平成28年2月静岡県議会定例会

2016年3月4日

質問内容

質問者: 佐地 茂人議員
質問分類 一般質問
質問日: 2016/03/04
会派名: 自民改革会議

○副議長(杉山盛雄君) ただいまから会議を開きます。
議事日程により、知事提出議案第一号から第八十九号までを一括して議題といたします。
質疑及び一般質問を行います。
通告により、十番 佐地茂人君。
(十番 佐地茂人君登壇 拍手)
○十番(佐地茂人君) それでは通告に従いまして自民改革会議の一員として知事、関係部局長並びに教育長、警察本部長に対し質問をいたします。今回は大きく六点の質問を分割質問方式で質問させていただきます。
初めに、子育てに優しい静岡県づくりと結婚支援についてであります。
昨年十二月に「日経DUAL」と日本経済新聞が実施した「共働き子育てしやすい街地方都市編」において、静岡市が二〇一五年ランキングで堂々の一位を獲得しました。市立の保育園と幼稚園を国の子ども・子育て支援制度の移行に合わせて全て認定こども園に移行してきたことが大きな理由ではないかと推測します。
一方で、認定こども園、保育園、放課後児童クラブについてはともに人員が足りないこと、つまり保育士や放課後児童クラブの指導員が募集しても集まらないことが喫緊の課題であり、本県においても大きな課題であると考えます。
ところで、少子化には歯どめがかからずなかなか結婚をしたいと感じない、結婚をしても子供を産むと損をするという考え方やもう一人子供を産んで育てようという気がしないのは、やはり子供を産み育てることに対して幸せという価値観の広がりが薄いことや社会全体が子供や子育て世帯にまだまだ優しくないからではないかと考えます。国会では「保育園落ちた日本死ね」というメールが話題をさらっておりますが、こうしたことの気持ちに配慮ができる社会でありたい、そう願っております。
人口減少対策のポイントの一つは、結婚機運の醸成と多くの子供を産み育てられる環境づくりであり今の世の中は子育てに厳しいのではないでしょうか。本当に人口減少に歯どめをかけるのであれば子供と子育て家庭に優しい社会づくり、意識の共有を推進すべきではないでしょうか。果たして本県の現状を鑑みると子供を産み育てやすいと言えるでしょうか。子供と子育て家庭を社会全体で支えていこうという気持ちが重要であるという意味では子育て優待カードのサービスがあります。子育て中の女性やイクメンパパを社会でもっとどのような形であれ評価することが大切であると思います。
一方、結婚機運の醸成については結婚支援を推進することであります。若い世代が結婚や家庭を持つことに夢を抱きその夢がかなえられるように「出会ってよし 結ばれてよし」のふじのくにづくりに取り組んでいくとのことでありますが、結婚支援の仕組みづくりについてはどのようになっているでしょうか。
そこで、二点お伺いをいたしますが子育て家庭に寄り添う支援が大切であり子育て優待カードのさらなる充実が必要と考えますが、誰もが安心して子供を産み育てることができる子育てに優しい静岡県づくりのため本県はどのような取り組みを実施していくことができますか。あわせて結婚支援策をどのように進めていくのですか、お答えください。
次に、ふじのくに地球環境史ミュージアムの開館についてのうち、まずはミュージアムの魅力づくりについてであります。
いよいよ三月二十六日から開館になりますが、先日訪問するまでは投資的経費も少ないため寄附をいただいた昆虫標本や骨格標本、?製などの展示が中心になるものと考えておりました。実際に伺ってみると少し様子が違いました。環境ジレンマという課題を初めいつの間にか地球の環境について考えさせられてしまうまさに地球環境史のミュージアムであることを実感しました。見せるから対話へのコンセプトのもとスタッフが案内して考えることを重要視しており、あえて余計な文字での説明はありません。地域の自然環境の保全を地球環境の問題として考えようと実に上手につなげていると感じた次第であります。
このようなミュージアムが開館することは、多くの県民が自然について学び考える機会となるとともに、本県の豊かな自然環境の魅力を再認識することにつながるものと大いに期待をしているところであります。小学生には少し難しいかなと感じたところもありますがボランティアなど地域の方々の力をおかりして子供たちに昆虫や動物さらには地球環境への関心を呼び起こし、好奇心の向上につなげて将来の博士を多く生み出してほしいと感じました。このミュージアムは高等学校の再編によって統合された旧県立静岡南高校の校舎を利用するものであり県の資源を有効活用するという点でも評価できますが、高校の教室を利用するために博物館としての利用にはかなりの制約もあるのではないかと思います。
そこでお伺いをいたしますが、県立高校を活用した新たなミュージアムの開館に向けてどのような展示を行い魅力あるミュージアムとしていくのか、県の所見をお伺いいたします。
次に、ミュージアムへの交通アクセスと情報発信についてであります。
ふじのくに地球環境史ミュージアムは、静岡市の有度山の西斜面に位置し交通アクセスの面がウイークポイントになっております。来館者の多くは自動車で来館すると見込まれるため、現在駐車場や案内標識の整備が進められておりますが公共交通機関である路線バスを利用する場合には静岡駅から最寄りのバス停までバスで三十分も要し、さらに徒歩で約一キロの坂道を登ることになります。ふじのくに地球環境史ミュージアムが広く県民に親しまれる施設となるためには交通アクセスの充実が重要であります。また周辺の大谷小学校や駿河区の保育園などには既にアプローチをかけて来場への広報活動も行っているようでありますがミュージアムの存在と交通アクセス、展示の内容を県内外の皆さんに広く知っていただくことも重要であります。
