令和4年2月静岡県議会定例会

2022年3月3日

質問内容

質問者: 佐地 茂人 議員
質問分類 一般質問
質問日: 2022/03/03
会派名: 自民改革会議

○副議長(竹内良訓君) 次に、四十五番 佐地茂人君。
       (四十五番 佐地茂人君登壇 拍手)

○四十五番(佐地茂人君) それでは、通告に従いまして自民改革会議の一員として知事、副知事、関係部局長、教育長及び教育部長並びに警察本部長に対し質問をいたします。今回は七項目の質問を一括方式で行います。
 初めに、避難路や緊急輸送路などの重要な道路沿いの建築物等の耐震化の推進について質問します。
 本県では、地震による道路閉塞を防止するため平成三十一年四月一日に静岡県耐震改修促進計画を改定し、建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づき沿道建築物に耐震診断の実施と結果の報告を義務づける対象の道路として道路延長にして約六百九十キロメートルの緊急輸送ルート等を指定し、今年度末を期限として報告を求めております。また令和元年度から今年度末までの三年間で約四百二十棟の対象建築物の耐震診断を確実に完了させるために、県が所有者に代わって耐震診断を実施する制度の利用を所有者に働きかけ支援を行っているところであります。
 安全性の現状を把握する耐震診断は耐震化の第一歩であり、法律に基づき義務化されたとはいえ耐震診断の実施が進むことは大きな成果と考えますが、実際に災害時の通行がしっかりと確保されるためにはこの診断結果を耐震改修や建て替えなどに結びつけていかなくてはなりません。今後は補強計画や耐震改修、建て替え等に係る所有者の努力義務を実施に向けていくことが求められます。また耐震診断結果の公表について速やかに進めていくことも必要と考えますが、耐震診断の結果をどのように耐震化に結びつけていきますか、今後の県の取組についてお伺いいたします。
 一方で、ブロック塀倒壊の危険性については県が指定した道路沿いには耐震診断の義務づけの対象となる塀が存在しないとの調査結果でありました。しかしながら二〇一八年六月十八日に発生した大阪府北部地震により高槻市の小学四年生の女児が倒れたブロック塀の下敷きになり亡くなった事故を思い出しても、通学路等狭隘な避難路についても災害時に安全に通行できることが並行して求められ、ブロック塀の耐震化は優先して取り組むべき課題であります。
 我が会派自民改革会議においては、昨年七月二十九日に補助制度の充実などのブロック塀倒壊対策の推進について要望書を提出しました。
 そこでお伺いいたしますが、ブロック塀等の撤去、改善についての補助制度の検討状況についてお答えください。
 次に、農業農村整備の推進について質問します。
 農業・農村は、食料を供給するだけにとどまらずその営みを通して自然環境の保全や良好な景観を形成するなどの役割を果たしていることから、農業の生産基盤や地域の協働活動などを強化することにより農業・農村の振興を図っていくことが極めて重要であります。
 静岡市の新丹谷地区では、急傾斜で営農条件が不利なミカン園地が多かったため一時期は荒廃農地の増加や後継者不足等が深刻な状況でしたが、農地の大区画・平坦化などの基盤整備によりミカンの面積当たりの収量は事業着手前と比べ四五%増加したほか地域の担い手五名の生産額は約三倍も向上しており、若手の農業経営者が高い経営意欲を持って安定した農業生産を実現しています。
 このように、意欲と能力のある担い手の一層の経営発展を後押しし農業所得の向上を実現するためには、農地の大区画化などの基盤整備を推進し農業の生産性や農作物の収量・品質の向上を図っていく必要があると考えています。
 そこでお伺いをいたしますが、県では現在農業の成長産業化を支える戦略的な基盤整備を進めるための新たな農業農村整備みらいプランを作成しており、来年度から計画が始まると聞いています。このプランに基づき今後どのように本県の農業・農村を発展させていくのか、農業農村整備の推進方針についてお答えください。
 次に、医薬分業について質問します。
 県内の病院では、浜松医大附属病院に続き県立総合病院において新年度より県内二件目の敷地内薬局がスタートします。県立総合病院では病院敷地内へ薬局の誘致に加えカフェ等のアメニティー施設も設置されることになり、敷地の賃借による契約と伺っております。患者の利便性向上はよいことでありますが、例えば薬剤の選定に当たり敷地内薬局の意向が反映されることはないかなど経営上の独立性を担保できるのかと心配しております。
 また、敷地内薬局については昨年末の中央社会保険医療協議会での二十二年度診療報酬改定の協議において診療報酬上の減算措置を求める声に加え、医科点数の調剤料に準じる、医療機関も含め院内処方と同様の取扱いにすべきと委員から厳しい意見が相次いでいます。まさに敷地内薬局の設置については誘致する側、応じる側にいま一度公的医療保険制度の下でどのように振る舞うべきかを考えていただくことも必要ではないでしょうか。
 敷地内薬局を設置するに当たり、国の基準による経営上の独立、構造上の独立が担保されたとしてもその利便性から患者が集中してしまうことが予想されます。また診療報酬の基本料において敷地内薬局は特別調剤基本料九点が設定されており、街中にある個人経営の薬局における調剤基本料一の四十二点と比べ低く設定されています。経営面での配慮とも思われますが、患者側から見れば自己負担額が低く抑えられるため敷地内薬局を積極的に選択することも想定されます。
