令和元年6月静岡県議会定例会

2019年6月24日

質問内容

質問者: 佐地 茂人 議員
質問分類 代表質問
質問日: 2019/06/24
会派名: 自民改革会議

午前十時三十分 開議
○議長(鈴木利幸君) ただいまから会議を開きます。
議事日程により、知事提出議案第百五号から第百二十六号までを一括して議題とします。
なお、議案第百六号から第百十号までについて人事委員会の意見を求めたところ、お手元に配付したとおり回答を得ていますので御承知おき願います。

人委給第 5 号
令和元年6月21日
静岡県議会議長 鈴 木 利 幸 様
静岡県人事委員会委員長 小 川 良 昭
地方公務員法第5条第2項に基づく意見について
令和元年6月19日付け静議議第18号により意見を求められた下記議案について、異議はありません。

議案名
第106号議案 地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整備に関する条例(職員の給与に関する条例の一部改正、職員の分限に関する条例の一部改正、職員の懲戒の手続及び効果に関する条例の一部改正、静岡県職員の退職手当に関する条例の一部改正、静岡県職員の旅費に関する条例の一部改正、静岡県教職員の給与に関する条例の一部改正、静岡県地方警察職員の給与に関する条例の一部改正、外国の地方公共団体の機関等に派遣される職員の処遇等に関する条例の一部改正、静岡県職員の育児休業等に関する条例の一部改正、職員の勤務時間、休日、休暇等に関する条例の一部改正、静岡県職員の公益的法人等への派遣等に関する条例の一部改正、静岡県人事行政の運営等の状況の公表に関する条例の一部改正に係る部分に限る。)
第107号議案 会計年度任用職員の給与等に関する条例
第108号議案 静岡県教育委員会の一般職の任期付職員の採用に関する条例
第109号議案 静岡県職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例
第110号議案 静岡県地方警察職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例

○議長(鈴木利幸君) 質疑及び一般質問を行います。
通告により、四十八番 佐地茂人君。
(四十八番 佐地茂人君登壇 拍手)
○四十八番(佐地茂人君) おはようございます。
質問に入る前に、今月十八日に発生し新潟県村上市で震度六強を観測した地震により被災された皆様、そして復旧と復興に携わっておられるあらゆる立場の方々に改めてお見舞い申し上げます。
それでは通告に従いまして、自民改革会議の一員として知事、副知事、関係部局長、教育長及び教育部長並びに警察本部長に対し代表質問をいたします。
大きく六テーマから十六項目の質問を分割方式で行います。
初めに、知事の政治姿勢についてのうち、県政の運営方針について質問します。
私ども県議会は、このたびの統一地方選を経て令和元年という大きな節目に県民の負託を受け新たにスタートすることになります。私も三十九名での出発となりました最大会派である自民改革会議の一員として、おごることなく謙虚に県民の目線に立って公人としての身分をわきまえて、真摯に県勢発展のために微力ではありますが汗を流していきたいと決意を新たに取り組む所存であります。
さて、川勝知事の三期目の県政運営も折り返し地点を迎え残り任期は二年となりました。この間自民改革会議は知事との関係では是々非々の立場により緊張感を持って活動してまいりました。知事の三期目の取り組みのイメージとしては、文化、教育、医療から次世代産業、新産業への取り組み、イノベーション、人材育成、中小企業への支援といった経済、産業振興への施策展開にシフトチェンジされた感があり、それは時代の要請でもあり我が会派が日ごろから要請していることに通じていると考えております。
一方、一昨年の知事の再任挨拶で決意した県政の喫緊の課題対応でのやり残した感のある不十分だと言わざるを得ないことは少子化対策と人手不足対策、そして実のある県内総生産の拡大であります。
少子化対策で申し上げれば、ふじのくに少子化突破戦略の羅針盤での分析をもとにした施策展開によって、結果少子化突破が実現できていないこと、つまり合計特殊出生率が二〇一八年時点で一・五〇でありほぼ横ばい、人口自然増減率はマイナス四・七であります。ちなみに人口は二〇一八年で二〇〇九年比伸び率九六・五二%、全国十八位であります。
人手不足に関しては、県内の雇用情勢は着実に改善が進んでいるという概況でありますが、宿泊業、飲食業といった観光関連産業の伸びに対していまだ看護師、保育士、介護関連、建設関係といった現場の人手不足感が顕在化し解消されていないのが実態であります。
県内総生産について申し上げれば、最近では企業立地全国一位であるにもかかわらず平成のリーマンショックから抜け切れず製造品出荷額等はショック後からほぼ横ばいであり、ものづくり県静岡の再興が実現できておらず県内総生産は二〇一五年では十七兆二千九百二十四億三千九百万円、二〇〇九年比伸び率は一〇七・七四%で全国二十三位であります。このようなデータからも県民の景気に対するよい実感がないことがわかります。
また、県の財政運営につきまして一般会計の県債残高全体は二〇一六年度末に一時減少したもののその後再び増加に転じ、現在は二兆七千億円を超える水準で高どまりしています。将来世代に負担を先送りすることのないよう持続可能な財政基盤の構築が求められているのであります。
そこで、知事の任期は折り返しとなりますが少子化対策、人手不足、県内総生産、財政運営等課題が残っている中、残り任期二年でこうした課題にどのように向き合い今後どのように取り組んでいくのか伺います。
次に、JR東海との連携についてのうち、リニア中央新幹線整備事業に関する現状と対応方針について質問します。
これまでも、我が会派は何度となくこの課題について代表、一般質問で取り上げてきたところでありますが、成果が得られているのかいないのかわかりにくい状況にあります。JR東海との対話の状況については、県は昨年十二月二十八日付でJR東海に送付した中央新幹線工事における大井川水系の水資源の確保及び自然環境の保全等に関する質問書に関し環境アセスの手続の中で設置した静岡県環境保全連絡会議の専門部会において対話を続けており、質問書に対するJR東海の回答は一通り終わったものの保留項目が多いため、本年六月六日に県はこれまでの論点を整理した中間意見書をJR東海に対して送付したところであると認識しております。また六月十三日に知事は地元関係者、専門部会委員、メディア関係者と南アルプストンネル工事の現場視察を行ったと聞いております。
こうした状況の中、JR東海の金子社長は五月三十日の記者会見で静岡工区のおくれにより開業時期に影響が出かねない旨の発言をされました。これに対し、知事は六月十一日の定例記者会見でJR東海がみずからの事業計画を金科玉条のごとく相手に押しつけることは無礼千万との発言をされたのであります。一連のやりとりについては県とJR東海互いの発言が対立、けんかしているかのように映り、本題である中間意見書で示した事項に関する協議がどのような状況にあるのかわからず不安を抱いている県民も多いかと思います。
そこで、中間意見書で示された事項に関する協議について現在の状況と今後のスケジュール、協議の進め方について伺います。
またリニア中央新幹線建設促進期成同盟会に関しては、六月五日第百十回中部圏知事会議の場で期成同盟会会長である愛知県の大村知事に川勝知事から加盟依頼書を提出したところ、翌日開催された期成同盟会の総会で会員の一部から持ち帰って判断したいとの意見があり本県の加盟は保留となったと認識しております。期成同盟会とはリニア中央新幹線の事業推進を図るための団体であり、この時期に利水関係者に何の相談もなく加盟申請に至ったことに関係者からは不安や不信の声も聞こえております。
そこで、今回加盟申請を行った知事の真意とその目的について伺います。
リニア中央新幹線整備事業は国家プロジェクトと言ってもいいほどの事業だと認識しております。今後JR東海や国等の動きによっては事業が進まないのは静岡県が同意をしないためとの世論形成がされる懸念もあります。今後本県にとって不利益を生じることのないよう県民はもとより国やリニア建設関係自治体等に対し本県の課題認識や取り組み状況をわかりやすく説明していくことが重要であると考えます。
そこで、利水関係者の不安を解消し県の立場について関係者の理解を得るなど今後どのように対応していくのか伺います。
次に、富士山静岡空港新幹線新駅実現に向けた取り組みについて質問します。
二月十四日の知事会見では、リニア中央新幹線が開通したときが新駅ができるとき、新駅はリニアができ上がった時に完成すればいいと話されました。JR東海は駅間距離を考えれば現状では不可能であるとして一貫して新駅設置に否定的な姿勢を示しており、本県はこの問題についてJR東海と一度も正式な協議をしたことがありません。
新駅の設置については二〇一四年度以降調査費を計上し新駅や関連施設の検討等をしており、また今年度も新駅設置により期待される利用者の利便性向上などの効果を検討する調査が行われるとのことであります。
そこで、これら調査の成果はどのようなものであるか伺います。
また、このような調査はJR東海側の協力なくしてできるものでありません。そこで残り二年の任期の中、今後新駅の実現までの道筋をどう描きJR東海との交渉を進めていくのか伺います。
次に、地方創生の推進についてのうち、次期総合戦略について質問します。
二〇一五年十月に策定した美しいふじのくにまち・ひと・しごと創生総合戦略はことしが最終年度であります。本県からの日本人の転出超過数は二〇一三、二〇一四年に全国ワースト二位と転出が著しくその後改善してきましたが、二〇一八年は前年よりも千人多くワースト四位となり東京圏等への流出には歯どめがかかっておりません。