そこでお伺いをいたしますが、県ではミュージアムの開館に当たり交通アクセスと情報発信についてどのような対策を講じていきますか、お答えください。以上について答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
(知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 佐地議員にお答えいたします。
子育てに優しい静岡県づくりと結婚支援についてでございます。
社会に希望と活力を与える子供は地域の宝であり、この大切な宝を育てる子育ては最もとうとい仕事であり子供を地域全体で育てるということが重要であります。佐地議員におかれましてはイザナミとイザナギが国産みをいたしましたときに淡路島から始めまして八つの島を産みました。恐らくそれに倣ってか、すばらしい奥様と八人目のお子様の名前がたしか叡人。比叡山の「叡」という字に茂人議員の「人」と、すばらしい命名でございまして健やかに育っていられるものと思っておりますけれども、それだけにこの子育てにかかわる御質問は極めて重要なものというふうに受け取っております。
ただに日本だけでなく、欧米の世界におきましても神様が天地創造をした後、自分の姿に似せて人をつくって産めよふやせよ地に満てよと言ってそして休息に入られたわけです。ですから今は子育ては母親と父親だけがするのではなくて実際はもう地域全体、町全体、市全体、県全体、国全体ですることだということで子育てはみんな地域一体でやろうと。こういう機運が高まってきております。この機運を子育てにどのように具体化させていくかということが課題であると存じます。私どもは子育てほどとうとい仕事はないと。仕事と子育てとを分離するんではなくて一番大切なのは人材の育成でその一番の根本はお子様を授かりそれを健康に、立派な子供に、大人に育てていくことだというふうに思います。しかしその前によき出会いがなくてはなりません。出会い、結婚、子育てまでの切れ目のないさまざまな支援を行うとともに、社会全体で子供と子育て家庭を応援しているところであります。
しずおか子育て優待カードは、子育て家庭を応援する機運の醸成を目的にしたもので全国に先行して十年前にスタートいたしました。来月からは全国展開されまして他県でも利用できるようになり子育てを応援する輪がさらに広がったところでございます。また身近な方々が子供や子育て家庭を支援するふじさんっこ応援隊は現在約一千二百の企業や関係団体等が参加してくださっており、応援隊の活動を広く周知するふじさんっこ応援フェスタには毎年約一万人以上の方が参加されているなど社会全体で子育てを支える意識の共有と機運が高まっております。
結婚支援につきましては、今年度結婚に関する相談や出会いと結婚を応援する世話人の養成などを行うふじのくにマリッジサポートセンターを東部地域で開設いたしました。現在約九十の企業や団体等が参加するなど従業員の地域での出会いや結婚を応援しようとする取り組みが大変好評でございまして、来年度からは全県に拡大し地域における結婚支援の体制を強化充実してまいります。
また、市町別に出生率に影響を与える要因分析を行いましたふじのくに少子化突破戦略の羅針盤という冊子でございますけれどもこの冊子では出生率の地域差があることが明瞭になっておりまして若い方々の出会いや就職、結婚にかかわる要因が大きく影響していることが明らかとなり、この分析結果が政策にもつながるということで石破地方創生担当大臣から記者会見の席でわざわざ全国に向けてお褒めの言葉をいただきこれをモデルにするように言われたことでございました。こうしたこの羅針盤を今後も積極的に活用しまして地域特性を踏まえた効果的な結婚支援策などに取り組み、若い世代が結婚や家庭を持つことへの夢を抱きその夢をかなえることができる環境づくりを進めてまいります。
今後も、市町や企業、関係団体などと連携しオール静岡で子育てをしている方や家庭を応援する施策にしっかり取り組むことで誰もが佐地議員のように安心して子供を産み育てることができる子育てに優しい静岡県づくりを推進し、「出会ってよし 結ばれてよし」、「生んでよし 育ててよし」というふじのくにを実現してまいる所存でございます。
次に、ふじのくに地球環境史ミュージアムの開館についてのうち、ミュージアムの魅力についてであります。
ふじのくに静岡県には富士山、南アルプス、駿河湾など自然美にあふれる県土に多様な動植物や希少な生物種が生息・生育しております。この豊かな自然環境を後世に引き継ぐためには地域の人々にその価値を知っていただくことが大変重要です。自然史と環境史を研究領域とするふじのくに地球環境史ミュージアムはその拠点としての使命を期待されているものであります。
これまでの博物館におきましては、固定的で豪華な展示が主流であり時の経過とともに陳腐化してしまう傾向が見られております。静岡県のこの地球環境史ミュージアムにおきましては高等学校の校舎を活用した機能的で簡潔明瞭な展示を基本としつつ、従来型の見る展示から考える展示へと進化を目指しております。
例えば、常設展示では教室空間をそのまま生かし十ある展示室ごとに海、大地などのテーマを設定し多彩な標本や地形の模型などを駆使した展示により豊かな自然に育まれたふじのくに静岡の多様な生態系を感じていただくほか、研究員等の御解説で人と自然との関係の歴史を振り返り未来のあり方を考えていただく構成となっております。
