平成21年11月定例会(第4日目)

2009年12月11日

質問内容

発達障害と特別支援教育について

◯27番(佐地茂人君) それでは、通告に従い、今回は大きく2点の質問をいたします。
初めに、発達障害と特別支援教育についてであります。
1回目は、その中で福祉の分野であります発達障害者支援センターについて質問を行っていきます。
平成17年11月議会において、私はインクルーシブをテーマに特別支援について質問をいたしました。要約しますと、子供は一人一人がユニークな存在であり、違うのが当たり前であることを前提に、すべての子供を包み込む教育システムの中で、一人一人の特別なニーズに応じた教育援助を考えていくことが、すべての人を喜んで受け入れる地域社会をつくり上げていくことにつながり、万人のための教育を達成する最も効果的な手段であり、ひいては費用対効果の高いものになっていくとし、本市においても、すべての子供にそれぞれに見合った支援体制を整えていくことが必要ではないか。また、発達障害については、生まれてから死ぬまでの生涯にわたる一貫した個別の支援策が重要であり、医療、保健、福祉、教育、就労等の連携が不可欠であること、そして、そのためにはサポート役を担う人のスキルアップの必要性、また地域などのその人の周りの人に対しては、その人について理解をするための啓発が大切であると述べ、当局のお考えをお伺いしたところであります。このスタンスは現在も変わっておりません。
今回は、前回に引き続き本市の取り組みがどのように充実されてきたのかをお伺いしながら、今後の展望について質問したいと思います。
発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害、また学習障害や注意欠陥多動性障害等やその他これに類する脳機能障害であって、その症状が通常低年齢において発現するものをいうとされております。
平成17年4月施行の発達障害者支援法に基づき、平成19年10月から静岡市発達障害者支援センター、通称「きらり」が静岡医療福祉センターの4階でスタートしました。このセンターは、発達や行動の気になる子や父兄の相談機関で、必要があれば別のさまざまな機関にも支援を広げていくサポート等を行っております。現在のところ開設から2年が経過したわけでありますが、その状況は平成19年度下半期では、相談件数の延べ支援件数は478件、発達支援に関する延べ支援件数は153件、答弁にもありました。就労支援に関する延べ支援件数は、就労の相談先までいった件数ということもあり6件であります。平成20年度では、相談支援の延べ支援件数912件、発達支援に関する延べ支援件数は586件、就労支援に関する延べ支援件数は16件であります。
平成21年度は上半期のデータでありますが、相談支援の延べ支援件数が439件で、発達支援の延べ支援件数は426件、就労支援の延べ支援件数が8件ということであります。また、新規の相談受付数は2年間で合計992件であります。
相談支援では、まず電話で相談内容の概略を聞き、医療訓練機関や療育機関、各サービス提供者、機関等の情報提供で済めばそこで終了ですが、必要があれば、来所してもらい詳しく話を聞くこともあるとのことです。
発達支援では、子供さんに関する問診表や分析的発達検査表を記入してもらい、医療につなげる調査を行っています。その後、発達障害により支援が必要であると判断されれば、その子と親のかかわり方の指導や医療福祉センターでの診察や施設への入所、またその子の通っている園や学校での連携など多岐にわたるサポートを行うことになります。
就労支援では就労窓口、例えば職業センターや生活支援センターへ同行して支援を行います。
先ほどの統計に戻りますが、発達障害に関する発達支援件数の伸びが顕著であります。これは発達障害者支援センター「きらり」の存在が浸透してきたことと、発達障害についての啓発活動が効果を奏してきたことであると評価できるものでありますが、それにしても153件から586件へ、そして上半期ではありますが、今年度既に426件というのは尋常ではないものと思われます。
そこでお伺いをいたしますが、発達障害についての相談が急激にふえてきている事実から、センターの支援体制の強化が必要であると考えますが、どのようにお考えですか、お答えください。
一方で就労支援は6件、16件、8件と大人の相談件数が低いという特徴となっております。相談支援を年齢別で見ますと、就学前が24%、小学生が31%と半分以上の55%を占めています。中学生、高校生で15%、19歳以上が19%、不明が11%であります。