人口減少対策では減らさないように対策する抑制と減っていく中で対応していく適応のバランスが重要でありますが、人口減少に歯どめをかける一方、人口減少下でも地域の持続的成長を維持できるシステムの構築など抑制、適応の両面から実効性のある施策を切れ目なく進めていく必要があります。
そこで、まず策定に当たる前提として現総合戦略の評価、施策の見直しを行う必要があると思いますがどのようなスケジュールで次期戦略を策定していくのか伺います。
また、首都圏以外の地方が同様に人口減少社会を迎える中にあっては、他地域との差別化を図る上で本県の魅力や特性を踏まえて対策を構築していくことが重要であります。次期総合戦略を策定するに当たっては静岡県は総合戦略でこれをやっていくんだという県民へ向けてわかりやすいメッセージが必要ではないでしょうか。
そこで、次期総合戦略ではどのような将来像を描き、特にどのような点に力を入れて対策に取り組んでいくのかあわせて伺います。
次に、外国人との共生のうち、地域における共生について質問します。
本年四月から、中小・小規模事業者を初めとした深刻化する人手不足等に対応するため外国人に関し特定技能の在留資格に関する制度が始まりました。共生社会の実現はそんなに簡単に進んでいくものではないことは誰もが承知していることでありますが、最も重要なことは相互理解であります。しかしながら急激に外国人県民が増加する中、日本人県民は外国人の文化や風習などになれていないことがまだまだ多いと感じております。
一方、外国人県民から見ても自国では当たり前のことが日本では通用せず文化や礼儀、風習、地域でのごみの分別などルールの違いに戸惑うことが多いかと推察します。外国人県民と日本人が共生していくためには日本人が外国人県民の文化背景を理解することはもとより外国人県民も地域のルールを理解し尊重することが大変重要であると考えます。現在は生活オリエンテーションを就業先で行う等の取り組みが進められておりますが、外国人県民と日本人が相互理解のもとに地域コミュニティーの中で共生する理想の多文化共生社会の実現に向けて県としてどのように取り組んでいくのか伺います。
次に、教育環境の充実について質問します。
ことし五月時点で県内に暮らす外国籍の児童生徒は三千八十一名でそのうち日本語教育が必要な子供は千八百六十七名います。加えて日本国籍の日本語が話せない児童生徒は百六十三名おります。潜在している児童生徒もいるとするともう少し多いと思いますが、これまでポルトガル語、スペイン語圏の児童が多かったところ最近はフィリピン籍が急増しているとのことであります。
近年、東部、中部、西部への散在化により少人数在籍校が増加しています。また日本国籍を所有していても日本語指導が必要な児童生徒が増加しております。さらに定住化の傾向が進み高校進学を希望する生徒が増加していますが学校現場では教科学習支援への対応に苦慮しております。
本県ではトータルサポート事業としてスーパーバイザーやコーディネーターを活用し相談業務や特別な教育課程の編成と実施についての指導を行っておりますが、ますますふえる日本語指導の必要な児童生徒等に関する課題の克服には人手がさらに必要ではないでしょうか。
そこで、外国人児童生徒への日本語教育を初めとした学校での受け入れ体制の充実について、県は今後どのように取り組んでいくのか伺います。
次に、今後の高速道路ネットワークの整備について質問します。
本県の高規格幹線道路については、一九八七年の第四次全国総合開発計画において東西を結ぶ東名高速道路、新東名高速道路、南北を結ぶ中部横断自動車道、三遠南信自動車道、伊豆縦貫自動車道の五つが位置づけられました。また一九九四年には高規格幹線道路を補完し地域の自立的発展や地域の連携を支える道路として地域高規格道路が指定され、県内では現在政令市が管理する六路線を含めて七路線が決定しました。県が管理するのは空港と御前崎港、東名、新東名、国道一号等を南北に結ぶ金谷御前崎連絡道路であります。
こうした高速道路ネットワークはヒト、モノの移動と交通の結節点への周辺整備により本県に大きな経済効果をもたらしてきました。東名高速道路は全線開通五十周年を迎えましたがこの五十年間の経済波及効果は約六十兆円に上ると言われております。新東名高速道路については二〇一二年四月以降観光客数が六年連続で増加し、本県の企業立地数は二〇一六年から二年連続で全国一位となるなど開通効果があらわれております。中部横断自動車道の開通により起点に位置する清水港では物流が効率化し山梨県を代表する農産物などの輸出の増加が見込まれるほか、清水港に寄港する国際クルーズ客船の新たな観光ルートの形成も期待されています。今後は南北軸である三遠南信自動車道、伊豆縦貫自動車道、金谷御前崎連絡道路についても早期開通に向け事業の着実な推進が期待されるところであります。
こうした中、国は昨年三月に道路法を改正し重要物流道路制度を創設しました。これは平常時、災害時を問わず安定的な輸送を確保するため物流上重要な道路輸送網を指定し機能強化や重点支援を実施するものであります。
本年四月に既存道路が全国で指定され、県内では供用中の東名や新東名、国道一号のほか金谷御前崎連絡道路の一部区間を合わせた八百五十三キロメートルが一次指定されたのであります。今後計画中や事業中の道路についても二次指定として追加される予定であります。重要物流道路に指定されれば優先的な国の予算配分も期待されることから、本県も追加指定に向けて積極的に国へ働きかけていくべきであります。
そこで、今後金谷御前崎連絡道路を含む南北の高速道路ネットワークの整備に向け県はどのように取り組んでいきますか。周辺の広域連携も含めてお答えをしてください。
次に、社会インフラの長寿命化への取り組みについて質問します。
アセットマネジメントとは資産を管理、経営、運営することであり、決して費用を削ることが目的ではなく公共において県民の財産を適切、安全に管理し価値を最大限にするための取り組みと理解しております。老朽化が進む社会インフラの機能維持を考えるに当たり私は保守点検の効率化と老朽化対策コストの縮減、平準化という二つの大きな課題があると考えております。
まず、一つ目の課題である保守点検の効率化についてであります。
県管理の橋が約三千三百カ所あるだけでもわかると思いますが、全国の道路管理者が管理する橋梁は約七十万橋、トンネルは約一万カ所にも及びます。五年に一回の近接目視という定期点検だけで年間三千億円から五千億円の費用と業務を担う人手が必要と言われております。これに施設の老朽化対策のための調査や点検が加わればさらに膨大な費用と人手が必要となるのであります。
ことしの国の定期点検要領の改正ではドローン等の点検支援技術の活用も明記されましたが保守点検をいかに効率よく実施するかが重要となってまいります。
次に、二点目の課題である老朽化対策コストの縮減、平準化についてであります。
二〇三七年には建設後五十年以上を経過する橋梁数の割合が七九%まで上昇することが見込まれているなど構造物の急激な老朽化への対応は喫緊の課題となっています。政府は二〇一八年のインフラの維持更新需要推計において施設の機能等にふぐあいが発生してから修繕、更新を行う対症療法型の管理である事後保全管理の場合、三十年後の維持管理費は最大二・四倍に増加する一方、ふぐあいが発生する前に修繕し施設の延命化や故障の確率を低減できライフサイクルコストが縮減できる予防保全管理の場合には、最大で一・四倍の費用に抑制できるという試算結果を報告しました。社会インフラ老朽化に対応するためにはこうした試算結果も踏まえ維持補修と更新を効率的、効果的に行うことにより施設の長寿命化を図りコスト縮減と平準化を最大限実現することが重要であります。
そこで、アセットマネジメントの観点から保守点検にかなりの時間と労力がかかりますがどのように対応していくのか伺います。また社会インフラ長寿命化の推進に向けて今後どのように取り組んでいくのかあわせて伺います。
次に、空き家対策について質問します。
人口減少の進展に伴い郊外地域のみならず県内市町全域で空き家の増加が顕在化しており、その対策は急務となっております。二〇一五年五月に全部施行された空家等対策の推進に関する特別措置法では市町は保安上、衛生上問題のあるまたは適切な管理がされてないことにより著しく景観を損なっている状態の空き家は特定空家に認定し除却等について助言、指導から勧告、命令、代執行と所有者に対して改善を求めることができることになりました。しかし市町はどういった指導を行い勧告はどのようなときにすればよいかなど明確な指導基準やルールがなくては認定しづらいのではないかと考えます。県がマニュアル化し明確な指導基準等を市町と相談の上策定する必要があると思いますがいかがでしょうか。
特定空家に認定したものについては適切に是正し管理もしくは解消といった流れで進めていけばよいと考えます。一方それ以外の空き家等につきましては手直しした上での活用や民間の第三者による管理などの可能性があるのではないかと考えます。
現在、本県では静岡県空き家バンクによる情報提供や移住・定住も含めた対策促進のための民間団体との協定締結などに取り組んでおりますが、一歩踏み込んだ対策を行い現状以上の効果のあるものにすべきと考えます。
そこで、本県は空き家の解消に向けて今後どのように取り組んでいくのか伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(鈴木利幸君) 川勝知事。
(知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) おはようございます。きょうは六月議会の論戦の初日ということで、私ども行政側は全てサムライシャツ、武襯衣を着用しております。この武襯衣かれこれ六、七年になるかと存じますけれども、きょうはどなたも武襯衣をお召しになっていらっしゃらないのがやや寂しい気がいたします。