私、先般行ってまいりました。館長並びに研究者、いずれも博士をもらっている方とお目にかかり内覧をさせていただきましたが、なるほど議員が御心配のような心配すなわち高校の跡地を利用したものでございますために博物館としての利用にかなりの制約があるのではないかという懸念を持っていたわけです。しかも私は旧南高も見学をしておりましたので果たしてこれが博物館にうまく変わり得るかという懸念を持っておりました。玄関が旧来の正面玄関から右側につけかえられておりまして旧来の正面玄関はデッキが張られましてそこから向こう側の美しい景色を遠望できるようになっております。そしてまた入ったところは実に感動的な展示がなされております。地球がわかるように展示されております。そして各部屋にそれぞれの研究者が地質だとか昆虫だとかあるいは海洋だとかそれぞれの専門家が工夫を凝らして高校で使われていた黒板とかボードであるとかあるいは椅子とか机を見事に活用せられておりましてそれはそれは感心いたしました。一種の美術館に近いと。しかもダイナミックに編成されておりましてそして展示室は十でございますけれどもこういう博物館というのは物すごいたくさんの物を持たねばなりません。それを置けるだけの空間があって何と広さはあのアメリカのスミソニアンに匹敵するんです。しかも驚きました、周りはもうきれいですから。向こうは都会ですからね。ということだけではありませんで建設費用が十数億だと思いました。現在ですね、滋賀県とかあちらこちら二十一世紀になりましてからつくられている博物館は百億を皆超えております。中には二百数十億のものもあります。したがって十分の一、二十分の一の額であれほどのところにすばらしい博物館を持てたと。しかも先生がすばらしい。そして既に行動されています。いわゆる移動ミュージアムです。その移動ミュージアムの参加者が、当初は彼らも懸念を持っていたみたいですけれども十万、二十万という数字だそうですよ。数十万の単位でこの半年の間に。ですからいかに解説がうまいかということとですね、自然あるいは博物あるいは生物ですね、こういうものにかかわる関心が子供たちを中心に高いかということでございましてこれには高い期待を持てると。安田館長のもとで一致団結して皆様方すごい張り切っておられました。
来年度の企画展示では、国内外や本県に生息する蝶――バタフライですね――の標本を活用し蝶と自然環境に関する展示を行うほか、対話や交流を重視したガイドツアーなどにより日ごろは来館者が目にする機会のない博物館の舞台裏で働く研究員にも接していただきましてミュージアム活動の理解促進を図ってまいります。
この地球環境史ミュージアムは、大きく化ける可能性があります。お隣に静岡大学の農学部があります。もちろん理学部も人文科学部もあと教育学部もございます。ですから大学と隣接しているわけですね。もともと高校のところですからそうアクセスが悪いわけではありません。何よりも眺めがいいです。ですからデートコースになるかなとすら思うぐらいです。
それからですね、地球四十六億年の歴史がわかるようになっているんですね。我々はこの地球というのはもう生まれたときからあるように思っておりますが実際はダイナミックに変動してきたと。自然にも歴史がある、環境にも歴史があると。そして今その歴史を我々が一緒につくっているということで人間と自然というものの、何ていいますか、連関が、またそのダイナミックな関係がわかるように、また人間以前の関係もわかるようになされております。私はさすが安田さんと。スウェーデン王立アカデミーのメンバーですからね。ストックホルムにありますあのいわゆるノーベル賞のアカデミーであります。
このような新しい展示構成のもとで、研究員と来館された皆様との対話や標本作成講座などの体験型のイベントを通じて常に最新の情報を提供し、広く県民の皆様に親しまれる活動を展開する新しいタイプの博物館として全国に誇れる、いや世界に誇れる知の拠点づくりを進めてまいる所存でございます。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 西田文化・観光部長。
(文化・観光部長 西田郁夫君登壇)
○文化・観光部長(西田郁夫君) ふじのくに地球環境史ミュージアムの開館についてのうち、交通アクセスと情報発信についてお答えいたします。
ミュージアムが位置する静岡市大谷地区は、豊かな自然に囲まれ自然環境を守り育てる博物館のコンセプトにふさわしい立地である反面、交通アクセスが課題であると認識しております。このため敷地内に大型バスを含め約二百台分の駐車場を設置するとともに、自動車で来館できないお客様の利便性を確保するためバス事業者にバス路線の一部区間を運行委託し、静岡駅からミュージアムに直接乗り入れる路線バスを開館日の三月二十六日から一日八往復運行することといたしました。
また、県民だよりを初め新聞、テレビ等のさまざまな広報ツールを活用し開館に合わせた重点的な広報を展開するとともに、ホームページはもとよりフェイスブックやツイッター等のSNSも活用し展示内容などの基本情報や各種イベントの開催などの最新情報を随時発信してまいります。
加えて、県内小中学校を巡回するミュージアムキャラバン、富士山こどもの国等を会場としたミニ博物館などのアウトリーチ活動や県立美術館や日本平動物園等の近隣施設と連携したPRを展開することによりミュージアムを知っていただき、そしてミュージアムを訪れたくなるような効果的な情報発信に努めてまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 佐地茂人君。
(十番 佐地茂人君登壇)
○十番(佐地茂人君) 御答弁をいただきありがとうございました。
恋人が集うミュージアムになるには、夜の夜景等の活用なんかもすばらしいかと思います。
それでは、ミュージアムの交通アクセス関係について再質問をいたします。