次に、発達支援を年齢別で見ますと、就学前が48%、小学生が44%で中高校生が8%と、小学生までの支援で92%を占めており、埋没している数はかなり低いとは思われますが、今後の成人の相談支援や発達支援、また就労支援の対応が必要ではないかと思うのであります。自分が発達障害ではないかということは、かなり自分を客観的に見ることができる人でなければ気づきませんし、言ってくれるのは、その人にかかわりあいを持っている先生がほとんどという現状で、成人は先生とのつきあいがありません。
そこでお伺いをいたしますが、成人からの相談については少ないようでありますが、今後はどのように対応をしていきますか、お答えください。
発達障害者の個別のケースを通してのかかわり先の施設では、幼稚園と小学校が多く、保育園と中学校ではかかわりが比較的少ないようであります。保育園に関しては、障害児の受け入れ園では関心も高いと思われますが、普通園が市内に多いこともあるのか、まだまだ発達障害を通じての保育園とのかかわりあいが少ないように思われます。
そこでお伺いをいたしますが、乳幼児や児童における支援では、特に早期発見が重要であると考えます。本市の特徴としては、この就学前の早期発見、相談業務から個別の支援策の作成がかなり多く、最も有効であると考えますが、まだまだ相談ができずに困っている保護者も多いのではないかと推察します。今後、幼稚園、保育園、学校などでより早期発見ができるようにするため、今後どのように取り組んでいかれますか、お答えください。
ところで、発達障害者支援センターは特別支援教育センターとの合築が望ましいのではないかと思っていました。それは、福祉や医療という関係だけに限らず、教育、保健、就労等に係るさまざまな機関が1つのところで連携することが大きな効果を上げると考えるからであります。
例えば医師、臨床心理士、学識経験者らによる専門的支援チームによる個別事例の研究や支援チームの育成、また関係施設への派遣がスムーズになりますし、先生や保護者への講習会の開催、啓発活動の一本化や地域での特別支援連携協議会の育成等も行うことができ、何よりも保護者は、一体化したセンターに行けば1カ所で悩みは解決しますし、解決の道のりも早くなります。
しかしながら結果、本市は福祉と教育という縦割りということもあってか、施設は別々に設置されることになりました。業務については同じ内容のこともあるかと思いますし、協力をしたほうがいいに決まっております。一方、発達障害者の支援のため相談員が学校を訪れたとき、学校では別に個別の教育支援計画が存在し、個別支援計画のすれ違いがあったとの話も耳にします。
そこでお伺いをいたしますが、他の機関との連携については今後どのように進めていきますか、お答えください。
すべての子供がそれぞれ独自の性格を持ち、それに対応した個別の支援策が必要であるということが私の持論であります。事、発達障害に関すれば、子供の状態はそれぞれでありますから、大人はもっと子供にただ話すだけでなく、それぞれに伝わりやすい方法を工夫する必要があるのではないかと思います。また、何を困っているのか気づく訓練も必要であります。先生に関していえば、どうやって子供にわかりやすく伝えることができるかを考え、工夫すれば発達障害の子はもとより、どの子にも使えるし、つまりどの子にも有効な伝達方法の手段を学ぶことになり、他の生徒指導にも役立ちますし、丁寧で工夫された伝達方法の訓練は大切であると思うのです。このような支援に携わる方々のスキルアップが最も大切なことであると思うのです。
そこでお伺いをいたしますが、発達障害のある人への支援に携わる幼稚園、保育園、学校などの機関の職員たちの接し方の向上を図るため、今後どのように取り組んでいきますか、お答えください。
次に、啓発活動についてであります。
現在、「発達障害の理解のために」というチラシの配布により、数年前よりも随分と発達障害は広く市民に普及してきていると思います。しかしながら、まだまだ発達障害のある人の周辺、特に地域という枠組みの中では理解が不十分であると考えます。
そこでお伺いをいたしますが、発達障害のある人を地域で支えていくため、地域の方々への普及啓発については今後どのように取り組んでいきますか、お答えください。
発達障害者支援センターでは、自主事業で啓発活動としての講演会の開催や大学との連携を行っているようであります。また、個別支援の取り組み例では、モデルケースについて紹介しております。センター開設から2年が経過し、発達障害への取り組みはますます活発になることと思いますが、本市においては相談支援ファイルというものを作成し、生涯の個別支援が適正に行われ、かかわりあいを持つ人たちが発達障害者の情報を共有できるよう今後の個別の支援策に生かしていくとのお話を伺っております。
