発に積極的に取り組む人材を育成しているところです。
 お茶の普及には、子供のころからのお茶に親しむ習慣を育てていくということが重要です。ですからお茶の入れ方教室やお茶の知識を競うT1グランプリの開催に加え、小学生向けのお茶の辞典を作成配布するなどお茶の魅力や楽しみ方を伝える取り組みをしております。
 先ほど言われましたように、リーフ茶で飲む習慣が少しずつ減ってきているということでございます。近々二百年の歴史しか持たないのに私はイギリスでペットボトルで紅茶を飲む姿を見ることはほとんどありませんでした。急須に入れてティーポットで飲むということです。したがって我々大人もできる限り急須で入れたリーフ茶をおいしくいただくという習慣を我々が持っていかないと子供になかなかそれが伝わらないということではないかというふうに存じます。そのことは同時にまた茶器というものを生産する人たちを励ますことにもなるだろうと。まさに茶の文化を励ますことになるというふうになろうと存じます。
 ところで昨年、健康寿命が公表されましたけれども本県は男女総合で一位となりました。どうしてかといいますればお茶は、例えば体脂肪率の低下に役に立つ、あるいは認知症の予防に役に立つ、あるいはがん予防に役に立つ、あるいはアレルギーの改善に役に立つということが科学的に証明されています。そうしたお茶を県民がたくさん飲まれていると。日本全体の平均の二倍お飲みになっているということが健康寿命日本一の要因であると考えられます。全国にこうした静岡茶の機能性や効用に関する情報を発信し、消費拡大につなげてまいりたいと考えております。
 本県は生産量、流通量、個人消費量、いずれも全国一の茶どころ日本一、すなわち茶の都、ティーアンドフードポリスです。そうした茶の都静岡から静岡茶の魅力を国内外に向けて発信し、販路拡大を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(中谷多加二君) 渥美経済産業部長。
○経済産業部長(渥美敏之君) 茶業の振興のうち、茶の生産支援についてお答えいたします。
 県ではこれまで生産量日本一を守るため、乗用型管理機の導入や茶園の集積などを推進し、この十年間で三ヘクタール以上の茶農家が約四倍になるなど経営規模の拡大が進んでおります。また茶園管理の機械化が難しい中山間地域では、ふじのくに山のお茶百選など生産農家がみずから取り組む味や香りに特徴ある付加価値の高い銘茶づくりを支援してまいりました。
 今年度からは茶業経営の体質強化を図るため、地域の核となるモデル共同茶工場にJAや経営コンサルタント等の専門家チームを派遣し、茶園集積や基盤整備、収穫作業の共同化、販売戦略の策定などを支援しております。また生産量が減少している二番茶、三番茶を活用し現代の多様な嗜好に合った売れるお茶づくりを進めるために昨年度茶業研究センターに発酵茶の製造施設を整備し、紅茶、ウーロン茶などの発酵茶や香りが高く機能性に富んだ新たな煎茶の開発を支援しております。
 県といたしましては、これらの取り組みにより関係団体と連携し、今後も本県が日本一の生産県であり続けるよう茶業の振興を図ってまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 六番 佐地茂人君。
       (六番 佐地茂人君登壇)
○六番(佐地茂人君) 御答弁をいただきありがとうございました。
 知事のおっしゃる茶の都のお話、東京でもお話を伺いました。非常にすばらしい構想だとも思っております。ティーアンドフードポリス。私きょう初めて名前もしっかり聞いて確認させてもらったんですが、また私もしっかりお茶に対してさらに勉強もしていきたいと思っていますし、また外国でお茶はかなり外の風景でも見られますが、日本茶も外で購入ができて販売にもつながるような、そういう日本であり静岡県でお茶を飲みながらまちを歩くような、そういうまちになったらいいな、なんていうことも自分としては考えております。
 それでは次に移ります。