 そこで、二点お伺いいたします。
 本来の患者本位である医薬分業を実現するという患者のための薬局ビジョンが大切であり、まちのかかりつけ薬局の推進などが重要であると考えますが、敷地内薬局の設置を踏まえ医薬分業について県はどのように考えていますか、お答えください。
 二点目、県立の病院が敷地内薬局を設置した場合、他の総合病院等が追従していくことが考えられます。県は、静岡県立総合病院で敷地内薬局を設置することについてどのように考えていますか、お答えください。
 次に、桜ヶ丘病院建設における県の対応について質問します。
 本県では、病床機能分化促進事業費補助金の交付要綱において独立行政法人等に対し県の予算の範囲内において補助金を交付するものとしております。
 桜ヶ丘病院の新病院建設に伴う補助金申請について関連する経緯を申し上げますと、令和二年度から補助金の手続に係るやり取りが始まりました。令和三年三月八日に県立総合病院と桜ヶ丘病院の病院長が医師確保に向けた人事交流等による地域医療の安定化のため知事へ地域医療連携推進法人認定申請書を提出、令和三年三月二十五日、地域医療連携推進法人の認定が県庁にて決裁、ところが知事により非常に大きな案件で報告し指示を仰ぐべきと認定を撤回する異例の事態となりました。その後令和三年四月七日、桜ヶ丘病院について新たな病院を想定津波浸水区域内へ開設することは明確に反対するといった異例の附帯意見を付し地域医療連携推進法人に認定されました。
 令和三年四月二十八日、桜ヶ丘病院は新病院建設が令和三年度に着工予定となったため担当課へ補助金についての相談に伺うも具体的な進展には至らず、その後協議は進まず令和三年八月十二日、出野副知事を訪問し仮称JCHO清水さくら病院建設に関する基本的考えを説明し知事へ書簡を託しました。
 しかしながら、静岡県が協議に応じることはなく、昨年の静岡市議会十一月定例会にてJCHO所有地と市有地を交換する議案が議会で議決されました。JCHOと静岡市は令和二年十二月に令和三年度建設着工、令和五年度中の新病院開院といった協定書を締結しております。
 令和三年十二月二日、新病院建設に伴う令和三年度の補助金申請について県はようやく受け取りましたが、この時点から補助金交付の手続を進めても今年度建設着工の予定には間に合わず恣意的な県の対応を勘ぐってしまうことは否めません。JCHOは二月十日、建設工事に向けての入札を公告しました。
 私は静岡市在住の県民として伝えたい。どのような理由があれ、もっと早く補助金申請を受け取る必要があったのではないか。清水区の内科救急の八割を担い、静岡市の地域医療を今後も支えていただく重要な病院に対して県が補助金を意図的に出さないことは、結果静岡市民には補助金を出さないと差別していると思われても致し方がないのではないかと思います。将来にわたり静岡市民へ遺恨を残さないでほしいと思います。
 そこでお伺いをいたしますが、桜ヶ丘病院については県から本来全ての対象病院へ送付するはずの令和四年度医療提供体制設備整備事業の事業照会を出さなかったようであります。この件も含め地域医療連携推進法人認定時の知事の介入以降、桜ヶ丘病院の建て替え等の事案についてどのように対応をされてきましたか、お答えください。
 また、今後このように県が他の病院へ何らかの意見を伝え補助金を出さないことが考えられます。少なくとも地域医療を担う桜ヶ丘病院との信頼関係は崩れてしまったのではないかと思います。今後どのように対応するのか、お考えをお聞きいたします。
 続きまして、静岡県盛土等の規制に関する条例(案)についてのうち、土砂基準に適合しない土砂等の適用除外について質問します。
 土砂災害により昨年七月の熱海市伊豆山地区のような大惨事が起き、貴い人命を失い不幸の連鎖を二度と起こさないために申請の届出をくぐり抜け安心・安全な住民生活を脅かす事態の再発防止には県、市町及び地権者、地域住民の相互協力が重要であります。今回県土採取等規制条例とは別に盛土に特化した新たな条例を制定することは、我々が強い意志を持ち県民の生命、身体または財産を守ることの決意の表れであろうと思います。
 新条例については代表質問でも話されましたが、その特徴は届出制から許可制にしたこと、環境上の基準を組み込み水質調査・管理まで及んでいること、地方自治体で行える上限の罰則を設けること、土地所有者に義務を課すこと、住民説明会の開催、生命や健康被害があるときには運搬搬入停止命令を行うこと、何よりも一定規模以上の盛土は千平米で千立米の全国一厳しい規制をかけていることなどが挙げられます。
 私は、よくできた条例であると高く評価する一方で非常に規制が厳しく、現場の現行の状況が速やかに条例に対応できるのか、また条例がうまく機能するのかという心配も拭いきれません。
 具体的には、第八条第一項第三号の生活環境の保全上の支障を防止するための措置として知事が適切と認めるものを講じた上で行う盛土等は、何人も土砂基準に適合しない土砂等――自然由来重金属を含む土砂ですね――を用いて盛土等を行ってはならないという規定から除外されることになります。
 一方、第九条第二号では国、地方公共団体その他規則で定めるものが行う盛土は知事の許可を受けなくてもよいことになります。
 そこでお伺いをいたしますが、第八条第一項第三号の知事が適切と認めるものを講じた盛土等とは何を基準として認めていきますか。また第九条第二号により許可が不要となる国、地方公共団体その他規則で定めるものが土砂基準に適合しない土砂等の埋立てや盛土を行う場合は、どのようにして国や地方公共団体の工事を認めることになるのでしょうか、お答えください。