そこでお伺いをいたしますが、個別支援の取り組みについては今後どのように進めていきますか、お答えください。
以上で1回目の質問を終了します。

◯保健福祉子ども局長(寺前泰男君) 発達障害者支援センターの7点の御質問にお答えいたします。
最初に、発達支援の相談が急激にふえているが、強化が必要ではないかということでございますが、平成19年10月に発達障害者支援センターが開設され、発達障害に対する市民の理解やセンターの周知が図られたことによりまして、相談件数は増加傾向にございます。センターでは、保健福祉センター、幼稚園、保育園、小中学校において、発達障害のある子供とその家族に対しまして、適切に相談が受けられるよう専門的な助言を行うほか、職員を対象に研修を実施しております。このような取り組みによりまして、保育園や学校などの身近な生活の場での相談機能の向上を図り、専門的な相談機関であるセンターとの適切な役割分担のもと、発達障害のある人たちに対する一体的な支援体制が強化されるものと考えております。
次に、大人からの相談が少ないが、今後どのように対応するかということでございますが、成人の相談は、本人や周囲の人に発達障害があることの認識がないため、相談につながっていない状況にあるものと考えられます。このため、今後もさらに発達障害の特性などについて理解が深まるよう啓発に努めてまいります。
次が、乳幼児や児童における支援では、特に早期発見が必要と考えるが、幼稚園、保育園、学校などで早期発見ができるようにどのように取り組んでいくかということでございますが、本市では1歳6カ月児や3歳児健診などで発育や発達のおくれを早期に発見する体制が整備されております。また、発達の各段階において早期の発見と適切な支援ができるよう、保育園や学校などの職員を対象に障害の特性や対応方法などに関する専門的な研修を実施しております。
次に、他の機関との連携でございますけれども、発達障害のある人への各ライフステージに対応した支援体制のあり方の検討を行うため、静岡市発達障害者支援体制整備検討委員会を組織し、医療、保健、福祉、教育、就労などの関係機関との連携を図っております。また、具体的な支援を検討するため、委員会に乳幼児部会と就労部会を設置し、保護者向けのサポートブックや支援者向けのマニュアルの作成などに取り組んでおります。今後は、本年10月に開催された特別支援教育センターとも密接な連携を図り、発達障害者の支援体制の充実強化に努めてまいります。
次に、幼稚園、保育園、学校などの機関の職員の接し方の向上を図るためどのように取り組むかということでございます。
発達障害者支援センターでは、保育園や学校などの職員を対象に障害の特性に応じた本人や家族への対応の方法などを学ぶ研修を実施しております。研修には初めて発達障害者支援に携わる人が障害を理解し、具体的な支援方法や地域連携の方法などを学ぶ初期講座と、初期講座を6回以上受けた経験者が、早期療育の支援技術や気になる子の発見方法などのより実践的な内容を学ぶ上級講座がございます。今後も引き続き研修内容の充実を図り、関係職員の技術の向上に努めてまいります。
次に、発達障害のある人を地域で支えていくため、普及啓発にどのように取り組むかということでございますが、発達障害のある人が地域で安心して生活を送ることができるよう、市民一人一人が障害について理解を深め、地域で支えていくことが必要となっております。このため啓発パンフレットの配布、市民を対象とした講演会の開催、発達障害者支援センターのホームページによる情報発信などを行いまして、引き続き発達障害の理解の促進に努めてまいります。
次に、個別支援の取り組みについて今後どのように進めるかということでございますが、発達障害のある人や、その家族へのよりよい支援のためには、保健福祉センター、幼稚園、保育園、小中学校から成人期に至る各発達段階を通じて、一人一人のニーズに応じた支援が行われることが重要でございます。このため各ライフステージにおける発達の記録や支援の内容のほか、必要な情報を記録する相談支援ファイルの整備を検討しているところでございます。この相談支援ファイルが各ライフステージの情報をつなぐツールとなり、切れ目のない一貫性のある継続的な支援が展開されるものと考えております。
以上でございます。

〔27番佐地茂人君登壇〕
◯27番(佐地茂人君) それでは、2回目は特別支援教育における発達障害について、焦点を当てて質問をしていきたいと思います。