 次に、農業の振興策について質問します。
 初めに、都市部に居住する農業者の支援策であります。
 静岡市では都市化が進行し、意欲的な農業者が農業経営を継続する上で農地の確保が課題となっております。土地の宅地並み課税により市街化区域の農地は、ここ八年でかなり宅地などへとさま変わりしました。そのため市内に在住し農業を継続する農家の中には、他市町の農地を借り受けて生産している者も数多くあります。他市町で農業を営むとその市町の農業支援策を受けることができるようになる一方で自分の住んでいる町の支援策は受けることができなくなります。また農地を借り受けしている市町の農業支援策や制度の情報がわかりにくいという問題も挙げられます。今後はこのような広域的に農業を営む農家がふえていくと考えられ、県が調整や情報提供などの積極的なサポートを行う必要があると考えます。
 一方、道路の拡幅に伴い農地を提供することで農地が減少し農業をやめざるを得ないこともあります。地権者は農業を続けるための対策を望んでいますが、このような用地の提供時には道路関係の事業課が対応するため、隣接する農地の情報や耕作放棄地情報など今後の農業経営にとって意義のある内容を提供したり提案したりすることが容易にできない状況であります。
 そこで、このような農業者が将来にわたって農業を営み続けることができるよう農地に関する情報提供など、耕作放棄地を含む当該市内及び周辺市町の農地を円滑に借り受けするための県の支援策について、どのようにお考えかお伺いをいたします。
 次に、新規就農者へのアフターケアについてであります。
 本県では、新規就農を促進するためさまざまな施策を展開しており、私もテレビジョンの番組でこの事業を行っている様子を拝見し、よい取り組みがされていると感じました。また就農準備として就農支援資金を無利子で十二年以内の期間で融資する制度や、就農直後に年間百五十万円の給付金を受けながら五年間で農業経営を軌道に乗せる制度もあります。頑張って経営している若手の農業経営者と次世代の農業経営者の育成は、本県の将来においても非常に重要な取り組みであります。若手農家の方からは、自分のところで就農希望者の指導をしたが、農業経営は甘くないのでその後のことが心配になる、軌道に乗るまでの支援が必要であるとの御意見を伺っております。
 そこで、国や県の施策に基づき新規に就農した方々のその後の状況とアフターケアのための支援策やその活用状況について伺います。
 次に、食農教育活動についてであります。
 ことしの十月にJA静岡青壮年連盟から食農教育活動の推進について、県に提言がされました。提言では、食に関する取り組みと比べて農業に関する内容が十分ではないので、農業体験学習の機会をふやす必要があるとのことでありました。そして食と農に対する正しい理解と健全な食習慣を持つ消費者の育成と将来の担い手づくりを進めていくことを目標に、行政にも協力をしてほしいとの要望を伺っております。
 現在本県では、次年度へ向けて県経済産業ビジョンや食育推進計画の改定作業を進めているところであります。農業体験学習は、小学生や中学生だけでなく幼児から高校生や大学生にも必要であると感じております。
 そこで、農業体験学習の機会拡大について県の所見をお伺いいたします。以上について、答弁をよろしくお願いいたします。
○議長(中谷多加二君) 渥美経済産業部長。
○経済産業部長(渥美敏之君) 農業の振興策についてのうち、まず都市部に居住する農業者の支援策についてお答えいたします。
 県では、地域農業を担っていく意欲的な農業者の経営を発展させるため、認定農業者等への農地の集積を進めており、農地利用集積円滑化団体であるJAに農地の貸し借りを調整する推進員を設置するなどの支援を行っております。認定農業者等に対する農地の紹介やあっせんは市町の農業委員会やJAが行っておりますが、他市町で農地を借りる場合にはその市町で認定農業者になることで支援を受けることが可能であります。例えば静岡市の露地野菜経営を行う農業法人は、菊川市で認定農業者となり、耕作放棄地を含めた八ヘクタールの農地を借り規模拡大を図っております。