 続きまして、盛土等施工中における土砂基準への適合状況の確認について質問します。
 条例では入り口の部分と出口の部分を確認することに力を注いでおりますが、実際は盛土の施工中における土砂基準に適合した土砂等であることの確認が最も重要と考えますが、このことを県はどのように確認しますか、お答えください。
 この項目最後の質問、条例制定後の建設工事の残土処理への影響とその対応についてであります。
 静岡県盛土等の規制に関する条例施行により、許可が非常に厳しいことが災いし仮置場の増加や無許可で残土処理や盛土を行うことや、千平米、千立米未満の盛土が増えるのではないかと心配しております。現行の条例では年間の届出件数が六十件程度でありますが、新条例では許可が必要となる盛土の対象範囲が広がることになり、大幅に許可件数が増加することが見込まれると聞いております。盛土の数自体が増えるわけではありませんが、厳しい規制となる新条例が制定されると建設工事の残士処理において残土処分場の需要が高まることが見込まれ、処理費用が高くなるなどにより残土処理がこれまで以上に困難となり、建設業界では大きな影響が生じるのではないでしょうか。
 そこでお伺いをいたします。
 建設工事において残土処分が適正に行われるよう県が支援するべきと考えますが、所見をお答えください。
 次に、困難を有する子供・若者やその家族の支援について質問します。
 今回は、特にひきこもり等について伺います。
 国においては、子供、若者が誰一人取り残されず社会の中に安心できる多くの居場所を持ちながら成長、活躍していける社会を目指し、令和三年四月に子供・若者育成支援推進大綱を推進本部にて改めて取りまとめました。この中でひきこもりについて相当数存在すると認め、社会から孤立し孤独を深めており個々の状況に応じた支援の推進が求められるとしております。
 在学中の不登校や長期欠席においては、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと連携して担任や養護教諭が御本人、御家族を支援していきますが、いざ卒業してしまうと本人、御家族は頼るところが分からず適切な支援が得られない状態が続いてしまうことがあります。また全国的に増加傾向にある通信制高校を例にとってみると、生徒の半数程度が中学までに不登校を経験し卒業後の進路が未定の者も多数存在していると聞いています。
 学びのニーズは多様化しており通信制高校を選択する理由も様々にあることから、こうした状況とひきこもりを単純に結びつけるのは危険があると承知していますが、就職など社会で独り立ちしようとした際のつまずきは本人にとっては挫折と感じ自己肯定感を低下させます。さらに社会とのつながりを失いひきこもり状態になることは容易に想像できます。こうした方々の問題が潜在化し長期のひきこもりにつながることは、本人にとっても家族にとっても不幸なことです。
 子供・若者育成支援推進大綱で、政府は困難を有する子供、若者やその家族の支援について現場で活動するNPOと密接に連携・協働しつつ、実態把握を含め総合的な対策を企画・立案し推進することとしています。
 県では、これまでもひきこもり支援センターを中心に各機関が連携してひきこもり状態にある方やその家族への支援を進めてきたことは承知しております。社会に出ていこうとしながらもつまずき社会とのつながりを失い、ひきこもり状態になるような事例に対しても様々な主体が連携しできるだけ早く個々の状況に応じた支援につなげていくことが求められます。
 困難を有する子供、若者やその家族の支援のうち、特にひきこもりの問題に対しできるだけ早い段階で関与していくことについて県はどのように考えているのか、お尋ねします。
 次に、法改正に伴う高齢ドライバーに向けた取組について質問します。
 本年五月より、高齢ドライバーに向けた取組の充実、強化のための規定の整備等が盛り込まれた改正道路交通法が施行されます。改正の柱は二つあり、一つは高齢者の免許更新手続の変更でもう一つはサポートカー限定免許の導入であります。
 更新手続については、七十五歳以上で一定の違反歴のありなしによる運転技能検査の導入や認知機能検査の合理化であります。五月スタートであるにもかかわらず改正法の適用者は十一月十二日以降に免許の有効期限を迎える高齢ドライバーと伺っております。この間の高齢者の免許更新手続に混乱が生じるのではないかと心配しております。また過去に高齢者の免許更新手続が大変混雑したことがあり、更新に伴う混雑についても危惧しております。
 サポートカー限定免許については、衝突被害軽減ブレーキ等の一定の性能を有する車両に運転条件を限定して免許の更新がされますが、普通免許に限定されてしまうことや適用されるサポートカーがわかりづらく購入後に問題が出ないか等心配することもあります。運転することに不安を感じているものの生活のためにはまだまだ運転する必要があり、免許の返納をためらう方々にとって新たな選択肢となり得るサポートカーでありますが、免許制度についてだけでなく適用されるサポートカー自体の周知や普及も並行して取り組む必要があるのではないでしょうか。
 そこでお伺いをいたしますが、改正道路交通法の施行に合わせて高齢ドライバーに向けた取組をどのようにして推進していきますか、お答えください。以上、答弁を求めます。