さて、佐地議員にお答えいたします。
私の政治姿勢についてのうち、県政の運営方針についてであります。
私は、知事就任以来県政運営の基本理念に富国有徳を掲げてまいりました。これは日本の国土のシンボルである富士山から導き出される国づくりの理念であります。霊峰富士を擁する本県におきまして、県民の皆様の誰もが将来に希望を持って物心ともに豊かに暮らすことのできる理想郷を実現するべく全力を傾注してまいりました。
昨年四月にスタートした静岡県の新ビジョン富国有徳の美しいふじのくにの人づくり・富づくりにつきましては、外部評価となる総合計画審議会また県議会などの場で御議論を賜り全体として着実に進捗しているとの評価をいただいたところであります。一方課題の見られる分野につきましては評価結果を真摯に受けとめまして全庁を挙げて不断の見直しを行ってまいります。
少子化対策につきましては、少子化突破戦略の羅針盤の分析結果に基づく市町の実情に応じたきめ細かな取り組み支援に加え、八月には新たに少子化対策連携会議を立ち上げました。優良事業の横展開や市町間の広域連携施策の構築に取り組んでまいります。さらに待機児童ゼロの実現に向け本年度の保育所等の受け入れ枠を一千二百人以上拡大するなど安心して妊娠、出産、子育てのできる環境整備を強力に推進してまいります。
人手不足対策につきましては、産業人材確保・育成プランに基づき全県を挙げた取り組みを展開しております。看護協会や地域の医療関係者等との連携による潜在看護師の再就業の一層の充実に加え、介護や保育職員の身体的、精神的負担の軽減や建設業の生産性向上に向けてICTの活用を促進するなど業界団体と一体となって労働力不足の解消に努めてまいります。
県内総生産の拡大につきましては、静岡県産業成長戦略に基づいて進めております。官民が一体となり自動車産業のEV化などへの対応、CNF  セルロースナノファイバーの推進、先端農業の推進、マリンバイオテクノロジーを活用した次世代産業の創出等々に取り組んでまいります。また中小企業の経営力向上への支援の充実などにより本県の産業基盤の強化を図ります。
財政運営につきましては、通常債残高は新ビジョンに掲げる一兆六千億円の目標を下回って推移しております。一方地方交付税の身がわりである臨時財政対策債の残高は一兆円を超え県債残高全体の四割を占めておりますことから、国に対して地方財政改革の必要性を強く訴えているところであります。引き続き歳出のスリム化と歳入確保に取り組み持続可能な財政基盤を構築してまいります。
今後とも、本県の目指す姿である県民幸福度の最大化に向けて、霊峰富士の姿にふさわしい富国有徳の美しいふじのくにの人づくり・富づくりに全力で邁進してまいります。
次に、私の政治姿勢についてのうち、JR東海との連携についてであります。
リニア中央新幹線整備事業に関する現状と対応方針についてでありますが、ユネスコエコパークに登録されている南アルプスは複雑な地質構造と貴重な生態系を有しております。その南アルプスを源流とする大井川の水は第一に六十二万人の生活用水であります。第二に一万二千ヘクタールもの農地のかんがいをする農業用水であります。第三に工業用水であります。第四に発電用水であります。かように多岐にわたり利用され流域の住民生活や産業の発展に欠かせない大切な資源であります。
このため、トンネル工事に伴う水資源あるいは自然環境への悪影響を回避しなければなりません。また利水者や地域住民の皆様の不安を解消しなければなりません。悪影響を回避すること、不安を解消すること、これが最優先課題であります。
このことから、平成二十九年四月知事意見としてトンネル湧水の全量を大井川に戻すということを決めました。これに対し、何と一年六カ月もの長い期間を要した後ようやく水資源や生態系の保全に関し対話を始めることができたのであります。専門部会委員からJR東海の認識不足に対し再三注意喚起があるという状況での対話であります。この対話を続けながらJR東海の説明はいまだ十分とは言えません。しかし議論が一巡した現段階で論点を明確にするため、今月六日に水資源の確保及び水質の保全等に関する中間意見書を発出し誠意ある回答を求めたところであります。
この中間意見書に対しましてJR東海から回答がいただけるものと思いますけれども、その回答が対話に耐え得るだけの内容であるならば再度専門部会を開催し対話を続けてまいります。その際にはこれまでどおり専門部会は全て公開いたします。また議事録をホームページに掲載いたします。こうしたことを通して県の立場をしっかりと県民や関係自治体の皆様にお伝えしてまいります。国に対しましても専門部会を傍聴していただいているほか、必要に応じて職員が出向いて状況を御説明申し上げるなど引き続き情報共有を図ってまいります。
このリニア中央新幹線というのは、我が国の大都市圏間の高速かつ安定的な旅客輸送を実現し国民生活及び経済社会を支える大動脈であるとともに東海道新幹線との二重系化により大規模災害時における防災力の強化にも大きく寄与するものであると認識しております。
私自身は、小渕内閣の時代にリニア新幹線に試乗をいたしまして工事担当所長と親しく対話をいたしました。その際中国の首相朱鎔基さんが来日されて日中友好のためにこのリニア新幹線を中国に譲ってほしいと言われるという情報がございまして、それに対する強い懸念が所長から示されました。私はその懸念を当時経済企画庁長官でいらっしゃいました堺屋太一さんに直接お伝え申し上げ事なきに至ったという経緯もございます。この中央新幹線の重要性につきましては国土審議会の委員を四半世紀も務めた者としてその重要性を最も認識する一人であります。
ところで、この中央新幹線は全国新幹線鉄道整備法のもとに建設されることになっております。いわゆる全幹法であります。その全幹法の第一条には地域の振興に資することを目的とすると明確にうたわれているのであります。そのことを受けて一九七〇年代から先ほどの期成同盟会というものが結成されました。その期成同盟会には東京都、神奈川県、山梨県、長野県、岐阜県、愛知県、そしてまだ建設もされていない三重県、奈良県、大阪府も入っております。なぜならそれがルート上に当たるということで確実に地域振興に資するということになっているからであります。
本県は既にルート上にありますからこの中央新幹線建設促進期成同盟会に入るのは当然のことでありますがなぜ入っていなかったかというと、そのルートとして静岡県が入るとは当初誰も信じていなかったからであります。しかしながらもう既にルート上に入り一部工事にも入っておりますことから、当然これに入るべきであるということで申請をしたものであります。大井川利水関係協議会の皆様にも加盟申請について今説明をしているところであります。
最も重要な課題であるトンネル工事に伴う水資源や自然環境への悪影響を回避し利水者や地域住民の皆様の不安を解消するためにはJR東海からの中間意見書に対する納得できる回答が必要であり、またいかなる地域振興ができるかということについての明言も必要であると考えております。このためJR東海との信頼関係を築きながら御一緒に知恵を出し合い科学的根拠に基づいた対話を進めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 吉林副知事。
(副知事 吉林章仁君登壇)
○副知事(吉林章仁君) 地方創生の推進についてのうち、次期総合戦略についてお答えをいたします。
本県の美しいふじのくにまち・ひと・しごと創生総合戦略は県民の英知を結集したオール静岡の戦略であります。本年度が最終年度となっております。総括の仕方が新しい出発の仕方を決めるとの考えのもと県内各界、各層の御意見、御提言をいただきながらこれまでの取り組みを総括し、将来の人口の展望を示す長期人口ビジョンと次期総合戦略の策定に取り組んでまいります。
来る八月二十一日に開催いたします県民会議を初め、四つの圏域ごとの地域会議、九月県議会の全常任委員会におきまして、これまでの五年間の取り組みの成果や課題について御議論をいただきます。その結果を踏まえまして年内に次期総合戦略の素案を作成し県議会の各会派の皆様からの御提言も賜りながら、本県の魅力や特性を踏まえた真に実効性のある施策を盛り込み年度内に成案を得てまいりたいというふうに考えております。
また、八月四日には本県の将来を担う若者の皆様から施策提案をいただく会議を開催いたします。施策レビューに参画する大学生や社会人を中心に若い世代が望む未来の地域の姿などにつきまして自由闊達に御議論をいただき、従来の枠組みにとらわれない若者ならではの提案を次期総合戦略に反映してまいります。
人口減少は、我が国におきまして今後加速度的に進むことが確実であり本県も例外ではありません。社会が安定する静止人口の緩やかな実現を図るという視点で若い世代の結婚、出産の希望を実現する少子化対策や人の流れを呼び込むための魅力ある産業や雇用の場の創出、多彩なライフスタイルの提案などの施策を再構築し人口減少の急激な進行を可能な限り抑制する戦略を強力に推進してまいります。
あわせまして、AIを初めとする未来技術の積極的な活用による生産性の向上、地域課題解決の担い手となる関係人口の創出、女性や高齢者の活躍促進、多文化共生社会の実現など人口が減少しても快適で安全な社会の実現を目指すという視点で将来の人口減少社会に適応する戦略をより一層拡充し全県を挙げた取り組みを推進してまいります。
今後とも、本県が新しい国づくりの先導役を担うという強い気概を持って総合戦略をさらに進化させ、誰もが努力をすれば人生の夢を実現し幸せを実感できる地域を実現するため本県ならではの地方創生の実現に全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 宮尾交通基盤部長。
(交通基盤部長 宮尾総一郎君登壇)
○交通基盤部長(宮尾総一郎君) 知事の政治姿勢についてのうち、JR東海との連携についてお答えをいたします。