 また県では農林事務所がこうした農業者の相談窓口となり、市町や農業委員会、JAなど関係機関と連携し、各市町の農地の状況や特色ある農業支援策等について情報提供しているところであります。
 県といたしましては、現在国において農地中間管理機構の機能として検討している農地を借りる農業者等を公募する仕組みなどの活用も視野に入れ、都市部に居住する方も含め意欲ある農業者が円滑に農地を借り受け、農業を継続できるよう支援してまいります。
 次に、新規就農者へのアフターケアについてであります。
 県では自立就農を目指す青年等が、先進的な農業経営者のもとで一年間の実践的な研修を行う、がんばる新農業人支援事業を平成十六年度から実施し、これまで八十名が自立就農しており、そのうち現在も七十八名の方が経営を続けております。またこの二カ年で国の青年就農給付金を受けた百七十五名の方については、現在百七十四名の方が経営を継続しております。
 就農後、早期に経営安定を図るためには農業技術のレベルアップや経営能力を高めることが重要であることから農林事務所、JA、研修を受け入れた農業経営者等が連携し、技術的なフォローや先進経営体に学ぶ研修会の開催、無利子資金の貸し付けなどの支援を実施しているところであります。無利子資金は、これまで自立就農した八十名のうち七十三名が利用しております。
 県といたしましては、地域の関係機関と連携し経営発展段階に応じて農業技術や経営能力の向上のための支援策を講じ、将来本県農業の中核となるビジネス経営体へと発展するよう支援してまいります。
 次に、食農教育活動についてであります。
 命を育む食とそれを生み出す農林水産業、農山漁村の大切さについて理解を深める食農教育活動が大変重要であり、県ではNPO等民間団体やJAが行う食農教育活動に対する支援をしているところであります。例えば掛川市内のNPO法人は、サツマイモの生産から干し芋づくりまでの体験を通じて地域の食文化を子供たちに伝える活動を実施しております。また県内各JAの青壮年部や女性部などが田植えや稲刈りなどの農業体験活動を実施しており、参加者は年々増加し平成二十四年度には延べ五万人となるなど各地域で食農教育活動が活発になっております。さらに多くの子供たちに農業体験学習の機会を拡大するためには、学校教育の中で進めていくことが重要であることから、学校教諭や栄養士などを対象に食農体験学習の指導者を養成する講座を開催しており、六年間で百十人が修了し学校教育の現場などで活躍しております。
 今後も食と農林水産業、農山漁村の大切さについて県民の理解が深まるよう、市町、農林漁業者、JAなどと連携して農業体験学習の機会を拡大し、食農教育活動をより一層推進してまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 六番 佐地茂人君。
       (六番 佐地茂人君登壇)
○六番(佐地茂人君) 御答弁をいただきありがとうございました。
 七十八名と百七十名ということで、かなり新たに就農されている方々がいらっしゃるということでありますが、先ほども申し上げましたとおり、かなり農業というのは難しいというお話で五年以上継続していくことができれば何とか頑張っていけるのではないかというようなお話であります。ぜひ継続した形で御支援を今後も取り組んでいただきますようによろしくお願いいたします。意見、要望でした。
 次に、本県のイメージ戦略について質問します。
 本県のイメージは、諸調査によるとおおむね良好なものが多いのでありますが、恵まれた環境等のいわば受け身的イメージが強いと言われております。産業集積、県民所得、インフラ充実度などGDP三%を誇る雄県としてのいわば打って出るイメージ発信がこれからは重要であると考えております。