○副議長(竹内良訓君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)

○知事(川勝平太君) 佐地議員にお答えいたします。
 避難路や緊急輸送路などの重要な道路沿いの建築物等の耐震化の推進についてであります。
 耐震診断を義務づけた緊急輸送路等の沿道建築物四百二十棟のうち、報告期限である今月末までに全体の九八%に当たる四百十三棟の所有者の皆様から報告を受ける見込みとなっております。残りの七棟につきましても報告されるよう、引き続き所管行政庁である県及び各市が連携し粘り強く指導してまいります。また診断結果につきましては、報告内容の確認などを行った上で各所管行政庁において速やかに公表してまいります。
 耐震性が劣る建築物の所有者の皆様には、議員御指摘のとおり耐震改修や建て替えに向けて対策を進めていただく必要があります。そこで県では来年度から所有者の疑問や不安を解消し次の一歩に進んでいただくため、専門家を派遣し診断結果を踏まえた耐震化の相談や提案を行うとともに、改修等に対する最大八〇%の国・県・市町が協調した支援制度の活用を助言する取組を始めてまいります。
 ブロック塀の倒壊対策につきましては、学校や工場などの大規模な施設で道路に沿って設置された延長の長いブロック塀の改修には多額の費用がかかることから、対策が進んでいない実態がございます。そこで県では、来年度から通学路等の安全性の向上を図るため現行の補助制度で定めた敷地ごとの上限額を撤廃いたします。こうした沿道建築物の耐震化やブロック塀の改修等の支援に必要な経費を当初予算案に計上し、本議会にお諮りしているところであります。
 市町と連携して、倒壊すると多くの人命や緊急車両の通行に多大な影響を及ぼす緊急輸送路、避難路及び通学路の沿道建築物やブロック塀の耐震対策に全力で取り組んでまいる所存であります。
 他の御質問につきましては、副知事、関係部局長から御答弁を差し上げます。