私は、特別支援教育とはすべての子供が健全に成長するため、一人一人のニーズにこたえる教育であると考えております。先ほどは早期発見という言葉を多く用いましたが、それは発達障害の子供を特段に意識してのものではありません。
現在の小学校における特別支援教育の校内体制ですが、一般的に校長が示した特別支援教育コーディネーターを中心に支援を必要としている児童の学級担任や学年主任、そして、特別支援教育支援員やアシスタントティーチャーなどが連絡をとり合って児童の日常活動を支援してくれているようであります。学級担任は個別の教育支援計画を作成し、学習と生活場面での支援を行い、そうした場面で支援員がサポートを行っています。また、必要であれば言葉のおくれを改善したり、生活の遊びやルールやマナーを学んだりするための通級指導教室に通っている子供もいます。このような取り組みにより学校の対応も安定してきて、校内での体制も根づいてきているのかなという印象であります。
そこでお伺いをいたしますが、特別支援教育が本格的に実施され3年が経過いたしますが、学校での取り組みについてはどのような様子ですか、お答えください。
ことしの10月1日からは、旧一番町小学校の校舎を改修し、特別支援教育センターがスタートしました。特別支援教育に携わる職員の皆さんが一堂に会し、センターを拠点とした活動が今後期待されるわけであります。施設は3階がセンターの事務室、幼児言語教室の指導室とプレイルーム、そして研修室があります。4階は番町小学校の通級指導教室で、発達障害や言語障害の児童たちは4階を利用することになります。特徴としては、個別の指導ができる教室と数人による集団指導ができる教室があることなどで、保護者も子供の様子をマジックミラーで観察しながら、子供とのかかわり合いのスキルを学ぶことができます。
センターが設置された効果がどのようなものであるのか、まだまだ現時点では推測できないところであろうかとも思います。そこでお伺いをいたしますが、特別支援教育センターの設置についてはどのような利点を生んでいますか、お答えください。
次に、特別支援教育の啓発についてでありますが、各学校での取り組みとしては、児童を通しての保護者への特別支援教育だよりの発行があります。学校内には先生がいますので、集団活動を通して児童が気になる行動を起こすことがあれば早期発見につながりますし、先生方自体も発達障害に関しての知識があるので、学校内での啓発活動はさほど必要ないことであるかと思います。しかしながら、学校は地域とのつながりが大きく、学校を通しての発達障害や特別支援教育の校外への啓発活動は有効であると考えます。また、特別支援教育センターの設置により教育への研修も充実し、他の機関を通しての啓発活動も可能になってくるのではないかと思うのです。
そこでお伺いをいたしますが、特別支援教育の啓発についてはどのように取り組んでいきますか、お答えください。
前回の平成17年の質問では、今後、他の機関との連携についてどうしていくのかをお尋ねしましたが、発達障害者支援法を踏まえて、生涯を通じた支援を視野に入れ、保健、福祉、労働等の関係部局と連携を図っていくとの御答弁をいただきました。その後、発達障害者支援センターの設立により、学校での活動とそれ以外の活動についても多少なりとも連携がとれているとは思いますが、小学校への就学という入り口と就労や授産所、生活支援センター等の学校からの出口との連携についてはどのようになっているのか、生涯を通じての支援が円滑に進んでいるのか定かではありません。
センターの設置により、このような生涯を通じての個別支援策や児童の学校外での個別支援策を他の機関との連携によりきめ細やかな計画へと発展させてほしいと願ってやみません。また、センターの研修室の活用により、医師や臨床心理士、学識経験者、学校の特別支援教育コーディネーター、先生、特別支援相談員等の交流や研修、個別の事例についての研究を行いながら、さまざまな連携をとっていくことが可能になるのではないかと考えます。
そこでお伺いをいたしますが、他の機関との連携についてはどのように進めていきますか、お答えください。
以上で2回目の質問を終了します。

◯教育次長(古屋光晴君) 特別支援教育について4点の御質問にお答えいたします。
まず、学校における取り組み状況についてお答えいたします。
平成19年度の特別支援教育の本格的実施から、幼稚園、小学校、中学校、高等学校においては特別支援教育を実施するための校内支援体制づくりが進んできております。平成20年度にはすべての小学校と中学校に校内委員会が設置され、特別な支援を必要とする子供への支援方法やその内容について、学校内での検討を行っております。今後も幼稚園や学校等にいる特別支援教育コーディネーターを推進役として、学校内への支援を充実していきたいと考えております。