静岡鉄道のバスが延伸してミュージアムに乗り入れるとのことでありました。バスの利用者はどの程度を見込んでおりますか。また昨年の十二月から日本平観光による地域コミュニティーバスがスタートしこの地域を巡回運行しております。このバスはミュージアムには停車しませんがこのような地域バスの活用も一案であると考えます。またコミュニティーバスの運行と県が行うアクセスバス事業が混在することに対しては支障がありませんか。以上について答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 西田文化・観光部長。
○文化・観光部長(西田郁夫君) ふじのくに地球環境史ミュージアムの開館についての再質問にお答えいたします。
まず一点目、バスの利用者はどの程度想定しているのかということでございますが通常やや立地に、足に不便なところにございますので自家用車等の利用が主だと思っておりますけれども、経験則上約一割ほどの方がバスを利用されるのかなと思っております。開館年度自身は年間十四万六千人ほど見込んでおりますのでその一割ということになれば一万四千六百人ほどということで見込んでおるところでございます。
二点目、議員からお話がございましたもう一つ、コミュニティーバス。日本平自動車がバスを運行するということも情報を伺っております。ただこちらのほうはあそこの地域の駿河台あるいは洋光台の団地の高齢者の買い物や通院等の利便性の向上などに運行されるということで伺っております。また便数も一日三便ということでございますのでミュージアムに訪れる方が利用するということはやや難しいかとは思いますけれども、昼間の一便は使うこともできるかなと思っておりますのでそれもお使いいただいてミュージアムに来館されればと思っております。ただ日本平自動車のほうは起点が東静岡駅ということになっておりますので我々がお願いしているバス事業者のほうは静岡駅起点ということでございますのでちょっと起点が違うところがございますけれども、さまざまなところからミュージアムに訪れていただくということは好ましいことと思っておりますのでぜひ御利用いただきたいと思っております。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 佐地茂人君。
(十番 佐地茂人君登壇)
○十番(佐地茂人君) 御答弁をいただきありがとうございました。
次に、地震・津波対策について、初めにアクションプログラム二〇一三の進捗状況について質問します。
地震・津波対策アクションプログラム二〇一三は、静岡県第四次地震被害想定第二次報告に合わせて十一アクションの追加を盛り込み平成二十五年十一月に策定されました。平成二十五年から三十四年までの十年間で数値目標を設定し事業の実施に取り組むという知事の肝いり計画であると認識しております。当時全ての事業達成に係る費用はおよそ四千二百億円ということで単純計算で一年間に約四百二十億円の予算が必要になるものであります。特に被害が甚大な津波による死者を減少させるための堤防のかさ上げ、水門、陸閘。港湾対策については津波を防ぐためのいわゆるハード整備について約二千二百億円の事業費がかかるとのことであります。施設の整備では防潮堤のかさ上げについて言えばレベルワンの津波に対して高さの確保が必要な施設の六五%の整備を行うとしており、耐震化や粘り強い構造への改良も含めた堤防の整備に必要な費用は全体で千五百から千六百億円と予定されております。
このような状況の中、防潮堤の高さ確保の整備については地域との合意がされている地区からレベルワンの津波に対応する整備が進められております。しかしながら平成三十四年度までの十年間の計画期間のうち既に三年が経過し残り七年となり、第四次地震被害想定に対応した防潮堤の整備はまだ本格的には進められていない状況であり計画どおりに進捗するか心配をしているところであります。
そこでお伺いをいたしますが、アクションプログラムに位置づけた津波対策のハード整備の進捗状況についてはどのようになっていますか。残りの期間で計画どおり行われるのかについてもあわせて御答弁をお願いします。またアクションプログラムの計画に位置づけられていない残りの施設が例えば防潮堤のかさ上げに関していえば三五%あるわけでありますが、これらを含めた対策が必要な全ての施設整備にはどのくらいの費用がかかり今後どのようにしていくのかについてお伺いをいたします。
次に、津波災害特別警戒区域の指定について質問します。
本県は、平成二十三年十二月に制定された津波防災地域づくりに関する法律に基づき津波災害警戒区域いわゆるイエローゾーン及び津波災害特別警戒区域いわゆるオレンジゾーンの指定に向けた取り組みを進めております。
津波災害警戒区域等の指定については、県が有識者等で構成する津波災害警戒区域指定検討委員会を設置し指定の基準等について検討を行いました。このうちイエローゾーンについては平成二十六年十一月に指定基準や手続等を定めた指定の手引を策定し同年十二月には市町に対して指定の検討を要請しました。またオレンジゾーンについても昨年十二月に指定の基準と手続等を手引として定めました。今後県はこの手引に基づきオレンジゾーンの指定を進めていくことになりますがオレンジゾーンは全国でも指定した事例がいまだありませんし、また指定により土地利用に規制がかかるためまちづくり等に与える影響を懸念する住民もいます。
そこでお伺いをいたしますが、オレンジゾーンの指定については慎重な対応が必要であると考えますが指定についての県の方針と今後の予定についてはどのようになっていますか、御答弁をお願いします。
次に、攻めの農林水産業への転換について、初めに地域農業の将来について質問をいたします。
平成二十七年十二月に農林水産省が策定しました農政新時代では、努力が報われる農林水産業の実現に向けてと題し農林水産業者の将来への不安を払拭し経営マインドを持った農林漁業者の経営発展に向けた投資意欲を後押しする対策を集中的に実施するとのことであります。