富士山静岡空港新幹線新駅実現に向けた取り組みについてでありますが、国の交通政策審議会中央新幹線小委員会の答申にもありますとおりリニア中央新幹線の開通後東海道新幹線のダイヤに余裕が生まれ新駅の設置は可能となりますことから、県といたしましては空港の利便性を大きく向上させる新駅が首都圏の空港機能を補完し訪日外国人の受け入れ拡大にも大きな役割を果たせるものと考えております。
これまで空港のほぼ直下に新駅を設置する上で必要となるトンネルの建設につきまして、県の有識者会議において技術的な検証を行い建設は可能であるとの結論を得ているところでございます。また新駅設置による現場におけます影響範囲を把握し道路のつけかえ等の対応につきましても検討を行ってまいりました。
今年度は、新駅設置による空港へのアクセス向上の効果及び周辺地域にもたらす効果を具体的に示すとともに中央新幹線開通後の列車運行のあり方につきましても県独自の検討を行い、新駅が持つさまざまな可能性を県民の皆様やJR東海に訴えていきたいと考えております。
県といたしましては、新駅設置の効果やJR東海の主張に対する対応策などを示すなど新駅の実現に向けた協議を始められるよう粘り強く取り組んでまいります。
次に、地方創生の推進についてのうち、今後の高速道路ネットワークの整備についてであります。
県内の高速道路や自動車専用の高規格の道路につきましては、東西軸である東名、新東名により企業立地や観光交流客数の増加など大きな効果があらわれており、今後伊豆縦貫、中部横断、三遠南信自動車道及び金谷御前崎連絡道路等の南北軸が完成しネットワークが構築された暁には、交流圏域が県内外に広がるとともに清水港や富士山静岡空港の優位性も飛躍的に高まることになります。このため国が整備を進める高速道路につきましては、関係する県や市町などと連携し事業中区間の建設推進を強く働きかけてまいります。
県が整備を進めます金谷御前崎連絡道路につきましては、集中的な投資が可能な個別補助事業に採択されておりまして、国道一号までの区間の早期開通を目指し必要な予算の確保に努めてまいります。また今年度内に予定されております重要物流道路の追加指定に関しましては、新たに事業中、計画中の路線が対象となりますことから、政令市とも連携をして県全域の高速道路や関連アクセス道路を含め重点整備に資するよう地域の物流等の状況を踏まえ国へ要望してまいります。
県といたしましては、本県の社会経済活動の発展を支え県民の皆様の安全・安心の確保にも不可欠な高速道路ネットワークの早期構築に向けて関係する皆様のお力添えをいただきながら引き続き全力で取り組んでまいります。
次に、社会インフラの長寿命化への取り組みについてであります。
本県の社会経済を支えてきた橋梁などの社会インフラの多くは、今後更新時期を迎えることとなりこれにかかる費用が増大してまいります。このため予防保全管理により長寿命化を図ることが必要不可欠となっております。
県では、昨年度までに橋梁やトンネルなど二十五種類の工種につきまして中長期管理計画を策定いたしました。この計画では維持管理水準や点検の内容、頻度等をそれぞれに定め補修と更新の最も効率的な時期及び費用を明らかにしたものでございます。本計画に基づいた管理を実施すれば今後三十年間に必要な維持管理、更新費用を三五%抑制することが可能であります。
またさらなるコスト縮減と労働時間の短縮を図るため、大学や民間企業と連携し三次元点群データを活用した管理手法の共同研究に今年度から着手をするなど維持管理の効率化にも取り組んでおります。
県といたしましては、中長期管理計画に基づいて社会インフラの長寿命化と更新のバランスを図りながらトータルコストを縮減するとともに、新しい知見を取り入れ必要に応じて計画を見直すことで県民の暮らしを支える社会インフラの機能維持に努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 鈴木くらし・環境部長。
(くらし・環境部長 鈴木 亨君登壇)
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) 地方創生の推進についてのうち、外国人との共生についてお答えいたします。
地域における共生についてでありますが、地域で理想の多文化共生社会を築いていくためには外国人と日本人双方が互いの文化的背景を理解し尊重することが重要であると考えております。このため県や市町におきまして外国人県民と日本人県民がお互いの文化をより理解するための国際交流員等による講座や交流事業を開催しております。また外国人県民が地域で生活する上で必要なごみの分別や自治会活動、県政に関する情報などを多言語で提供しているところであります。
相互理解を深めともに暮らしていくためには言葉が通じることが不可欠となります。県の調査によりますと、平易な言葉で文章を短くするなどわかりやすく配慮された易しい日本語であるならば六割を超える外国人県民が理解できることから、日本人が外国人に対し易しい日本語を使うことを一層普及してまいります。
さらに、外国人県民が生活に必要な日本語を身近な場所で習得できる環境を整備するため、今年度市町や事業所等の日本語教育の実施体制、取り組み状況を調査分析し有識者の御意見を伺いながら県内各地域での日本語教育を推進していくための方針を策定してまいります。
次に、空き家対策についてであります。
空き家の解消を進める上で所有者の特定が大変重要であることから、県では空き家対策の主体である市町職員を支援するため登記情報や課税情報の活用、所有者の所在や相続人を確認する方法などさまざまな手法をテキストにまとめるとともに研修を実施し相談に応じております。また特定空家の認定が進むよう国のガイドラインをもとに認定基準を策定し、市町職員を対象に実際の空き家を使用した演習を行っております。さらに認定後の助言指導から代執行までの手続が円滑に進むよう全国の事例を収集し情報提供しております。今後も引き続き市町を支援してまいります。
空き家の利活用につきましては、空き家バンクに登録しても売却に至らない物件などをモデルとして県、市町と民間関係団体で組織する協議会におきましてリフォームや用途変更の提案等を行う事業を今年度から始めるなど対策を進めてまいります。
県といたしましては、市町や民間と連携し専門的な知識や技術の共有を図りながら空き家の解消に向けた対策に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 木苗教育長。
(教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) 地方創生の推進についてのうち、外国人との共生についてお答えいたします。
教育環境の充実についてでありますが、県内に暮らす外国人の増加に伴い県教育事務所管内の公立小中学校では外国人を含む日本語の指導が必要な児童生徒数が五年間で約六割増加し本年度は二千人を超えております。県教育委員会ではきめ細かな指導や支援が行えるよう外国人児童生徒が多い学校に教員を加配しているほか、外国語が話せる相談員を学校に派遣し児童生徒の相談等に対応しております。また日本語指導コーディネーターが教員等に対して日本語による指導の方法や児童生徒に応じた特別の教育課程の編成について支援しております。
しかしながら、対応できる教員数が十分でなく約三割の児童生徒に対して特別の教育課程を実施することができておらず、日本語を習得していないため授業についていけないといった状況も見受けられております。市町からは増加する外国人児童生徒への指導を十分できずに苦慮しているとの声が聞かれております。
このため、今年度から日本語指導コーディネーターを増員しより多くの学校で特別の教育課程を編成できるよう取り組むとともに新たに発足した多文化共生推進本部のもとに教育プロジェクトチームを設置し、各市町の状況を踏まえより有効な支援を早急に実施できるよう検討しているところであります。
県教育委員会といたしましては、市町教育委員会等と連携して外国人児童生徒が県内いずれの学校に在籍しても県民として安心して学べる環境の整備に努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 佐地茂人君。
(四十八番 佐地茂人君登壇)
○四十八番(佐地茂人君) 御答弁をいただきありがとうございます。意見要望を申し上げ再質問を二点いたします。
まず、個別補助事業の獲得、物流拠点の二次指定等高規格関係の道路の整備に今後も重点的に力を入れていただきたいと思っております。あわせて周辺のネットワーク道路についてもよろしくお願いします。
また、教育関係の外国人児童生徒等の対応についてはより有効な支援を検討ということでございますので、今年度中にしっかりと審議をした上であわせて力強く支援をいただくようよろしくお願いします。
それでは再質問に入りますが、知事から答弁をいただきました内容についてリニア中央新幹線の今後の対応について。現在行っている環境対策については非常に評価しております。水は命、水は大切な資源であります。ぜひこれを環境部会で頑張ってほしいということとあわせて先ほど申し上げました地域振興に資するという部分については、地域振興対策または補償等について特に今月に入りまして各方面で知事の発言が頻繁にされております。国の調整も議題に上がっているところも新聞報道でもありましたが、この国の調整そして地域振興策については別の角度から進めていく必要があると思っておりますが、このようなことについてどのようにお考えかお答えください。
もう一点、新幹線の新駅についてでありますが、調査した後JRに報告をして話し合いをしていく必要があると思いますがこのような形で今度の調査報告の後どのように対応していくかお伺いします。