2点目は、ことし10月に特別支援教育センターが設置されたが、どのような利点を生んでいるかという御質問でございます。
特別支援教育センターでは、特別な支援を必要とする子供やその保護者を対象とした相談や個別及びグループでの指導のための部屋がそれぞれの目的や用途に応じた広さで確保されております。待合室において遊具で遊びながら指導を待つ姿やプレイルームの中で指導時間いっぱいまで夢中になって活動する様子などを見ますと、子供が心身ともに伸び伸びとして、生き生きと自分らしさを出していると感じられ、個人個人の能力に応じた的確な指導等を行うことができます。
3点目は、特別支援教育の啓発についてお答えいたします。
特別支援教育は特別な支援を必要とする子供たちへの教育にとどまらず、さまざまな人が一人一人の違いを認め合いながら生き生きと活躍できる共生、ともに生きるでございます、共生社会づくりの基礎となるものでございます。そのため障害のある子供やその家族だけでなく、子供を取り巻く地域の方々にも理解していただくことが必要と考えております。各学校においては家庭向けの配布物などを通して学校における取り組みを保護者や地域の方々に紹介しております。特別支援教育センターでもパンフレットの作成、配布を初め、各学校へ巡回相談員を派遣し、校内委員会への助言を行うとともに要請に応じて他団体へ講師を派遣しております。今後も特別支援教育指導の一層の充実を図るとともに、多くの人に理解されるよう啓発に努めてまいりたいと考えております。
最後に、他機関との連携についてお答えいたします。
発達障害のある人を生涯にわたり支援する発達障害者支援センターと、特別な支援を必要とする子供を支援する特別支援教育センターは、発達障害のある子供への理解と指導方法について共同で研修を開催しております。また、特別支援学校との連携では、特別支援学校と小中学校の養護学級で合同で行事を実施したり、特別な支援を必要とする子供への支援について意見交換を行ったりしております。今後は、医療、大学の関係者等とも意見交換を行うなど、他機関との連携を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
〔27番佐地茂人君登壇〕
◯27番(佐地茂人君) それでは、意見、要望は最後にさせていただきます、時間があれば。
3回目は、大きな2点目の質問となります消防行政についてであります。
平成18年6月に消防組織法の一部が改正され、消防体制の整備と確立を図ることを目的とする市町村の消防の広域化が定められ、市町村の消防を広域化しようとする取り組みが始まりました。この消防組織法の改正には、市町村消防の原則を維持することや関係市町村の地域の実情を十分に尊重することなどの、現場に配慮した衆議院総務委員会の附帯決議が添えられました。
また、市町村の消防広域化に関する基本指針では、自主的な広域化の推進としながらも、スケールメリットや住民ニーズの多様化などから、その必要性について消防体制の広域化を進める旨の基本指針であり、県は速やかに推進計画を定めるよう求めるものでありました。
都道府県では広域化を進める必要があると認められる場合には、平成19年度までに消防広域化推進計画を策定することとされ、静岡県では、平成20年3月25日に静岡県消防救急広域化推進計画が策定されました。この計画で広域化を進める対象となった市町村においては、平成20年度以降に協議を行い、平成24年度末を目安として広域化の実現に取り組むこととされたのであります。
本県においては、ことしの5月19日、県消防広域化推進本部を立ち上げ、東・中・西の3圏域に県内27の消防本部と通信指令業務を集中化することになる計画だったのであります。一方、時を同じくして本市においては、石田消防署の老朽化に伴う建てかえ問題と、合併による本部の機構改正や時代が要請するビル火災に対応することなどを行う査察課という組織の必要性により、消防本部のスペースが手狭になってきたことが昨今の課題でありました。
このような状況の中、今後の消防の広域化に対応して消防本部の整備について、第2次総合計画において解決を図っていく方向になったのであります。そして、新消防本部と新石田消防署の建設候補地として駿河区役所の隣の土地を購入したのであります。一体的に市有地を保有する小嶋市長の考えには、土地を有効に活用することができるので共感をいたします。