農業に関しては、攻めの農林水産業への転換、体質強化対策に重点を置き今後の農業界を牽引するすぐれた経営感覚を備えた担い手を育成支援することにより人材力強化を進め力強く持続可能な農業構造を実現すること、また担い手が創意工夫を生かして地域の強みを生かしたイノベーションを起こすのを支援することにより農業の国際競争力強化を図ることと、高品質な我が国農林水産物の一層の輸出拡大と六次産業化、地産地消による地域の収益力強化等による攻めの農林水産業を推進するとのことが中心であります。
国の施策により、本県ではビジネス経営体で企業的に経営する農家を中心に育成し、売れるものをつくるところに支援していき、また農業の技術革新等による新たな農業展開を進めていくとの今議会でも御答弁がございました。まずはやる気のある担い手の育成から始めて牽引者としての役割を持たせたいとの意向がうかがえますが、私の地元でお米や野菜などを栽培している小規模な農家の中にはまだまだ十分な情報がなく将来に不安を持っていらっしゃる方もおります。
そこでお伺いをいたしますが、こうした人たちの農業が国や県の施策により具体的にどのように変わっていきますか。またこのような農家の高齢化等により耕作放棄地の増加も心配されますがどのような対策を行っていきますか、お答えください。
次に、六次産業化の推進についてであります。
先ほどの攻めの農業施策の中にもありましたが、六次産業化による地域の収益力強化が重要であると考えます。本県では二十六年度から農林事務所や水産技術研究所など十二カ所に六次産業化サポートセンターを設置し六次産業化に取り組む農林漁業者等の支援を行っております。このような支援を活用しながら県内では農林漁業者による六次産業化の取り組みが着実に進められていると認識しております。静岡市のイチゴ生産者がイチゴを使ったスイーツを提供するカフェを経営する取り組みなどはその先進的な事例であります。
しかしながら、農業者の会合などでは六次産業化で農業の仕組みを変えていこうと意欲的な意見が出される一方で加工施設整備への助成などの支援の充実を求める声も聞こえてきます。農林漁業者が攻めの農林水産業へと転じて経営を発展させていくためには生産、加工、販売を一体的に行う六次産業化の取り組みが有効でありますが、そのためには設備投資の充実などにより一層の支援が必要ではないでしょうか。
そこでお伺いをいたしますが、県は今後農林漁業者の六次産業化の取り組みをさらに進めていくためにどのように支援していきますか、お答えください。以上について答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 野知交通基盤部長。
○交通基盤部長(野知泰裕君) 地震・津波対策についてのうち、アクションプログラム二〇一三の進捗状況についてお答えいたします。
県では、静岡県地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づき十年間で想定される死者を八割減少させることを目標に必要な対策を進めており、津波対策のハード整備として事業費約二千二百億円により五十九海岸での防潮堤のかさ上げや液状化対策、四十八河川の河口部への水門整備等合わせて百七カ所を計画しております。
これまでの三年間で、総事業費の約一三%に当たる二百八十億円を投入しこの対策が必要な百七カ所のうち五十二カ所で調査設計等を進め今年度末には六カ所で整備を完了する予定であります。当初の計画と比較しておくれが見られますがこれは県がレベルワンの津波高の見直しのよりどころとして予定しておりました国の新しい津波想定モデルの公表がおくれましたことや施設整備手法についての地域住民の皆様との合意形成に十分時間をかけて行っているためであり、今後合意形成が図られた地域から速やかに整備に着手することで目標の達成を目指してまいります。
また、レベルワン津波に対応した施設を全て整備するためにはアクションプログラム二〇一三と同程度の事業費がさらに必要と想定されます。計画に位置づけられていない施設につきましてもアクションプログラム二〇一三の計画期間が終了いたします平成三十四年度以降に継続して整備できるよう準備を進めてまいります。
県といたしましては、沿岸部の市町と連携し津波対策施設の整備を着実に進め、地域の皆様が安全で安心して暮らせる地震・津波災害に強い県土づくりに全力で取り組んでまいります。
次に、津波災害特別警戒区域の指定についてであります。
県では、津波災害に強い地域づくりを推進するため津波災害警戒区域及び津波災害特別警戒区域の指定に取り組んでおり、警戒避難体制の整備が促進できる津波災害警戒区域について指定の意向が示されました東伊豆町と河津町について指定の手続を進めております。
津波災害特別警戒区域いわゆるオレンジゾーンにつきましては、有識者や市町の意見等を踏まえ昨年十二月には指定の基準や手続を定めた手引を策定したところであり、今月下旬には関係市町に対して特別警戒区域指定の案をお示しし指定の検討を要請する予定であります。
このオレンジゾーンに指定されますと、この区域内で高齢者や障害者等の避難に配慮を要する方々が利用する施設を設置する場合に建物の中にいても津波を避けることができる床面の高さや構造が求められ安全性が高まる一方、一定の建築物や開発行為に制限がかかりまちづくり等への影響が懸念されております。このため区域指定の必要性や時期等については関係市町と十分に調整を図るとともに、地域の皆様や民間事業者等に対しましても市町と連携して説明会の開催やパンフレットの配布等により指定の効果や義務化される事項について丁寧な説明を行ってまいります。