 県では、富士山世界文化遺産登録を契機として本県の魅力を県内外に発信し、静岡県のファンの一層の拡大を図っていると承知しております。またテレビ番組の「サザエさん」のオープニングでは本県の各地域が紹介されており、十二月一日の放送では三保の羽衣伝説にリンクした内容が放送されました。地域のイメージは、人々がそのまちに住もう働こうとする動機づけや地域全体が好感を持たれる要素となる大事な地域の資産の一つであります。イメージ戦略は地域のイメージという資産づくりに取り組むことであり、多くの自治体でさまざまな取り組みを行っています。最近の効果的なイメージ戦略では、メディアやネットを通じて発信する映像により短時間で好印象を与え、例えば富士山イコール静岡県のようなイメージを頭の中につくり出し、そのまちのよいイメージを広くさまざまな人へアピールし、行く行くはそのまちへ行きたいとかそのまちに住みたいとかそのまちへの愛着心を持つという効果が期待されます。
 例えば、神奈川県ではユーチューブを活用し、AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」の音楽に合わせて県内の名所や施設を宣伝したところ、アクセス数が約二百八十六万回になり十数億円相当の宣伝効果が上がったとのことであります。熊本県では御存じくまモンが副知事として活躍しており、熊本県内の行政が作成したチラシやパンフレットに掲載されるだけでその効果は抜群であり、最近ではテレビで天皇陛下とお会いするニュースやくまモンが海外へ熊本を宣伝する旨の報道もありました。
 このように、富士山が世界文化遺産に登録された追い風に乗って、本県のイメージをさらに県民の皆さんや世界中に特に若年層にも売り込む新たな戦略が必要ではないかと思います。本県のイメージ戦略の現状と今後の方向性について、どのようにお考えか伺います。以上について答弁をお願いいたします。
○議長(中谷多加二君) 吉林知事戦略監。
○知事戦略監(吉林章仁君) 本県のイメージ戦略についてお答えをいたします。
 本県では、若年層に向けた情報発信として今年度からメディアやインターネットなどを活用いたしましたイメージ戦略に力を入れております。磐田市出身で若者に人気の高い長澤まさみさんを起用いたしまして、ウエブサイトやフェイスブックを通じて「いいね!静岡 国民投票」と銘打ったキャンペーンを十二月二日から開始をいたしました。また現在放送されております「サザエさん」の県内各地を舞台にしたオープニング映像を、秋編から冬編に来年一月から衣がえを計画をしております。富士山を初め豊富な食材など本県の多彩な魅力を全国に情報発信してまいります。
 これに加えまして、富士山をモチーフに製作されました県のイメージキャラクターふじっぴーによるイメージ戦略を進めております。十月に富士スピードウェイで開催されました自動車レース世界耐久選手権では、十一カ国十九チームや海外メディアの方を含む約三百名に対しまして、静岡県を代表するキャラクターとして大変な人気を博しました。各チームにプレゼントをいたしましたナンバーワンふじっぴーのぬいぐるみは、フェラーリなどのレーシングカーに乗せられまして、この写真が世界に向けて報道されるなど手応えを感じたところでございます。
 今後は、こうした地域外交にも積極的にふじっぴーを活用いたしますとともに、既に県内外の計十八社がイラスト等に活用しております民間利用をさらに拡大してまいります。また着ぐるみをより動きやすく改良をするなどイメージキャラクターを活用したイメージ戦略を一層進めてまいります。
 ことし六月に世界文化遺産に登録されました富士山を初め本県の魅力を世代を超えて国内外に情報発信するためには、イメージ戦略が効果的でありますことから今後とも具体的な活用を図ってまいります。以上であります。
○議長(中谷多加二君) 六番 佐地茂人君。
       (六番 佐地茂人君登壇)
○六番(佐地茂人君) 御答弁をいただきありがとうございました。
 知事は長澤まさみさんの出ている県のホームページ、もう既にごらんになられたでしょうか。私は世界文化遺産となって静岡県のホームページもかなりアクセスがふえているとお聞きしていますが、六十万回。神奈川はちょっとした工夫で三百万回に近い五倍に近い数字を獲得していると。まあ数字ばかりではないんですけれども、やはり新たな取り組みも必要ではないかというふうには感じております。