○議長(鈴木利幸君) 鈴木くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) リニア中央新幹線整備事業に関する現状と対応方針の再質問についてお答えいたします。
現在私どもくらし・環境部におきまして、国のアセス手続に基づきまして環境問題等の審議を続けております。県といたしましてはオール県庁それから関係団体等を巻き込みました中央新幹線対策本部というものを設けておりますので、またいろんな対応につきましてはそちらの対策本部を通じて検討、議論をしていきたいと考えております。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 宮尾交通基盤部長。
○交通基盤部長(宮尾総一郎君) 新幹線新駅にかかわりますJR東海との絡みでございますけれども、毎回我々調査した中の成果品というのはJR東海のほうにお送りしてございます。なかなかこれに対する反応はいただけていないところでございますけれども今回より具体的なですね、我々のほうで調査した結果を出しましてしっかりとそこら辺は引き続き丁寧に説明した上でまた御反応いただけるように我々も取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(鈴木利幸君) 佐地茂人君。
(四十八番 佐地茂人君登壇)
○四十八番(佐地茂人君) 御答弁いただきありがとうございます。
再々質問をさせていただきます。
リニア中央新幹線についてでありますが、今後の対応について先ほど御答弁をいただきましたが確認の上質問をさせていただきます。
国の仲介等またあわせて地域振興対策等はそちらのところで今後進めていくということでよろしいでしょうか。お答えください。
○議長(鈴木利幸君) 鈴木くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(鈴木 亨君) リニア中央新幹線の再々質問についてお答えいたします。
今現在は最優先課題として水資源に関する環境問題だということでそちらのほうが表立って進んでいるかと思います。今後リニア新幹線に関してさまざまな問題が出たときにはこの中央対策本部を中心としてですね、必要な対応を図ってまいりたいというふうに考えております。以上です。
○議長(鈴木利幸君) 佐地茂人君。
(四十八番 佐地茂人君登壇)
○四十八番(佐地茂人君) それでは次に入ります。
教育・人づくりの充実についてのうち、高等学校普通科における特色ある教育について質問します。
ことし一月政府の教育再生実行会議は生徒の能力や興味関心、進路などが多様化していることを踏まえ普通科のあり方を見直す旨の高校改革に向けた検討の中間報告をまとめました。その中で現在高校進学率は九八%を超えうち約七割の生徒が普通科に在籍しており普通科の画一的な学習内容が生徒の多様化に対応し切れておらず学習意欲にも悪影響を及ぼしているとし学習の方向性に応じた類型化などが必要としました。また五月にまとめた提言では大学入試改革の必要性も指摘し文理両方を学ぶ人材の育成が急務とし文系、理系に偏った試験からの脱却を目指すことをあわせて求めたのであります。
大学への進学に向けて進学校では二年のころから文系と理系に分かれてしまい受験のために理系教科を早々に諦める生徒が多いことが課題であり、文理融合的なカリキュラムの編成や授業改善が高等学校で求められております。本県においても二〇二一年度から導入予定の大学入学共通テストなど新たに高校と大学が一体となった高大接続改革に向けて対応することが急務であります。このような高校改革の動きがある中で本県もさらに県立高校の普通科の魅力化、特色化を図っていくことが重要であり、また特色ある教育を実現するには高い専門性を持った教員の育成も必要であります。
そこで県教育委員会では、今後高大接続改革や国の提言を受けて県立高等学校普通科の特色化についてどのように取り組んでいくのか伺います。
次に、県内大学再編への対応について質問します。
昨年六月二十八日に中央教育審議会大学分科会将来構想部会は今後の高等教育の将来像の提示に向けた中間まとめを取りまとめました。この中で公立大学における一法人複数大学制度の導入や国公私の枠を超えた連携を可能とする大学等連携推進法人制度の創設等を提案したのであります。十月二十四日には国立大学の一法人複数大学制度等に関する調査検討会議において静岡大学と浜松医科大学の統合案が示されました。両大学の作成資料によれば二〇二一年度に経営統合し静岡大学静岡キャンパスを中心とする静岡大学と静岡大学浜松キャンパスと浜松医科大学を中心とした新大学を設置するとのこと。また二〇二三年度には地域の公私立大学の参画も得て文部大臣が認定する大学等連携推進法人の設立を目指すというものであります。これが実現すれば県立大学薬学部と静大の理学部が連携し非常によい効果が期待されそうです。また文化芸術大学の学生が浜松の新大学の講義を受けることも期待できそうであります。
しかしながら、今以上に理系大学が西部地区に偏るなど大学の地域のバランスが崩れることも懸念されるのではないでしょうか。また県全体を考えれば東・中・西のバランスはどうなるのでありましょうか。こうしたことも踏まえ今後の県内大学のあり方については関係者が十分に議論を重ね方向性を共有することが重要ではないでしょうか。
そこで、静岡大学と浜松医科大学の再編に対し県はどのように考えるのか、また今後県立大学を含む県内大学の魅力向上にどのように取り組んでいくのか伺います。
次に、経済成長の加速と産業人材の確保についてのうち、ICT人材の確保、育成について質問します。
「IoTでつながったセンサーで集められたデータが大量に蓄積されビッグデータとなり人工知能が解析し新たな知恵が生まれる。この先には無限に広がる世界があらわれます」、「四度目の産業革命がもたらす五つ目の社会。Society五・〇です」、「人口が減ってもイノベーションによって成長できるのだという第一号の証拠になることを日本は目指しています」これは安倍総理の言葉であります。国が二〇一八年に策定した統合イノベーション戦略では二〇二〇年に先端IT人材が約五万人、IT人材が約三十万人不足するとされており、短期間での大量確保が必須であります。
このような状況の中、本県ではことし二月にふじのくにICT人材確保・育成戦略を策定しました。急成長している新ビジネスや新たな価値を加えるサービスはICTの活用が鍵を握りますが地方ではICTを担う人材が質量とも不足しており、これを解消するために立ち上げた戦略であります。ICT技術を生かした本県産業の明るい未来のために人材の確保と育成は両輪で行っていくことが肝であり、この第一弾がまさに始まろうとしております。
七月二十四、二十五日にグランシップでICTベンチャー企業等のスタートアップ企業と本県の産業関連事業者とのビジネスマッチングが行われるのであります。県はICT人材の確保・育成戦略において育成する人材をトップレベル人材、各産業の中核的人材、全てのビジネスパーソン、次世代人材の四つの階層に分けて戦略を進めているとのことであります。
そこで、この四つの階層ごとにどのように取り組みを進めていくのか、またこの取り組みを生かして本県産業をどのような姿にしていくのか伺います。
次に、次世代産業の誘致、育成について質問します。
人口減少、産業構造の変化、ICTと人工知能による第四次産業革命という現代社会の中でものづくり県静岡の特徴を生かした進むべき方向性を考えますと、労働力不足に対応し地域の特性を生かして製造業中心の産業にICTやAIをシステマチックに融合させたこれからの需要に合ったいわゆるイノベーションと技術革新による次世代産業の創出への取り組みが重要であります。先ほど知事の答弁にもありました。そして誘致と育成の両輪で行っていくことが成功の鍵であると確信しております。
本県では東部地域でファルマバレープロジェクト、中部地域ではフーズ・サイエンスヒルズプロジェクト、西部地域では光・電子技術関連産業の集積、さらにはAOIプロジェクトがAOI-PARCを拠点として推進されております。また先月二十四日にはふじのくにCNF研究開発センターが開所し、浜松地域イノベーション推進機構の次世代自動車センターが浜松工業技術支援センター等と連携して企業が協力して基盤技術を開発する協調領域への取り組みを促進しております。加えて西部地域を中心に航空宇宙産業への参入支援にも取り組んでおるとお聞きしております。
さらに、駿河湾等の特徴ある環境やそこに生息する多様な海洋生物など魅力ある海洋資源を活用しマリンバイオテクノロジーを核としたイノベーションを推進するためのプロジェクト中核拠点  MaOI-PARCの設置が予定されているのであります。
このように、自動車、航空宇宙、医療健康、ロボット、光、CNF、バイオを活用した食品や医薬品、新エネと環境などの成長産業分野において、県内各地域の拠点をフル活動してイノベーションを興し地元企業を支援し次世代産業につなげる取り組みに期待しております。
一方、拠点から情報を発信し県内外にアピールして県内へ最先端の企業を誘致することも大切であります。それぞれの分野で拠点を設けて企業の参入支援や産学官の連携による支援に取り組んでいると思いますが、こうした拠点や仕組みを活用して産業の創出、集積を進めるとともに企業の誘致や新たな立地に結びつけることでさらなる集積につながる好循環をつくり産業を育成することが重要と考えますが、そこでこのような次世代産業の振興についてどのように進めていくのか伺います。
次に、豚コレラ対策について質問します。
本県では対策を適切に行い現在のところ県内での豚コレラ発生は確認されておりません。しかしながら近隣県で継続して発生している豚コレラがいつ本県に感染拡大するのか養豚農家の不安払拭のため県の強い感染拡大防止対策を求めるものであります。