昨年の9月議会では、約8,800平米の敷地を約18億円で土地開発公社により先行取得する議案が可決されたのであります。当時の委員会の質疑では、なぜ当初予算でなくて、急いで9月議会での審議になるのかという質問に対して、消防の広域化が平成25年度からスタートするので時期を考えると今から準備、建設にかかる必要があり、広域の協議会の中の議論においても、消防本部の場所等が明確にされたほうがいいと判断したとの答弁でありました。これにより、私は、平成21年度に地質調査、22年度に設計、大きい建物でありますから23年と24年の2年かけて建設を行い、平成24年度末のスタートに間に合わせるのではないかと推測をしました。
そこでお伺いをいたしますが、現在はこの消防本部と石田消防署の建設については、事業としてはどのようなことを行っていますか、また、来年度の予定につきましてはどのようになっていますか、お答えください。
私が考えるには、消防組織法の改正や市町村の消防の広域化の推進についての基本指針では、さきに述べたように市町村の意向を十分に尊重することや市町村の広域化の推進に取り組んでいただくようお願いするものという、明らかに市町村が決めるのだという自主性を重んじているものであるように受け取れます。よって、県が推進計画を策定しても、その効力は余りないこと、また、現在のところ国の支援は広域化計画の作成経費が1圏域当たり500万円、そのほか国や県に関しては現在のところ明確な財源措置が提示されていないことなどにより、広域化の推進が積極的ではないと受け取られても、いたし方ないのではないかとも思われます。私は決してお土産が欲しいというわけでもありません。
県は、一元化によることのメリットとして、1つ、現場への人員増員、2つ、救急車などの効率的な運用、3つ、大規模災害時の広域的な対応などが可能であるとしています。また、通信指令センターの統合については規模が大きいほど節約効果が高く、県内3つで対応したいと6月県議会の一般質問で答弁をしております。しかしながら、新聞報道によれば一部事務組合方式と委託方式との考え方の違いや、通信司令室の一本化や本部の設置などは市町村それぞれの考え方により東・中・西の3地区での広域化は現在危うい状態ではないでしょうか。
中部圏域の状況については後ほど申し上げますが、国の指針によれば、平成24年度末にはスタートする計画ではありますが、広域化の進捗状況によっては、既に間に合わないのではないかと心配するところであります。
そこでお伺いをいたしますが、消防本部と石田消防署の建設までの計画についてはどのようになっていますか、お答えください。
駿河区役所隣のSBSの土地8,800平米は、敷地的にはかなり広く消防行政以外の使用も考えられるのではないかと考えましたが、現在のところ消防のみの利用とお聞きしております。周辺には駿河区役所と生涯学習センターや小学校が隣接しており、市民にとっては交流などの活用がしやすい土地であります。敷地は用途地域の規定による建物の制限もあると伺っておりますが、消防本部機能がどの程度移動するのかも気になるところであります。
そこでお伺いをいたしますが、消防本部と石田消防署の建設については、ボリュームとしてはどのような感じになりますか、また、全体の敷地の活用についてはどのようにお考えですか、お答えください。
移転後の消防本部の活用についてお伺いしたいと思います。
現在のところ、追手町の消防本部は4階から7階を使用しております。1階ごとのフロア面積はさほど大きいとは思いませんが、大胆に売却とか賃貸等による、少しでも市の収入増につなげていくことを望みます。例えば現在の札の辻のビルの賃貸料は全部で年間の使用料は1億円以上ではないかと記憶しておりますが、消防本部跡地の活用により経常経費の削減につながるのではないかと考えます。
そこでお伺いをいたしますが、移転後の現消防本部庁舎の活用についてはどのようにお考えですか、お答えください。
少し話が変わりますが、消防本部機能の移転と広域化に加え、消防行政では、現在のところ消防救急無線のデジタル化が急務であります。消防救急無線のデジタル化については、国においてデジタル方式の活用について平成9年から検討が行われてきましたが、周波数の割り当て基準や、アナログ周波数の使用期限を平成28年5月31日までとする旨の電波法関係審査基準について、総務省総合通信基盤局が平成15年10月に改正したことにより期限が決定されたことを受け、平成17年7月15日付、消防庁次長通知の「消防救急無線の広域化、共同化及び消防指令業務の共同運用の推進について」を受けて、本県では平成19年3月に静岡県消防救急無線の広域化共同化整備計画が検討されました。つまりはデジタル化に伴い、広域的で共同化が図れる消防指令センターの設置と、スケールメリットを生かした通信をするための無線のデジタル化について、整備を進めるためのスケジュール等の計画が提案されたのであります。