○副議長(竹内良訓君) 出野副知事。

○副知事(出野 勉君) 桜ヶ丘病院建設に係る県の対応についてお答えいたします。
 県民の皆様が住み慣れた地域で安心して生活を送るためには、必要な時に安全で質の高い医療を受けられる体制の整備が重要であります。
 桜ヶ丘病院が想定津波浸水域へ移転することにつきましては患者、医療従事者、県民の皆様の安全・安心のため地域医療連携推進法人認定の以前から県は一貫して明確に反対してまいりました。地域医療連携推進法人認定以降の対応につきましては私が八月に桜ヶ丘病院の訪問を受け、内野院長から建物の概要及び開院後の基本方針を御説明頂きましたがその際にも県は想定津波浸水域への移転について反対していること、また一方で病院が地域の医療にとって必要であることを申し上げたところであります。
 移転に対する補助金につきましては、四月以降病院からの問合せに随時対応してまいりましたが事業内容の確認が可能な資料の提出が十二月であり、国との調整等に関する時間的な制約もあって検討段階に至らなかったものであります。
 現在の桜ヶ丘病院は、平時に多くの救急患者を受け入れる第二次救急医療機関であるだけではなく災害時には傷病者の治療に当たる救護病院として住民の生活を支える地域医療において重要な役割を担う病院であると認識しております。このため桜ヶ丘病院に対しましては、本年度も救急医療機能の充実を目的とした医療機器の購入に対して市を通じて補助をし、地域における救急体制の維持強化を図っているところであります。また来年度の事業照会につきましては事務的に十分な対応が取れず当初照会ができておりませんでしたが、病院からの御指摘を受け既に対応したところであります。
 桜ヶ丘病院に対する今後の対応といたしましては、市議会で土地交換に関する議案が可決されたことを受け災害発生時の清水区における医療救護体制につきまして市の考えを伺うとともに、桜ヶ丘病院とも直接対話し関係者の皆様の御意見を伺いながら県として助言等をしてまいります。
 県といたしましては、今後も第二次救急医療機関である桜ヶ丘病院に対し市と連携しながら医療機器の整備等への支援を行い、清水区の救急医療体制及び災害時の医療救護体制が将来にわたって確保されるよう努めてまいります。以上であります。

○副議長(竹内良訓君) 細谷農林水産担当部長。

○農林水産担当部長(細谷勝彦君) 農業農村整備の推進についてお答えいたします。
 高齢化等による農業者の減少に伴い農村の集落機能の低下が懸念されている中、県民の皆様への安定した食料供給や農業・農村が有する多面的機能を将来にわたって確保していくためには農業の成長産業化と農村地域の活性化を車の両輪として取り組むことが重要であります。
 このため、新たな農業農村整備みらいプランでは担い手への集積・集約化を促進する基盤整備により農業所得の向上を図る産業施策と、関係人口の拡大により農地の保全などの協働活動の充実を図る地域施策を両立させた農業農村整備を推進してまいります。
 具体的には、茶や果樹、野菜等の品目別基盤整備プロジェクトによりロボット農機などのスマート農業の実装が可能となる区画整理や水田をフル活用するための暗渠排水整備等を推進し、土地利用型農業の生産性を飛躍的に向上させてまいります。さらに三次元点群データを活用し、基盤整備完成後の圃場の形状や勾配を立体的に見える化して地元の合意形成を円滑に進め迅速な事業化を図ってまいります。加えてICT水田水管理システムの普及拡大により水田農業の水管理作業の省力化に取り組んでまいります。
 また、企業や大学等と農村が新たなビジネスを共創するためのプラットフォームの構築や地域資源のデジタルマップ化、SNS等の情報発信などにより協働活動に参加する関係人口を増やし農村の振興に取り組んでまいります。
 県といたしましては、新たなプランに基づき農業の成長産業化と美しく活力のある農村づくりを推進し持続可能な農業・農村を実現してまいります。以上であります。