我が会派では二月六日に県内での豚コレラ対策の徹底を県へ要請し、五月二十八日には豚コレラ対策に関する緊急要請と題し感染拡大防止対策の強化、経営継続支援、風評被害防止、水際対策強化の四項目について県へ申し入れを行ったところであります。豚コレラ根絶にはコントロールできる豚の殺処分と消毒や移動制限による広げない対策、コントロールできない野生イノシシの行動や感染状況の確認、養豚場等に入れさせない強い防護柵による予防が重要であります。また被害を受けた養豚農家への経営再建補償は損失の証明に時間がかかり発生農家への手当金が手元に届くまで数カ月かかるため、経営維持には人件費や餌代のためのつなぎ融資とそのための利子補給制度が必要であります。加えて風評被害防止対策に取り組むとともに今後の感染拡大防止に向け訪日外国人への注意喚起や空港、海港への検疫体制の強化といった水際対策が求められます。
一方、感染拡大に歯どめがきかないのであれば清浄国を一時取りやめてでも国による早期の緊急ワクチン接種の判断が求められます。豚コレラはアジア中心の家畜伝染病でありますが、死亡率一〇〇%とも言われるアフリカ豚コレラが昨年八月の中国に続き先月北朝鮮でも発生が確認され韓国は非常事態となっております。アフリカ豚コレラは現在有効なワクチンがなく日本での発生は避けなければなりません。
以上のことを踏まえて、今後の豚コレラ対策に本県はどのように取り組んでいくのか伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(鈴木利幸君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 経済成長の加速と産業人材の確保についてのうち、豚コレラ対策についてお答えいたします。
豚コレラは平成三十年九月に岐阜県の養豚場で発生して以来岐阜県や愛知県での感染拡大に歯どめがかかっておりません。万が一県内で発生した場合、養豚農家などに甚大な被害が及びますので本県への感染拡大は全力で阻止しなければならないと考えております。
このような中、県では生産者団体また貴会派を初め県議会各会派から緊急要請を受けました。時を置かず緊急対策を六月三日に取りまとめました。感染拡大予防対策、検査体制の強化、農家の経営支援などを盛り込んでおります。これらの対策は既定予算を活用して直ちに着手するとともに長期にわたる対策につきましては本議会で補正予算としてお諮りしているところでございます。
具体的には、まずは県内への感染拡大を防ぐため本年二月に愛知県境の湖西市に設置した消毒ポイントの継続に加え、六月から家畜保健衛生所の職員が県内全ての養豚農場を訪問し消毒方法の徹底を図っております。また野生イノシシ対策として養豚農場への侵入防止柵の設置に対する補助制度を新設するとともに、感染リスク低減のために愛知県境の野生イノシシの捕獲強化と捕獲した野生イノシシのウイルス検査を実施することとしました。豚へのワクチン使用につきましては生産者団体からの御要請を受けまして国に対しワクチン接種を適時的確に判断するように申し入れを行っているところであります。
加えて養豚農家の経営支援策といたしまして、万が一県内で豚コレラが発生した場合に備え国からの手当金が支給されるまでのつなぎ資金また経営再建に必要な融資に関する利子補給金制度を創設することといたしました。このほか風評被害の防止につきましてはこれまでも豚肉の安全性を県民だよりや県ホームページを通じて丁寧な情報提供に努めてまいりましたけれども、引き続き関係団体と連携し時期を失することなく正確な情報発信を行ってまいります。
現在中国などで猛威を振るっているアフリカ豚コレラにつきましては、その侵入を防ぐため畜産物の違法持ち込み防止に関する中国語のリーフレットを作成し県の中国駐在員事務所を通じ訪日客に発信しております。加えて富士山静岡空港を利用している旅行会社を通じて搭乗者への周知も行っております。また本県が強く要望いたしまして、その結果富士山静岡空港に初めて検疫探知犬が六月二十一日に配備されました。オスのビーグル犬ソラ君です。今後国の動物検疫所と協力して県内へのアフリカ豚コレラ等の侵入を防ぐため水際での対策を強化してまいります。
県としましては、国、市町、JA等の関係団体と連携して今回の緊急対策を迅速かつ着実に実施し豚コレラの感染拡大防止に取り組み、県内養豚農家の不安の払拭に向けて全力で取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 教育・人づくりの充実についてのうち、高等学校普通科における特色ある教育についてお答えいたします。
少子高齢化やグローバル化、AI、IoT技術の急激な進展など社会が大きく変化する中にあってもみずから道を開く人材を育成するためには、議員御指摘のとおり高校生の約七割が在籍する普通科において特色ある教育を実践していくことが極めて重要であると認識しております。
県教育委員会では、昨年三月に策定したふじのくに魅力ある学校づくり推進計画におきまして普通科においては高大接続改革を見据えて生徒の実態に応じた特色化を進めることとしております。既に体育・芸術コースやビジネス類型など特色あるコース、類型を設置している学校があるほか昨年度からは普通科三十三校をコアスクールに指定し地元自治体と企業を巻き込んだICT教育や海外の高校生とのオンライン交流等を取り入れた英語教育など魅力ある学校づくりを推進しております。
新たな取り組みとしては、三島北高校におきまして大学、企業、国際機関等と協働し高校生国際会議を開催するほか熱海高校などでは自治体、大学、産業界等と協働し地域課題の解決に向けて取り組む事業を実施することとしております。これらはいずれも教育再生実行会議の中間報告で示された新時代に対応した高等学校改革につながるものと考えております。
今後は、こうした取り組みを積極的に進め学校運営に外部の方々の御意見を取り入れるコミュニティスクールを導入し各学校の特色を鮮明に打ち出すとともに、広い視野と高い専門性を備えた教職員を育成するため海外研修や大学院、民間企業等への派遣を推進してまいります。
県教育委員会といたしましては、生徒数が減少する中でも切磋琢磨できる環境を整え社会の中で自立し他者と連携協働しながら生き抜く力が育まれるよう県立高校の普通科の魅力化と特色化を図ってまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 植田文化・観光部長。
○文化・観光部長(植田基靖君) 教育・人づくりの充実についてのうち、県内大学再編への対応についてお答えいたします。
人口減少や科学技術の進展により、高等教育機関には社会の変化に対応できる人材を育成し産業や地域の活性化に一層貢献していくことが求められております。
こうした中、静岡大学と浜松医科大学は本年三月運営法人を新設し大学を再編することで合意いたしました。両大学は専門委員会を設置し静岡地区及び浜松地区における大学の将来像、振興策について検討することとしております。両大学には十分に議論を重ね関係者や地域の懸念などに丁寧に対応するとともに、行政や企業等との連携を強化し地域活性化の中核を担う大学となることを期待しております。
また、県内大学の魅力向上につきましては、平成二十六年三月にふじのくに地域・大学コンソーシアムを設立し本県の自然、環境、文化、産業を学ぶふじのくに学を初め県内の各大学が持つ特色を生かした単位互換授業や共同研究を行うなど国公私立の大学の枠を超え県全域にわたる大学間連携の推進にいち早く取り組んでまいりました。
さらに、中部地域では静岡県立大学や常葉大学などが連携し地元企業でのインターンシップや共同公開講座に取り組んでおります。加えて東部地域では昨年十二月に静岡県立大学、静岡文化芸術大学、静岡大学が賀茂地域一市五町と連携協定を締結し伊豆地域でのフィールドワークを展開するなど地域と連携した取り組みを進めております。
県といたしましては、引き続き二つの県立大学の魅力ある大学づくりを支援していくとともに大学コンソーシアムの機能強化を図り県全体での教育、研究、地域貢献などの取り組みを推進することで県内大学の魅力向上に取り組んでまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 天野経済産業部長。
○経済産業部長(天野朗彦君) 経済成長の加速と産業人材の確保についてのうち、ICT人材の確保、育成についてお答えをいたします。
本県の経済発展を支える上で重要な役割を担うAI、ICT人材の圧倒的な不足に対応するため、県では昨年度ふじのくにICT人材確保・育成戦略を策定し求められる人材の階層をトップレベル人材、各産業の中核的人材、全てのビジネスパーソン、次世代人材の四つに区分し階層ごとに人材の確保・育成施策をきめ細かく展開しているところであります。
トップレベル人材につきましては、その多くが首都圏等で活躍していることからこうした人材を県内に呼び込むため首都圏のICTベンチャーと県内企業との提携を促す商談会を七月二十四、二十五日にグランシップにおいて開催をいたします。既に四十社を超えるベンチャー企業が参加を表明しており、この商談会を契機に県内企業がAIやICTによる業務上の課題解決や新ビジネスの展開につながるよう双方の橋渡しを事前事後を含めて丁寧に支援をしてまいります。
各産業の中核的人材につきましては、静岡大学や県立大学などと連携しデータサイエンス基礎講座などを開催するほか、この秋に工業技術研究所に開設するIoT導入支援拠点におきまして現場実習の場を設けて支援を強化してまいります。
また全てのビジネスパーソン向けには、ICTリテラシーの獲得を目的とした活用セミナー等を開催するほか、次世代人材につきましては農業高校におけるAI学習システムの導入や小中学生向けのプログラミング体験講座の開催などに取り組んでまいります。
県といたしましては、大学、産業界、教育界等と連携して著しい技術革新の波に対応できるICT人材の確保・育成を進め、先端技術の導入による生産性の向上やビッグデータの解析に基づく新たなビジネスの創出などにつなげていくことで本県産業の競争力強化と産業基盤の一層の高度化に取り組んでまいります。