県といたしましては、指定に対する市町の意向を十分に尊重し調整の整った市町から津波災害特別警戒区域の指定を進め、将来にわたって県民の皆様に安心・安全に暮らすことができる津波災害に強い地域づくりを推進してまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 篠原経済産業部長。
○経済産業部長(篠原清志君) 攻めの農林水産業への転換についてのうち、地域の農業の将来についてお答えいたします。
地域の農業は、小規模な農家や大規模な農業法人など多様な農業者により支えられております。例えば小規模な農家は少量ながらも新鮮で多彩な農産物を地元のファーマーズマーケットに出荷するなど本県の豊かな食と地産地消を支えております。地域の農業を将来にわたり維持していくためには地域の農業者みずからが話し合い担い手の確保や農地利用の方向性を明確にする人・農地プランを策定していくことが重要であります。
県は、このプランの実現を支援していくこととしており国の産地強化対策を活用して規模の大小にかかわらず意欲ある担い手による高性能機械の導入や果樹の優良品種への改植などを進めるとともに、農地中間管理機構を通じて農地の集積、集約化を図り耕作放棄地の発生防止に努めてまいります。県内ではこれまでに八十五の人・農地プランが策定され磐田市や掛川市ではプランに基づいた農地集積が進められております。また静岡市の広野地区でもプランの策定を目指し地元農家や農協により短冊状に細分された約三十ヘクタールの農地の活用方法が検討されております。
県といたしましては、地域の課題に各農林事務所がきめ細かく対応していくことで国や県の攻めの農業施策が広く活用され地域農業の振興につながるよう努めてまいります。
次に、六次産業化の推進についてであります。
本県は、農林漁業者みずからが取り組む六次産業化について相談から事業化に至るまで伴走型で一貫した支援を実施しております。具体的には農業者が経営戦略や経営計画、売れる商品づくりを学ぶアグリビジネス実践スクールを開催しており平成十八年度からこれまでに二百二名が受講し、うなぎいもチップスやしあわせ人参ジュースなどふじのくに新商品セレクションで表彰された企画力にすぐれ競争力のある商品が生まれております。
また、加工用設備や販売施設の整備も欠かせないことから県の制度融資、六次産業化ファンドや補助事業の活用を支援しております。その結果例えば川根本町の生産者が茶商と連携し輸出用の抹茶製造工場を整備する取り組みを進めております。さらに販路の開拓については県内を初め国内外の展示商談会への出展を支援するほか個別にバイヤーとのマッチングなどを進めております。
県といたしましては、今後とも県内十二カ所に設置している六次産業化サポートセンターを中核に支援を行うとともに、農林漁業者がものづくり企業が培った生産、販売現場のノウハウを取り込む六次産業化をより一層進めてまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 佐地茂人君。
(十番 佐地茂人君登壇)
○十番(佐地茂人君) 御答弁をいただきありがとうございます。
アクションプログラム二〇一三の進捗状況について、確認も含めて三点再質問をいたします。
まずは、次年度の整備予定であります。防潮堤のかさ上げ対策の工事についてお伺いをいたします。静岡海岸についてはどのようになりますか。実施設計の状況によりますと全体費用が約半分に縮小するとのことであります。また一メートル単価が二百万円弱と伺っておりますがどの程度の工事が想定されますか。
他地区の整備が今後推進するに当たり、死者八割減少と六五%の目標設定により工事を進めている地区の進捗状況に今後影響が出てくることを懸念しております。この点についてはどのようにお考えですか。
また、確認ですが先ほどのオレンジゾーンの県の指定するという進め方なんですが市町が当分の間指定しないというようなことを判断した場合、その点についてを尊重されるかどうか確認をさせてください。
次に、地域農業の将来についてでありますが一点質問させていただきます。
攻めの農業とは一線を画することになりますが、耕作放棄地の非農地化についてでございます。森林の様相を呈している土地の手続については農業委員会で非農地化を進めるとのことでありますが今後耕作放棄地の拡大による非農地化のあり方についてはどのようにお考えですか。以上について答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 野知交通基盤部長。
○交通基盤部長(野知泰裕君) アクションプログラム二〇一三の進捗状況に関します再質問にお答えいたします。
まず、静岡海岸の整備の予定に関してでございます。
静岡海岸につきましては、計画延長全体で八・六キロメートルでございますけれども安倍川の河口の東側の中島地区におきまして昨年の十二月にこの防潮堤を八・五メーターにかさ上げし、また粘り強い構造にするということで自治会の皆様に御説明いたしまして御了承いただいたところでございます。県ではこれを踏まえましてこのかさ上げの工事まず七十メーターにつきまして今月の末に発注することで今作業を進めているところでございます。
来年度は、これに引き続きましてさらにその東側でございますが今中島の下水道の浄化センターがございますけれどもこの南側の区間、延長にして約三百三十メーターの区間でございます。この区間につきまして県といたしましては整備をしていきたいということで今必要な費用について国のほうに要望しているところでございます。この整備の進捗につきましては予算の状況を見ながら可能な限り進めていきたいというふうに考えているところでございます。