○副議長(竹内良訓君) 石田健康福祉部長。

○健康福祉部長(石田 貴君) 医薬分業についてお答えいたします。
 医薬分業につきましては、薬の処方と調剤を患者本位の視点に立って医師と薬剤師という専門家が分担するものであり、患者が複数の医療機関を受診した場合でも薬剤師によるチェックを通じて薬の有効性、安全性が確保されることから重要であると考えております。
 このため、県では県民の皆様にかかりつけ薬局を持っていただくよう普及啓発を進めるとともに、薬局には立地場所にかかわらずかかりつけとしての機能を果たすことを求めております。昨年八月からはかかりつけ薬局として医療や介護の関係施設と連携し患者を支える地域連携薬局などを認定する制度が開始され、県では県薬剤師会とともに地域の医療機関とのモデル事業等を通じて認定薬局の増加を図っているところであります。
 また、敷地内薬局の整備につきましては医療機関の機能や立地条件、患者の傾向等を踏まえ健康保険法の規定に基づきそれぞれの医療機関が判断するものであり、静岡県立総合病院につきましても地方独立行政法人である静岡県立病院機構においてそうした点を踏まえ判断されたものと考えております。
 県といたしましては、病院の敷地内か否かにかかわらず患者自身が自分に適した薬局を選択できるようかかりつけ薬局の役割や有用性を県民の皆様へ周知し、患者本位の医薬分業を推進してまいります。
 次に、困難を有する子供、若者やその家族の支援についてであります。
 令和元年に民生委員・児童委員を対象に県が実施したひきこもり等に関する状況調査では、ひきこもり状態に至った経緯として失業や退職が最も多く、若い世代が社会生活でのつまずきをきっかけにひきこもり状態とならないよう支援していくことが重要であります。
 県では、平成二十五年度に精神保健福祉センター及び県内三か所の健康福祉センターに設置したひきこもり支援センターにおいて当事者や御家族からの相談内容に応じ地域で相談、学習支援、就労支援など様々な活動を行っている団体等を紹介することによりそれぞれの状況に合った適切な支援が受けられるようにしております。また当事者同士あるいは支援者と安心して過ごすことができる場として県が県内五か所に設置したひきこもり当事者のための居場所は二十代、三十代を中心に多くの方に利用されており、他者との関わりを通して社会参加への第一歩を踏み出す支援を行っております。
 さらに、インターネット上でひきこもりに関する検索をした方に対してひきこもり支援センターへ誘導する検索連動型広告により情報発信をすることで早い段階での支援につなげているほか、市町教育委員会に対し支援センターの相談窓口や居場所について当事者や御家族への周知を依頼し若者の利用促進に努めているところであります。
 県といたしましては、今後も教育委員会をはじめ労働、福祉など様々な分野の行政機関やNPOなどの民間の支援団体等とより一層連携協力し、社会とのつながりを失いひきこもり状態となった方を早期に支援することでひきこもりに悩む当事者や御家族を一人でも減らすことができるよう取り組んでまいります。以上であります。

○副議長(竹内良訓君) 市川くらし・環境部長。

○くらし・環境部長(市川敏之君) 静岡県盛土等の規制に関する条例案についてのうち、土砂基準に適合しない土砂等の適用除外についてお答えいたします。
 条例第八条第一項第三号に規定する生活環境の保全上の支障を防止するための措置とは、具体的には土壌汚染対策法で認められている汚染の除去等の措置及び自然由来等土壌構造物利用施設に係る基準を満たす措置、国が行う公共工事に関して自然由来重金属等を含有する岩石、土砂の取扱いを定めたマニュアルに基づく土壌等の汚染拡散防止措置であります。これらの措置が法律やマニュアルに定められたリスク評価やモニタリングの方法により適切に講じられること及び環境汚染の拡散防止のため同一事業区域内で採取された土砂等のみを用いてその事業区域内に限って行われる盛土等であることが知事が適切と認める基準であり、現在パブリックコメントを実施している要綱にこの基準を明記してまいります。
 次に、条例第九条ただし書の規定により許可が不要となる国や地方公共団体等が土砂基準に適合しない土砂等を使用して盛土等を行う場合については、盛土等を行う前に汚染拡散防止措置の内容を書面で県に提出していただき適切な措置が行われることを確認してまいります。
 県といたしましては、こうした手続について漏れが生じることのないよう公共工事を担当する庁内及び市町の関係課を対象に説明会を開催するとともに、具体的な工事計画を有する国等の事業者には個別に説明し周知徹底を図ってまいります。
 次に、盛土等施工中における土砂基準への適合状況の確認についてであります。
 条例第九条の規定により盛土等の許可を受けた者には、土砂等の搬入時や盛土等の完了時において土砂基準に適合することを確認するだけでなく、施工中においても六か月ごとに土壌の汚染状況の調査や区域外に排出される水の水質検査を実施することを義務づけており、県はその結果報告を基に施工中における土砂基準の適合状況を確認してまいります。
 また、許可の有無にかかわらず土砂基準に適合しない土砂等の使用や廃棄物の混入等が疑われる場合には、盛土等の施工中であっても県が自ら土壌や排水を検査して盛土等の安全性をしっかり確認してまいります。以上であります。