次に、次世代産業の誘致、育成についてであります。
百年に一度と言われる産業構造の大変革に直面する中、本県経済が持続的に発展していくためには医薬品や医療機器、光・電子といった次世代産業の誘致、育成を積極的に進めていくことが重要であります。
これまで、県ではファルマバレープロジェクトを初めとする各種プロジェクトを立ち上げ、それぞれの中核支援機関を中心に地域企業の研究開発や事業化などへの支援を通じまして成長分野に挑戦する企業の育成に注力してまいりました。その結果、例えばファルマバレープロジェクトでは産学官の連携のもと障壁となる薬事法に基づく規制の克服に向けた徹底した伴走型支援が奏功いたしましてこれまでに約五十の中小企業が新たに医療、健康分野に参入しております。
また、自動車のエンジン部品などを製造する中小企業はEV化の影響をより大きく受けると言われておりますが、その有する高度な精密加工技術は医療機器やロボットなどの成長分野への挑戦が期待できる領域と言えます。このため県では、各拠点の支援機関のトップ会合やコーディネーターの情報共有の場をつくり拠点相互の連携による企業の新たなイノベーションへの挑戦を重層的に支援しているところであります。
こうした各拠点のプラットホームが相互に連携する仕組みが本県独自の次世代産業の創出、集積プロジェクトの強みとも言えます。技術力のある多彩な産業の集積は本県への進出を計画する先端企業にとってその生産活動を力強く補完するものとして重要視されております。
県といたしましては、こうした本県の強みを積極的に国内外に情報発信するとともに、成長分野の企業立地に対するインセンティブの付与や企業が連携して技術開発に取り組む協調領域への助成制度などにより新たな企業の誘致を促し、さらなる産業の集積・創出につながる好循環を形成してまいります。次世代を担う成長産業の誘致と育成施策を一体的に進めることで、相乗効果と本県への魅力を一層高め我が国のものづくりを牽引する強固な産業基盤の構築に努めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 佐地茂人君。
(四十八番 佐地茂人君登壇)
○四十八番(佐地茂人君) 御答弁いただきありがとうございました。二点再質問させていただきます。
豚コレラについてお伺いします。
清浄国をやめてでも一部ワクチンの投与を県内の養豚農家の方々は一時望んでいたということがありましたが、こちらについてはどのようにお考えかお答えください。
二点目、大学の対応についてでありますが、浜松の新大学名また一法人の所在地等大学のほうが検討されることになるとは思いますが県としてはどのような情報を持っているのか。また大学等連携推進法人の設立についてはどのようにお考えなのか再度再質問をさせていただきます。
○議長(鈴木利幸君) 志村農林水産担当部長。
○農林水産担当部長(志村信明君) 豚コレラに関する再質問についてお答えいたします。
豚コレラのワクチンの接種についてでございます。
ワクチンの接種の判断につきましてはこれは国が判断することとなっておりまして、国につきましては屠殺あるいは周辺農場の移動制限のみによって感染拡大の防止が困難とそういうふうに判断される場合にこのワクチンを接種するということで判断しております。
県といたしましては、農家等皆さんからの要望を受けましてこの感染の拡大状況を考慮して豚へのワクチン接種を適時的確に判断するよう国に申し入れているところでございます。以上でございます。
○議長(鈴木利幸君) 植田文化・観光部長。
○文化・観光部長(植田基靖君) 県内大学再編への対応についての再質問にお答えいたします。
まず最新の情報なんですけれども、この二つの大学の再編についてまずは専門委員会を開催してかなりコミュニケーションをとって進めるということでした。大学については西部地域と静岡地域に設置するということでございました。今後については、また各両大学と連絡をとり合いながら情報収集に努めてまいりたいと思います。
もう一点、大学等連携推進法人についてでございますが、これは国が今後、ただ細かいことについては国のほうからは聞いておりませんけれども、複数の大学が連携して共同授業とか単位互換とか共同研究に取り組むということでございます。本県については平成二十六年に地域大学コンソーシアムが設立されておりましてもう公益社団法人化もされております。こちらのほうがこういった大学等連携推進法人になるのかもしれません。
そういったことで、ぜひとも今後我々としてはこの大学コンソーシアムの機能強化を図ってまいりたいと思っております。以上でございます。
○議長(鈴木利幸君) 佐地茂人君。
(四十八番 佐地茂人君登壇)
○四十八番(佐地茂人君) 御答弁いただきありがとうございました。
次に、安心・安全な暮らしの実現についてのうち、子供の安全確保について質問します。
大津市の県道交差点での事故や川崎市多摩区の路上での事件でとうとい命が失われたことは強い憤りを感じており、被害に遭われた方々には慎んでお悔やみ申し上げます。
県内では昨年六月藤枝市で児童が切りつけられる事件が、またことし五月には刃物を持った不審な男が御前崎市で頻繁に目撃されるなど子供の安全をいかに守るかが地域の重大な課題になっているのであります。
国では、昨年五月に新潟市において下校中の児童が殺害される痛ましい事件をきっかけに、登下校中における児童生徒等の安全確保を確実に図るため防犯の観点による通学の緊急合同点検を実施する旨の登下校防犯プランが取りまとめられ都道府県、指定都市教育委員会等に対し通学路の安全点検及び安全対策を実施するよう依頼がされました。本県でも行っているのではないかと思います。
我が会派では、去る五月二十九日登下校中における子供の安全確保対策を一層強化するよう地域の連携強化、通学路の安全対策、自動車の安全運転の確保、子供が危険回避するための対策の四項目の緊急要請を知事に伝えたところであります。
そこで、本県は我が会派の緊急要請を踏まえ登下校時の子供の安全確保にどのように取り組んでいくのか伺います。
次に、高齢者の安全運転の確保について質問します。
ことしの四月十九日には池袋で、また今月四日には福岡市で高齢者の運転による乗用車による事故が報道されました。生活を自動車に頼らざるを得ない地方の高齢者の方々の御事情は十分に理解しております。御自分の認知機能の低下、運動能力や反射神経の低下を感じながら家族に心配され、いつ運転免許を返納しタクシー等を利用するという選択肢を選ぶか、タイミングやきっかけはやはり免許の更新時ではないでしょうか。私は免許を更新するか返納するかのタイミングの相談窓口の強化充実と、免許を有する高齢者の方への機能低下の自覚や運動能力の維持指導に免許センターが力を入れていくべきではないかと考えます。
アクセルとブレーキの踏み間違いはひねり動作時に起きること、特に高齢者は股関節がかたくなり足元の感覚が鈍くなりブレーキのつもりでアクセルを踏んでしまうことがあり、また踏み間違いに気づくのにも時間がかかることがあります。この踏み間違いを防ぐための指導や適正な乗車姿勢等について、作業療法士等の専門家を活用して免許更新前の相談時や更新後の運動能力維持と認知機能低下に関する自覚指導などを行うことにより高齢ドライバーの安全運転向上に努めてはどうでしょうか。
そこで、今後の高齢者の安全運転の確保について免許更新時においてはどのように取り組んでいくのか。また免許更新前後の専門家を活用した取り組みについてはどのように考えますか伺います。
次に、児童虐待防止対策について質問します。
多くの悲惨な事故が起こっております。新聞報道で御承知のとおりでございます。
現在児童相談所における児童虐待の相談対応件数は全国で二〇〇〇年度に一万七千七百二十五件、二〇一七年度には十三万三千七百七十八件と七・五倍となり、静岡県では二〇〇〇年度に四百四十四件、二〇一七年度は前年度より減少しましたが二千三百六十八件と二〇〇〇年度の五・三倍となっており、そのうち五百五十三件が一時保護を要しました。こうした中、去る六月十九日には国会において児童虐待の防止強化に向けた改正児童虐待対策関連法が可決成立したところであります。
児童虐待防止対策は児童相談所の体制強化が最も重要であり、早期発見、早期対応には県、市町、出先機関、警察、教育、保育所、幼稚園、こども園も含めて、そして地域、家庭の社会全体の体制を構築し情報共有をすることが大切であります。また時には親の意思に反してでも子供を守り保護することが必要で、そのために職員の専門性の向上も体制強化に合わせて重要となります。さらに保護者への体罰禁止を徹底することや赤ちゃんへの接し方を学ぶ家庭教育が重要であり、また保護者への再発防止プログラムを強力に推進する児相の取り組みも重要であります。
そこで、本県の児童虐待防止対策についてさらに強化し推進していく必要があると考えますが、県はどのように取り組んでいくのか。また親への体罰禁止の教育など家庭と保護者の教育について県は対策を推進するためにどのように取り組んでいくのか伺います。
次に、本県の魅力を生かした観光・交流の促進についてのうち、ラグビーワールドカップ二〇一九開催に向けた万全の準備について質問します。
大会開催百日前記念イベントが葵スクエア、青葉シンボルロードなどで行われ、いよいよ開催まで本日で八十八日と迫ってきました。準備は万全であるのか気になるところであります。「四年に一度じゃない。一生に一度だ。」という大会公式キャッチコピーどおり、私たち日本人と世界の人々が感動で思い出に残る大会を期待しているところであります。そして選手を含めた全ての人に静岡での開催により静岡県の地域を胸に刻んでほしいと願ってやみません。そのためにはエコパ周辺おもてなしエリアや静岡市、浜松市でのファンゾーンは盛大ににぎわってほしいと思います。またキャンプ地での選手との交流があったら子供たちは喜ぶだろうと夢は膨らみます。