次に、他地区の整備に伴います進捗状況への影響についてでございます。
先ほどの御答弁で申し上げましたとおり、アクションプログラムに位置づけました箇所をこの計画の期間内に整備することを基本に津波による犠牲者を八割減少させていくということを第一の目標としておるところでございます。この目標を達成するためにこれを前提として必要となります予算の確保に努めまして、また地域の御理解が得られたところから整備を進めていくということを考えているところでございます。したがいましてこの事業の実施箇所につきましては事業効果が上がるところから進めてまいりたいということでございますものですから、この事業進捗に当たりまして、また議員の御協力を賜りまして進めてまいりたいというふうに思っておりますのでよろしくお願いしたいと思います。
それから最後に、オレンジゾーンの指定についての考え方でございます。
これも先ほどの答弁で申し上げましたとおり、このオレンジゾーンの指定につきましては事業効果が高い分、規制がかかるという点がございます。市町の皆様にはその点の御理解をいただいた上で進めていくところを前提としておりますものですから、あくまでも市町の御意見を伺った上でこの指定については進めていきたいということでおります。よろしくまたこちらについても御協力をお願いいただければと思っております。以上でございます。
○副議長(杉山盛雄君) 篠原経済産業部長。
○経済産業部長(篠原清志君) 耕作放棄地の非農地化と今後の取り組みについての再質問にお答えいたします。
農地は農業に利用するのが基本であります。しかしながら残念ながら森林等の様相を呈して再生困難という土地も生まれております。二十六年度末で約千六百ヘクタール県内で再生困難な耕作放棄地があるというふうに判断をしております。そのうち今年度末までに約三百八十ヘクタールにつきましては市町の農業委員会の手続にのっとって今非農地化するように進めております。
今後の耕作放棄地については、先ほど冒頭に言いましたように農地として使うのが基本であります。ですから県としてはできる限りの形で農地化を、再生を進めていくと。さらに無理なところは着実に非農地化の手続を各農業委員会が行えるよう支援をしていくということで取り組んでまいります。以上です。
○副議長(杉山盛雄君) 佐地茂人君。
(十番 佐地茂人君登壇)
○十番(佐地茂人君) 御答弁をいただきありがとうございます。
次に、教育行政について、初めに中学校から高校への進路指導について質問します。
二月十八日は、公立高等学校入学者選抜における志願の締め切り日であり志願状況つまり志願倍率が報告されました。改めてことしも志願倍率を拝見していてふと感じたことは大体毎年高校の倍率が同じぐらいだなと感じ、これは誰かが調整しているのかなと感じたのであります。
高校入試は、中学校の担任の先生が進路指導を行い最終的には本人が決定するものでありますが、さすがに高校へ行ってから勉強についていけそうもない高校を生徒が選択した場合は先生は助言をすることでありましょう。生徒は大抵の場合自分の通信簿と学力調査の結果により学校を選択します。私はそこが肝だなと感じました。中学生だからまだ将来の具体的な希望など大抵決まっていませんから、ここなら合格の可能性があるとかもうちょっと頑張ればとか厳しいかもとか日ごろの学習状況などをもとに面接をするしかないのであります。例えば将来のこととか部活動のこととかもう少し幅の広い面接でもっとおおらかに受験校を決めることがあれば高校に行ってからの目標や学校生活も変わるかもしれないと感じました。
一方、現在の公立高校入学者選抜では不合格になるリスクは減少しますが例えば高校受験が最終目標になってしまい高校時代の学力が伸び悩むことがあるのではないかと考えます。そういえば私の友人には高校受験で挫折した後、大学受験で有名校へ進学した方がかなり多くいたことを思い出しました。このようなことを考えますと現在の本県で行われている公立高等学校入学者選抜制度は、なれてはいますがベストかどうかわかりません。
そこでお伺いをいたしますが、本県の公立高等学校入学者選抜について将来を見据えた人材育成の観点からどのように評価をしていますか。また中学校の進路指導のあり方についてはどのように考えますか、お答えください。
次に、県立高校の大学受験への取り組みについてであります。
東京など都市部への一極集中ということでありましょうか、関東圏の有名私学高校の大学合格者が多いこともあり東京大学や京都大学等の有名校への進学者数は本県においてもなかなかふえていないのが現状であると考えます。本県での二十七年度東大の合格者数は浪人生を入れて五十四名で京大では五十二名であります。公立高校には限界があるのでしょうか。
そこでお伺いをいたしますが、このような現状についてどのようにお考えになりますか。また私は有名難関大学への進学について対策を考えるべきであると考えますが県としてはどのようにお考えになりますか、お答えください。
次に、警察における渋滞対策について質問します。
道路交通需要の伸びや非効率的な自動車の使われ方により、道路交通渋滞の状況は深刻化しております。平成十八年の国交省の調べでは全国で年間に発生する渋滞損失は貨幣価値に換算すると約十二兆円にも上り一人当たり年間三十時間の時間喪失とも言われ環境問題、経済効率の低下等を引き起こしております。
本県においても、県民の生活活動に著しい影響を与えている交通渋滞は朝夕のピーク時や観光シーズンの交通流の集中により県内各所で発生しております。国交省や県、政令市の道路管理者、県警、民間団体等の関係機関が参画する静岡県道路交通渋滞対策推進協議会によりますと特に主要な渋滞箇所は東部地域では沼津市、中部地域では静岡市、西部地域では浜松市に集中しこの三都市で全体の約五〇%の箇所を占めるとのことであります。