消防救急デジタル無線整備経費については、本市の中部圏域において広域的に整備しても、単独で整備した場合のいずれも整備経費は同額になるとのことであり、メリットはないものの本市の基地局については、既に今年度の整備が完了する地域防災無線のデジタル化による基地局を活用することにより、整備費用は縮減できるという話も伺っております。
県の整備計画によれば、整備スケジュールについては平成22年度から工事、試験、運用開始を進め、平成28年5月31日までに本格的運用を開始することになっております。しかしながら、消防の中部圏域広域化と消防指令業務の共同運用は、無線のデジタル化との整合を図りつつ実施することが重要であり、広域の再編の枠組みにより決定していくことが考えられますので、本市の消防救急無線のデジタル化の推進について、計画が予定どおり推進しているのか心配をするところであります。
そこでお伺いをいたしますが、消防救急無線のデジタル化について、現在の状況はどのようになっていますか、また、課題についてはどうとらえていますか、お答えください。
最後に、中部圏域消防救急広域化について質問をいたします。
静岡市が考える中部圏域消防救急広域化原案によりますと、本市への事務委託方式による広域化ということであります。事務委託の基本方針の内容については、各自治体の人員については静岡市の職員として採用すること、すべての庁舎、土地、建物を静岡市が無償で借用し、車両等についても各自治体から贈与を受け、静岡市が所有、管理すること、また、車両の更新や庁舎の建てかえは整備計画にのっとり、各自治体が経費を負担することとなっております。
メリットとして、本市に委託する市町は現在の消防費の水準で今以上の消防救急サービスが受けられ、住民にとっては大きな行政サービスの向上につながることであります。具体的には、通信指令等の本部員の配置の一本化により、現在より36名の現場配置職員を増員できること、また高機能消防指令システム整備経費の削減により、投資の効率化と参加自治体のコスト縮減につながることを挙げております。何よりも消防力の強化により広域的な支援体制がひかれ、高度な消防行政サービスを提供できることであります。また、運営協議会の設置や大規模災害時における市長権限の留保、大規模災害時の災害情報共有システムによる出動指令などにより、他の各自治体に配慮した運用も構想しております。
しかしながら、このようにメリットが大きいと思われる本市の案に対して、ことし9月16日には焼津市の清水市長が、9月議会で本市への委託方式による広域化には不参加を表明しました。次いで、9月28日の定例記者会見で北村藤枝市長も不参加を表明し、新聞報道では、今月の2日には、藤枝市議会にて焼津市と藤枝市の2市で広域化を目指すことを確認した旨の発言がありました。
一方、本市案に賛同を示している市町もあり、島田市、川根本町、そして牧之原市、吉田町も本市への委託方式による広域化への参加を希望されているところであります。
小嶋市長は、一貫して年内には方向性を出したいとの発言をしておられますので、消防本部と石田消防署の建設との絡みもあります。そろそろ広域化の枠組みを決定しなければならない時期に来たのではないかと思います。
そこでお伺いをいたしますが、焼津市、藤枝市が不参加を表明しておりますが、今後の消防救急の広域化の取り組みについてはどのように行っていきますか、お答えください。
次に、意見、要望を申し上げます。
発達障害者支援と特別支援教育は一体的に事業を推進していくことが、より深いサービスにつながると考えておりますので、啓発活動や関係機関のスキルアップ、また個別の支援策については連携をとっていってほしいと思います。また、そのほうが予算的にもリーズナブルで、その分、人にお金をかけることができると思います。
消防本部及び石田消防署の建設と……

◯議長(近藤光男君) 発言はあと1分で終了してください。

◯27番(佐地茂人君)(続) 消防救急無線のデジタル化、そして中部地区の消防救急の広域化はそれぞれ違う業務でありますが、この2つは、一体的に整備していくことが本市にとってよいことであると思います。
また、焼津市、藤枝市の協力によって、よりよいものになることは明らかでありますので、この点については計画の決定後についても粘り強い協議が必要であります。
また、消防救急は市民から頼られる、尊敬される本市の業務であります。庁舎建設の際には、市民へ親しみやすい施設となるように工夫を凝らしてほしいと思います。