大会成功に向け準備を万全にする必要がありますが、まず重要なのは交通輸送対策であります。昨年の十一月大分スポーツ公園総合競技場でサッカーの日本代表対ベネズエラ代表戦が行われた際、選手を乗せたバスが会場周辺の交通渋滞に巻き込まれ試合開始三十分前ぎりぎりの到着となる事態が生じました。またエコパについては二〇一五年に行われましたももいろクローバーZのコンサートでJR愛野駅が大混雑し帰宅難民が発生しかけたことがあり、交通輸送には厳重な対策が求められるのであります。
会場の警備面ではエコパは全国開催十二スタジアムの中、二番目の五万人もの観客収容数を持つ巨大なスタジアムであり雑踏事故などが起きないか心配でもあります。
また、ボランティアに関しましてはさまざまな内容のボランティアが予定されており、その内容によってスキルの習得も重要ではないでしょうか。
間近に迫ったラグビーワールドカップ二〇一九の開催に向けて、スタジアム等の施設整備、交通輸送、警備、ファンゾーン、ボランティアなどさまざまな観点から着実に準備を進める必要があると考えます。また大会成功のためには本番の会場が観客で埋め尽くされることが必要であり報道機関などとの連携も重要となります。大会を確実に成功に導くよう準備に万全を期す必要があると思いますが今後県はどのように取り組んでいくのか伺います。以上、答弁を求めます。
○議長(鈴木利幸君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 安全・安心な暮らしの実現についてのうち、子供の安全確保についてお答えいたします。
先月の大津市における保育園児の交通死亡事故、川崎市における小学生殺傷事件などを受けまして子供の安全確保に向けてオール静岡で取り組むことといたしました。まずは県、県教育委員会、警察で構成する静岡県子どもの安全確保緊急対策会議を五月三十日に立ち上げました。この会議におきまして三つの指示事項を出しました。
まず第一に同様の事件が県内でも起こり得るという危機意識を共有すべし。第二にこれまでよりも広い視野で考えるべし。第三にスピード感を持って取り組むべしというものでございます。
そして、六月十一日にはできることから取り組む三十一の対策を内容とする県庁版の静岡県子どもの安全確保緊急対策アクションを取りまとめたところであります。本アクションは対策の第一歩となるもので防犯対策と交通安全対策の二本柱で構成しております。貴会派の緊急要請を踏まえまして警察、自治体、防犯ボランティア団体の協働による見守りの活動の強化、可搬式街頭防犯カメラの増設、小学校における子供の体験型防犯講座「あぶトレ!」の拡充、さらに通学路、通園路等のきめ細かな安全対策などを盛り込みまして必要となる経費を補正予算案に計上いたしました。
このアクションを取りまとめたのは六月十一日でありますけれども、この日は前からしずおか防犯まちづくり県民会議の開催が決まっておりました。この会議に間に合わせるべく猛スピードで取りまとめたものであります。この県民会議は地域や事業者の団体及び行政機関等で構成されておりましてそれぞれのお立場で考えられる対策、速やかな実施を呼びかけたところであります。
また新たに県で取り組むべき対策、県、市町と民間との協働による対策等の提案を御依頼申し上げたわけであります。
県としましては、社会の宝である子供のかけがえのない命を守るということを大目的といたしまして静岡県子どもの安全確保緊急対策アクションを迅速に実施してまいります。あわせて民間や市町の皆様からの御提案をもとに御一緒に対策を検討いたします。そしてそれぞれが独自に実施する対策、県や市町と民間との協働による対策など充実させて子供の安全確保の緊急対策にオール静岡、ワン・フォー・オール・チルドレン、オール・フォー・エブリー・チャイルドというオール静岡で取り組んでまいります。
次に、本県の魅力を生かした観光・交流の促進についてであります。
ラグビーワールドカップ二〇一九開催に向けた万全の準備についてでありますが開幕まで九十日、八十八日となりまして大会の運営準備もいよいよ総仕上げの段階に入っております。
県としましては、これまでエコパスタジアムで開催した各種大規模イベントでの経験や課題を踏まえまして観戦客の皆様が熱戦の興奮と感動を心ゆくまで堪能していただけますように交通輸送や警備、案内誘導などの観戦の前提となる安全・安心や快適性の確保に万全を期しているところであります。
エコパスタジアムにつきましては、大型ビジョン、照明設備等の大型設備の更新並びに改修を昨年度末までに終了いたしました。今年度は臨時的に使用する記者席の改修やピッチ周辺の人工芝の敷設、仮設トイレの設置等を行いまして大会までに必要な整備を全て完了する予定であります。
交通輸送につきましては、警察、地元バス会社、JR東海等との協議を進めましてシャトルバスの運行、パークアンドバスライドの実施、JR東海道線の増便等々さまざまな交通手段への綿密な対策を講じることにより観客の皆様の安全かつ円滑な輸送を図ってまいります。また警備につきましては議員御指摘のとおりでございまして雑踏事故を初め災害やテロなどの危機事案もございますので、これらの対応も含めて重大な影響を及ぼすおそれのある緊急事態に対しまして拡大防止と早期収束に向けた万全の対策を講じてまいります。
ファンゾーン及びエコパ周辺おもてなしエリアにつきましては、地域の関係者等との連携により本県の持つ文化、芸術、産業、豊かな食材等々多彩な魅力を発信し最高のおもてなしを図ります。ボランティアにつきましても今後の活動別また会場別の研修等を通じて必要なスキルを御習得いただきまして、ともに大会を支える仲間として活躍していただきます。
また、報道機関との連携につきましては大会を心待ちにする県民の皆様に対しましてチケット販売状況、交通アクセス、ファンゾーン等の詳細情報を少しでも早くお伝えするために県から積極的に情報提供する等大会の成功に向けて新聞、テレビ、ラジオ等の各種メディアとの緊密な連携を図ってまいります。
今後とも、ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンのラグビー精神で結束してラグビーの世界最高峰の祭典を確実に成功に導くとともにラグビー文化をレガシーとして後世に継承する取り組みをも進めることで世界から注目される美しいふじのくにとしての存在感の一層の向上を図ってまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 小嶋警察本部長。
○警察本部長(小嶋典明君) 安全・安心な暮らしの実現についてのうち、高齢者の安全運転の確保についてお答えします。
道路交通法の規定により、七十歳以上の方につきましては高齢者講習を行うほか視力、聴力の適性検査、手足などの運動能力を確認するなどして運転免許の更新の可否を厳正に判断しております。
このような中、身体機能の低下が見られる方などにつきましてはふなれな道路や長時間の運転を避けること、夜間や悪天候のときには可能な限り運転を控えることなど高齢者の特性を踏まえた指導や助言を行うとともに最近の事故事例を参考にし運転免許証の返納についても教示しております。また県警察では平成三十年五月から看護師一人を非常勤職員として運転免許課に配置し、認知機能の低下が見られる高齢者に対して免許更新の前後を問わず看護師の立場から医療知識に基づく病状判断や説明を行い、医療機関への受診や運転免許証の自主返納の勧奨などに取り組んでおります。
県警察では、高齢者の特性や高齢者事故の発生要因、高齢者の運転免許人口の推移を勘案しつつ、看護師を活用した効果や他県における作業療法士の活用効果などを踏まえて高齢者の安全運転を確保するための取り組みをさらに推進してまいりたいと考えております。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) 池田健康福祉部長。
○健康福祉部長(池田和久君) 安全・安心な暮らしの実現についてのうち、児童虐待防止対策についてお答えいたします。
児童虐待は児童の心身の成長及び人格の形成に重大な影響を及ぼす行為であり極めて重要な課題でありますことから、児童虐待の予防、発生時の迅速で的確な対応、被措置児童の自立支援まで切れ目のない支援を一層強化することとしております。
県では、児童福祉司を平成二十九年度から今年度までの三年間で計十四名増員しており今後も計画的に児童相談所の体制の強化を図ってまいります。あわせて児童相談所の職員は高度な専門的知識や技術が必要でありますことから、面接手法を学ぶ実践研修など独自の研修体系を設け専門性の向上に努めるとともに各児童相談所において困難事例や検証結果の共有と蓄積を図り組織としての対応力を高めております。
また、虐待予防として本年度は思いがけない妊娠が虐待につながらないよう妊娠SOS相談窓口での相談に加え保健師が医療機関の受診に同行するなど不安や悩みを解消するための支援に向けて準備を進めております。
子供への体罰禁止の教育等につきましては親の理解が重要でありますことから、乳幼児健診等の機会を活用し虐待や体罰とされる行動事例や子供に与える影響について丁寧に説明するなど市町と連携し効果的な啓発に取り組んでまいります。さらに虐待や体罰をしてしまったことがある保護者に対しましては親の自覚や子供への適切なかかわりを促す再発防止のプログラムを活用し望ましい親子関係の構築に向けた支援を行うこととしております。
県といたしましては、今後とも社会総がかりで児童虐待の根絶に全力で取り組み、未来を担う全ての子供たちの命が守られ全ての子供が大切にされるふじのくにづくりを進めてまいります。以上であります。
○議長(鈴木利幸君) これで佐地茂人君の質問は終わりました。(拍手)
議事の都合により休憩します。