道路管理者では、こうした交通渋滞の解消に向けた道路改良等の取り組みを進め円滑な道路交通の確保に当たっているものと承知していますが、道路整備、地域開発、商業施設の新設等交通事情の変化により新たな渋滞も発生しております。私の住む静岡市内の例を挙げますと道路改良が進められている安西橋の西方から羽鳥インターにかけての国道三六二号線の渋滞、静岡市道丸子池田線の鎌田地区における朝夕の慢性的な渋滞の発生さらには静岡県立総合病院利用者等による渋滞が発生するなど地域住民からは渋滞緩和を求める要望が寄せられております。県内各地でもこうした慢性的な渋滞が発生し日常生活や地域の経済活動に著しい影響や損害を与えております。そもそも交通渋滞の解消には先ほども触れたとおり道路整備による交通容量の拡大や道路改良などの総合的な対策が最も有効でありますし抜本的な対策であるとは考えますが、財政的や時間的なことを考えれば即時的な対応が困難であることは言うまでもありません。
そこでお伺いをいたしますが、交通管制等により円滑な交通の確保に当たることとなる県警察においては県下の交通渋滞箇所の実態把握と分析についてはどのように取り組んでおりますか。また渋滞解消の取り組みについてはどのように進めていますか。以上について答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) それでは、教育行政のうち中学校から高校への進路指導についてお答えいたします。
本県の公立学校入学者選抜では、中学校三年間の学習や行動等の状況を記録した調査書、三月初旬に行う学力検査と面接を資料とし志願者の意欲、能力、適性等を総合的に判断して合格者を決定しております。本制度では九回目の入学選抜となりますが十分に定着してきていると考えております。なお昨日は学力試験、本日は面接試験をやっていると思います。
また、中学校における進路指導につきましては一年生のときから職場体験学習などのキャリア教育を通して勤労観、職業観も醸成するとともに、早い段階から生徒と保護者の意向を確認し将来の職業観や進学希望に合わせた高校を選択できるよう各学校に指導しております。
一方、高校では中学生の多様な進路選択を可能にするため普通科を初め実学系を学ぶ専門学科、入学後に多様な進路選択ができる総合学科が地域ごとに配置されており各高校が一日体験入学などを通して特色ある教育や部活動等をアピールし生徒募集を行っております。
今後とも、受験生が入学後に充実した高校生活を送るため、単に合格の可能性を重視することなく将来を見据えて主体的に高校を選択できるようきめ細かな進路指導に取り組んでまいります。
次に、県立高校の大学受験への取り組みについてであります。
大学進学実績の評価は、難関大学への合格実績だけではかれるものではないと考えておりますが大学を目指す県立高校生の求められる学力の向上については喫緊の課題と認識しております。そこで今年度大学進学実績を高めるためのアドバンススクール事業を立ち上げ十校を指定しICTを活用した授業改善、進学予備校と連携した受験対策を行うなど新たな学力向上策をモデル的に推進しており将来的には他校にも広げてまいります。
さらに、本年一月には県立高校四校が合同で東大及び京大を志望する高校二年生を対象に受験対策セミナーを開催いたしました。また昨年十二月と本年三月には教育委員会と健康福祉部が合同で医学部を志望する生徒のための受験講座こころざし育成セミナーを開催しております。このように高校生には早い段階で志望大学に合格するための対策を実施しております。
県教育委員会といたしましては、今後も一人でも多くの生徒が自分の目標とする大学に合格できるよう求められる学力の向上を意識した教育の充実に積極的に取り組んでまいります。以上です。
○副議長(杉山盛雄君) 西川警察本部長。
○警察本部長(西川直哉君) 警察における渋滞対策についてお答え申し上げます。
初めに、県下の渋滞箇所の把握と分析についてでございますが警察は渋滞発生路線等に設置した車両感知器などの交通管制システムや現場の警察官からの報告等によりまして渋滞箇所の把握に努めているところであります。把握いたしました渋滞箇所につきましては現地調査等によりまして渋滞の発生原因を分析しまして道路管理者等と連携をいたしました渋滞防止対策を推進しているところであります。
次に、渋滞解消の取り組みについてでございますが警察は通行禁止等交通規制の実施、信号現示の最適化、交通管制システム、信号機の高度化等によりまして交通の円滑化を図るとともに、収集した渋滞情報は交通情報板あるいはカーラジオ、カーナビゲーション装置等さまざまなメディアを通じて提供いたしまして交通流の分散化による渋滞緩和を図っているところであります。また静岡、浜松両市の幹線道路に公共車両優先システム――PTPSを導入いたしましてバスの定時性、利便性を向上させマイカーからバスへ利用交通手段の転換を促し自動車交通の総量削減に努めているところであります。
今後も、国土交通省静岡国道事務所が主催し私ども警察も参画しております静岡県道路交通渋滞対策推進協議会や関係機関・団体と連携をいたしまして、議員から御指摘のありました箇所を初めといたしまして県内の渋滞緩和、解消に取り組んでいく所存でございます。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 佐地茂人君。
(十番 佐地茂人君登壇)
○十番(佐地茂人君) 最後に意見、要望を申し上げます。
次年度の静岡県道路交通渋滞対策推進協議会において、先ほど申し上げました場所について対策推進協議会の議題としていただきたい。よろしくお願いして以上で全ての質問を終了します。(拍手)