 次に、本県の観光戦略について質問します。
 初めに、夜景を活用した誘客についてであります。
 都市の景観を演出する夜景は、その土地の風土や歴史、文化を体験することができ、まちの魅力を高める上で重要な観光資源であります。夜間における都市空間の活用により夜までいたくなるまちや夜に訪れたくなるまちを県内外へ情報発信し、集客につなげていってほしいと感じております。
 静岡県には、山間地に恵まれている市町も多く高地から眺める夜景はさまざまな顔を持っており、本県の魅力の一つであります。沼津港の夜景や熱海の夜景、富士の工場の夜景や日本平から見る百万ドルと言われる夜景、梶原山公園や山原からの夜景、高草山や金谷の夜景もすばらしいものがあります。夜景でネット検索すれば静岡夜景ナイトウォークというページが検索されますが、以前からかなり継続しているホームページで見応えがあります。このような夜景のホームページと県のホームページがリンクすることができれば、本県の宣伝効果につながると考えます。またやはり夜景は自分の目で見ることにより、その感激を体で感じることに最も醍醐味がありますので、夜景のハンドブックなども作成してほしいところであります。
 そこでお伺いをいたしますが、県内には夜景のきれいな場所が多く夜景を本県のPRに生かしたらどうかと考えますが、夜景の効果についてはどのようにお考えですか。また夜景を活用した誘客についてはどのようにお考えか伺います。
 次に、徳川家康公顕彰四百年事業についてであります。平成二十七年は徳川家康公没後四百年目となる年であります。家康公が将軍職を秀忠公に譲って駿府に退隠したと言われておりますが、主権者としてのよりどころであった源氏の長者は譲っておらず、駿府はまさに事実上の首都としての機能を持っていたとされています。当時日本を訪れた外国人宣教師らもそう認識していたことがわかっています。現在、静岡市と浜松市と岡崎市が連携し徳川家康公顕彰四百年記念事業を展開しているところであります。
 本県においても、このような家康公の果たした主権者としての功績を再認識し、県内の市町と連携して四百年事業に取り組むことが重要であると考えます。そこで徳川家康公顕彰四百年事業における県の果たす役割についてのお考えとどのように県民へ周知し、県民と一体的に取り組んでいくのか伺います。
 徳川家康公顕彰四百年記念事業のホームページを見ますと、「出張!なんでも鑑定団in静岡」の公開録画を来年の一月十三日にグランシップにて開催するとのことであります。また静岡市美術館では没後百年徳川慶喜展を開催中であります。ことしの九月二十二日には第一回目の家康公検定が開催され、十一月には合格者が発表されました。このように四百年祭をお祝いする機運を高める行事が各地区で開催されております。来年度は四百年祭の前年度に当たりますので、プレイベントなど多くの翌年につながることを期待しております。
 そこで、二〇一五年に向けて二〇一四年のプレイベントがどのようになるのか伺います。
 私の地元の駿河区には久能山東照宮があります。徳川家康公の遺言により遺骸が納められた場所こそが久能山東照宮であり、全国の東照宮のいわば発祥の地であります。社殿は当時の最高技術をもってして造営され、平成二十二年十二月に国宝指定されました。本県のみならず我が国にとっても大切な財産であります。徳川家康公顕彰四百年事業には久能山東照宮を欠かすことはできませんし久能山東照宮とともに育った地域の方々は、家康公とのつながりに誇りと愛着を持ち、その魅力を多くの人々に知っていただきたいと願っております。
 そこで、県と久能山東照宮との連携について、どのようなことが考えられるのかお伺いしたいと思います。以上について答弁を求めます。
○議長(中谷多加二君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 本県の観光戦略についてのうち、徳川家康公顕彰四百年事業についてお答えをいたします。