○副議長(竹内良訓君) 和田交通基盤部長。

○交通基盤部長(和田直隆君) 静岡県盛土等の規制に関する条例案についてのうち、条例制定後の建設工事の残土処理への影響とその対応についてお答えいたします。
 建設工事の残土処理方法につきましては、残土処分場への搬出のほか特に民間工事においては民地への盛土による処理が行われることもあります。今回の条例制定により受入先となる民地の所有者には受入れ期間中の土砂管理が求められることから、新たな受入先の確保がこれまでよりも難しくなることが考えられます。また残土処分場におきましては、盛土の環境基準が設けられることで土壌や水質調査等の管理に要する費用が増加し受入れ単価の上昇につながることが想定されます。
 現在公共工事では、まず工事に伴う土砂の搬出抑制を検討し搬出が避けられない場合でも極力他工事への流用を図るなど有効利用に努めております。この取組をさらに徹底していくことが一つの対応策になるものと考えております。
 民間工事においても同様の取組を進めることが重要と考えており、今後は官民で構成する静岡県建設副産物対策連絡協議会や国の建設発生土の官民有効利用マッチングシステム等を活用し発生土情報の共有に努め、建設発生土の有効利用を図ってまいります。
 県といたしましては、これらの取組を進めるとともに建設業協会等の建設関連団体との意見交換などを通じて条例制定後の影響を調査し課題の把握と解決に努め、残土処分が適正に行われるよう取り組んでまいります。以上であります。

○副議長(竹内良訓君) 山本警察本部長。

○警察本部長(山本和毅君) 法改正に伴う高齢ドライバーに向けた取組についてお答えをいたします。
 本年五月十三日に施行されます道路交通法の改正では、高齢運転者対策の充実強化が図られるところであります。
 新たな制度の一つは、免許更新時における運転技能検査の導入であります。
 七十五歳以上の普通自動車免許の保有者で一定の違反歴のある方は、免許更新時に運転技能検査を受けていただき、基準に達しない場合は更新しないこととなります。この制度の対象となりますのは六か月の受検期間が確保される方、すなわち免許証の有効期限が十一月十二日以降の方からでありまして専用の通知はがきでお知らせをすることとなります。県内におけます本年の運転技能検査の対象者数は約三千七百人と推計されておりまして、県内四十二か所の指定自動車教習所及び三か所の運転免許センターにおいて検査を行う予定であります。
 なお、免許更新時に併せて受けていただきます高齢者講習や認知機能検査の制度も見直しが図られますが、施行日五月十三日以降は運転技能検査の対象となるか否かにかかわらず一律に改正後の一元化された高齢者講習が行われますのでその旨周知を図ってまいります。
 二つは、サポートカー限定免許の導入であります。
 運転に不安を覚える高齢者に対し免許証を自主返納することに加えまして、より安全な普通自動車に限って運転を継続するという選択肢を新たに設けるものでございます。
 ここで、より安全な普通自動車とは具体的には令和二年一月三十一日に改正された保安基準に適合した衝突被害軽減ブレーキを搭載した自動車、または令和二年度以降に製造された自動車で衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時の加速抑制装置について性能認定を受けたものが対象となるところであります。サポートカー限定免許を受けようとする方に対しては自らが運転しようとする自動車がこれらの基準に該当するか理解を促す広報を推進をしてまいります。
 また、こうしたサポートカーの普及促進に向けまして関係機関・団体と連携し運転免許センターの日曜窓口に併せて体験乗車会を開催するなど、衝突被害軽減ブレーキなどの有効性を含めまして広く周知してまいります。
 県警察では、新たな制度の内容や留意事項につきまして改めて県警ホームページで周知を図りますほか、高齢運転者支援ホットラインにおいて随時相談を受け付けるなど改正法の円滑な運用に努めてまいります。以上であります。

○副議長(竹内良訓君) 佐地茂人君。
       (四十五番 佐地茂人君登壇)