以上ですべての質問を終了します。

◯消防防災局長(岡村一博君) 消防行政に関して、まず消防本部、石田消防署の建設計画について4件、それから消防救急の広域化について2件の御質問にお答えいたします。
まず、石田消防署、消防本部の建てかえ建設計画についてでございますが、現在、事業としてどのようなことを行っているのか、また来年度の予定はどうなっているかという御質問でございます。
本事業は、消防本部、石田消防署の合築を基本として進めておりますが、現在、県の中部地域を対象とする消防救急業務の広域化に取り組んでいるところであり、消防本部部門は広域化の枠組みが決まり次第、具体化していくことになります。しかしながら、この建設用地は埋蔵文化財がある可能性が高いことから、今後予定している発掘調査に向けた試掘調査を先行して本年6月に実施いたしました。
なお、10月以降に予定しておりました地質調査につきましては、庁舎の規模がまだ確定していないことから、実施を来年度に先送りすることといたしております。
来年度は地質調査と基本設計を実施する計画であります。
次に、建設までの計画についてはということでございますが、建設までのスケジュールですが、庁舎本体の工事の工期がおおむね2年と見込まれておりますこと、消防救急無線のデジタル化の期限が平成28年5月末であることなどから、これらを勘案した上、消防救急広域化も含めて関連事業に支障がないように整備を進めてまいりたいと考えております。
それから建設についてのボリュームあるいは敷地の活用についてはどうなるかという御質問でございますが、新庁舎はSBS通りに面した位置に配置し、機能的には消防本部と石田消防署の2つをあわせ持ったものを基本にし、下層階に石田消防署と消防車両の車庫を、上層階に消防本部各課、事務室と指令センターを配置し、附属施設として訓練棟を整備したいと考えております。あわせて、現在市内各所に暫定的に分散配置されております特別高度救助隊関係の特殊車両や緊急消防援助隊の資機材等についても、ここに集結させ迅速な出動体制を確保したいと考えております。
なお、建設用地北側部分は、消防広場として市民や事業所の防災防火教育、消防隊の教育訓練、消防団の操法訓練の実施場所、あるいは消防関係の各種PR、イベントの会場や来庁者の駐車場など、多角的な活用を考えております。
次に、移転後の現消防本部庁舎の活用についてでありますが、移転により空きスペースとなる消防本部中央部分については、全庁的な観点から有効活用を検討してまいりたいと考えております。
次に、消防広域化関係であります。まず、消防救急無線のデジタル化について現在の状況はどうか、また課題をどうとらえているのかという御質問でございます。
消防救急無線のデジタル化については、移行期限が平成28年5月末と示されておりますが、そのために必要な無線機器については、現在各メーカーで開発中であり、いまだに製品化されていない状況にあり、基礎的な情報の収集に努めているところであります。
また、広域化に伴う関係市町の現在の無線状況についての調査を行うとともに、本市については南八幡の庁舎建設を前提としたデジタル化に必要な電波伝搬調査について検討しているところであります。
次に、課題でありますが、消防救急無線のデジタル化には多額な経費がかかることから、整備費の低減化が課題であります。そのため、静岡市については地域防災無線のデジタル化整備を実施する際に行った電波伝搬調査結果などを参考にするとともに、中継基地局についても既存の地域防災無線の施設を活用するなど、今後基本設計、実施設計の中で効率的なシステム設計を図り、経費の節減に努めてまいりたいと考えております。
最後に、焼津市、藤枝市が不参加を表明しているが、今後の消防救急の広域化の取り組みはどのようにしていくかという質問でございます。
中部圏域全体の消防力の充実を図るためには、焼津市、藤枝市も含めて広域化を実現することが望ましいとの考えに変わりはありませんので、不参加を表明されている焼津市、藤枝市に対しましても引き続き関係の市町消防本部と連携し、あわせて静岡県にも御協力をいただきながら、中部圏域の参加を呼びかけていきたいと考えております。
消防救急の広域化は、さまざまなスケールメリットを活用して消防体制の充実強化を図るため有効な手段とされておりますので、現在の県推進計画の示す枠組み以外につきましても、広域化のメリットや可能性など検討を進めているところであります。遅くとも1月中には広域化の枠組みを固められるよう、広域化に向けた課題の整理を進めるとともに関係市町の意向を確認していきたいと考えております。
以上でございます。