 徳川家康公は、戦国時代に文字どおり終止符を打たれました。世に知られる元和偃武です。元という字ははじめるとも読みます。偃というのはとめるという意味ですから、和を始め武をとめるということで、文字どおり平和をしっかりつくるという、その意思がここに示されております。ただに国内のみならず対外的には豊臣秀吉のときには朝鮮との戦争がございましたけれども、家康公御自身はその戦争には参加されず、統一後は捕虜の交換などを通じて李氏朝鮮との交流を始められ、それは後の朝鮮通信使になりました。またスペイン、イギリスとの交流もあったのは県議も御承知のとおりであります。さらに中国は、明が内部崩壊をしつつあるそのすきに乗じて女真族が清国をつくるということで明からの援軍が求められますけれども、これも家康公の遺訓をしっかり大事にした家光が、その中国の内乱にはかかわらないということをいたしまして、文字どおり平和外交というものを貫かれたわけでございます。こうして徳川二百七十年の太平の世が築かれました。徳川家康公没後四百年を記念いたしまして、その御遺徳を国内外に発信し家康公のふるさとと言うべき静岡を内外にアピールすることは、まことに意義深いことでございます。
 このため県では、静岡市、浜松市、岡崎市、商工会議所などと徳川家康公顕彰四百年記念事業推進委員会、これに参画いたしまして家康公ゆかりの事物を活用した情報発信と旅行商品の造成の役割を担っているところです。具体的には家康公ゆかりの名所や逸話を県民の皆様から募集をいたしまして、三カ国語の冊子としたふじのくに家康公観光事典を国内外の商談会や観光展等で活用しております。今年度は、家康公ゆかりの食材を使った新名物の開発やいわゆる歴史好きの女性――歴女を対象としたモニターツアーの実施などさまざまな企画を通して県内全域の観光誘客に努めることとしています。
 今後は、委員会と連携をいたしまして大河ドラマ「徳川家康」の誘致などを行うほか、来年三月から開催される浜名湖花博二〇一四の徳川園芸館におきまして――徳川将軍は歴代、草花、庭を愛されました――そうしたことからこの徳川園芸館におきまして、家康公ゆかりの観光スポットを映像で紹介する特別展示を実施し、四百年事業の機運を醸成してまいります。
 なお、久能山東照宮にはふじのくに家康公観光事典の作成に当たりまして、貴重な御助言を賜りました。国宝久能山東照宮の情報発信や観光誘客についても引き続き御協力をいただけることになっています。
 今後は、県民の皆様と一体となりまして徳川家康公顕彰四百年記念事業を推進し、家康公が愛したふるさとの地、この静岡からその御遺徳を顕彰して平和づくりの土地としての静岡。これを国内外に広め観光誘客につなげてまいります。以上でございます。
○議長(中谷多加二君) 下山文化・観光部長。
○文化・観光部長(下山晃司君) 本県の観光戦略についてのうち、夜景を活用した誘客についてお答えいたします。
 日本三大夜景と言われる函館、神戸、長崎を初めとする全国各地の魅力的な夜景スポットは、観光客の満足度が高く誘客効果が大きいため、宿泊を伴う滞在型観光の大変重要な資源となっております。
 県内では、例えば南伊豆町では青野川の河津桜並木のライトアップに合わせLEDの光の球を川面に浮かべるイベント夜桜流れ星。沼津市では山頂で夕焼けから夜景への変化を楽しむ香貫山ハイクでトワイライトCafe&沼津の港めしツアーなどそれぞれの市町が独自の企画で観光誘客に取り組んでおります。
 県では、こうした取り組みの旅行商品化について販路の開拓などを支援するとともに、県観光協会のホームページ「ハローナビしずおか」で各地の夜景スポットを掲載するなど夜景を活用した観光誘客を促進してまいりました。
 今後は、市町や観光関係団体と連携して県内各地の美しい夜景をフェイスブックなどで情報発信するとともに、夜景がセールスポイントのホテル、レストランや観光施設と連携した新たな旅行商品の開発も検討してまいります。以上であります。