○四十五番(佐地茂人君) 御答弁頂きありがとうございます。
 意見要望を申し上げ、何点か質問をさせていただきます。
 初めに、医薬分業についてであります。
 先ほど、御答弁で石田部長がですね、機関が判断するものだよという御答弁がありました。一方で医薬分業は非常に必要で薬剤の方々の仕事内容も評価しておるようでございますが、では部長はですね、当時の、昔の総合病院内にある薬局――院内薬局と敷地内薬局、これはどういう区別をされているのかということを伺いたいと思います。
 私はね、また総合病院の中に薬局が戻っちゃうんじゃないかぐらいの感覚でいるわけなんですよ。これは医薬分業に反する内容の方向性になってしまうというふうに私は考えているわけなんですが、この違いについて等改めてお伺いさせていただきたいと思います。
 それから次に、桜ヶ丘病院に関してであります。
 病院に対する県の補助金申請には、本来県が指摘する内容が是正されないからといって補助金を出さないということがあってはなりません。県政史上初のこうした意に沿わないから補助金を出さなかったという事例は、私は悪しき前例になってしまうのではないかと危惧しております。これからの桜ヶ丘病院との協力体制に期待しております。
 そして今後ますます地域医療の重要な役割を担い、救急医療はもとより清水地区の中心的な病院となる桜ヶ丘に対して手厚い御支援をお願いします。新設の病院には医療機器等設備の充実が必要でありますし、新設による建設費等債務返済の負担は現状の地方の総合病院の経営を考えても非常に厳しいことであると思います。ですのでぜひともそうしたことも踏まえながら次年度よりの支援を早速ですね、講じてほしいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 続きまして、条例制定後の建設工事の残土処理への影響とその対応について再質問をいたします。
 条例をつくれば終わりということがないようにお願いしたいと思います。そして条例を制定するからには自ら県も盛土等対策に責任を持ち力を入れるべきであると考えます。
 現在、空港滑走路の延長には多くの土が必要であり、公共工事には発生土は出るものであり、その活用を行うためにも残土の仮置場や処分場を新設し、土の有効活用や県内で発生する残土の追跡調査等も行ってほしいと思います。ですので改めて県の所見をお伺いしたいと思います。以上、答弁を求めます。
○副議長(竹内良訓君) 石田健康福祉部長。
○健康福祉部長(石田 貴君) 医薬分業についての再質問にお答えします。
 院内薬局と敷地内薬局の違いについてどういうふうに考えているかという御質問でございました。
 院内薬局というのはそれこそ病院の中にあってですね、病院が経営するものというふうにまずは一義的に判断できるのかなと。一方敷地内薬局につきましては敷地内にはあるものの構造上あるいはその経営の上でですね、独立が保たれているものということで認識をしております。以上であります。

○副議長(竹内良訓君) 和田交通基盤部長。

○交通基盤部長(和田直隆君) 条例制定後の建設工事の残土処理への影響とその対応についての再質問にお答えいたします。
 先ほどの答弁の中でも若干触れましたが、御指摘のとおり今後はですね、建設発生土の他工事への有効活用というものをさらに進めていくことが重要と考えております。
 他工事で活用する場合にはですね、建設土の発生時期であるとか土の質ですね、質が受入先の希望に添わないということもございますので、御指摘のとおり一時的にですね、仮置場所を設けるということも必要になることがあります。このためですね、今後その条例の施行前から残土の発生状況や受入れ状況、それから処分場や仮置場の充足状況などについてはですね、建設業協会との関連団体もしくは処分場の運営者等へのヒアリングであるとか意見交換を行いまして確保の状況もしくは関係者が抱いている懸念みたいなものをですね、しっかり把握してまいります。またその把握した課題については関係者とともに検討を進めてまいりたいと思います。
 残土の追跡調査ということでございますけれども、まず一つ有効活用、残土の有効活用の観点からはですね、先ほど答弁の中でも申し上げましたが国の建設発生土の官民有効利用マッチングシステム等を活用していくことで官民工事ともにですね、建設土情報の共有に努めてまいりたいと思っております。
 もう一つが適正な利用促進の観点からでございますけれども、現在国で工事現場からの残土の搬出、運搬、処分先などの動きをより確実かつ効率的に管理できるシステム――トレーサビリティシステムですけれどもこの運用を開始しておりまして、今後本県でもですね、この国のその執行の状況をしっかり見ながらですね、システムの活用について検討していきたいというふうに考えております。以上であります。