平成31年2月静岡県議会定例会

2019年2月22日

質問内容

質問者: 佐地 茂人 議員
質問分類 一般質問
質問日: 2019/02/22
会派名: 自民改革会議

○副議長(落合愼悟君) ただいまから会議を開きます。
議事日程により、知事提出議案第一号から第百三号までを一括して議題といたします。
質疑及び一般質問を行います。
通告により十二番 佐地茂人君。
(十二番 佐地茂人君登壇 拍手)
○十二番(佐地茂人君) おはようございます。
それでは、通告に従いまして自民改革会議の一員として知事、副知事、関係部局長、教育長及び教育部長並びに警察本部長に対し質問をいたします。
今回は、大きく七点の質問を分割方式で質問させていただきます。
初めに、子供のスマートフォン使用について質問します。
子供にどの時期からスマホを持たせるのか、親として大きな決断であり悩みの種であります。内閣府が平成二十九年度に行った調査では青少年のスマホ利用率は高校生が九五・九%、中学生は五八・一%で携帯電話と合わせると六六・七%、三人に二人が所有していることになります。小学生ではスマホが二九・四%、携帯と合計で五五・五%であります。
産業界は、こぞってスマホを使ったアプリ等サービス展開に強く傾斜し、政府は国民スマホ総所有を見越してスマホを活用したキャッシュレスを試案中であります。何かしっくりこないのは私だけでありましょうか。特に発達期の子供たちに与えるスマホの影響を考えると学力の低下、不規則な生活や依存症など多くの負の出来事が心配されます。
東北大学の川島隆太氏の著書によると、スマホ、携帯端末を使う時間が長い生徒たちの成績が悪いという事実、ただし使用時間一時間未満の生徒に限ってはスマホ等を全く使用しない生徒より成績がよいこと、LINE等の使用時間が長ければ長いほど試験の成績は低くなるというものでありました。
さらに、スマホのヘビーユーザーは認知制御にかかわる前頭前野の発達、脳の発達に悪影響を及ぼす可能性があると述べられております。小中学校というさまざまな知識を取り入れていく学習段階においてはスマホ等の使用による学習障害や脳発達にも悪影響が生じる可能性があるのであれば、この時期の学習到達が将来の進学や職業選択の可能性を大きく左右することに鑑み、行政から積極的な情報を保護者や子供たちに伝える必要があると思うのです。
そこでお伺いします。発達期の中学生や小学生がスマホ等を使用するために起こる悪影響等について県としてどのように把握し、それを行政関係者だけではなく保護者や子供たちにどのように伝えていきますか、お答えください。
本県の青少年のための良好な環境整備に関する条例では、監護する青少年にフィルタリング有効化措置を講じた上でスマホ等を使用させることとしており、保護者と事業者へ義務を課しております。一方、石川県が二〇〇九年に定めたいしかわ子ども総合条例では全国で初めて小中学生にスマホ等を持たせないよう保護者に努力義務を課しましたが、小中学生がゲーム機による無線LAN経由でネット接続しLINE等の利用によるトラブルが多発するなど小中学生自身がネットの抜け道を見つけてしまうという問題が生じております。スマホを単に禁止や規制するだけでは何の解決にもならず、青少年が自立して主体的にインターネットを利用できるようにするための教育及び保護者への啓発の推進が重要であります。
そこでお伺いします。規制と教育という課題がある中、スマホ等の使用に当たり保護者との連携のもと中学生を対象とした使用に関するリスクの教育等に取り組む必要があると考えますが、県としてどのように使用時間も含めた規制とインターネットの正しい使い方を学ぶ教育に取り組んで行きますか、お答えください。
次に、フーズ・サイエンスヒルズプロジェクトの推進について質問します。
平成二十二年度から二十六年度の五年間を計画期間とするフーズ・サイエンスヒルズプロジェクト戦略計画では、地域結集型研究開発プログラムとして健康によい茶系飲料の研究開発を実施し白葉茶など研究成果を事業化してきました。また静岡県立大学グローバルCOEプログラムの研究を生かした機能性食品のヒト介入試験の実施や、薬食生命科学総合学府を開設し人材育成にも努めてきました。フーズ・サイエンスセンターでは高付加価値型食品等開発推進事業として試作品の開発、実証試験を支援してきました。まさに産学官の連携であり、一方では健康長寿や社会健康医学へのスタート地点であり、今思えばあたかも決められたストーリーの序章であったかのようであります。
二十七年度から三十一年度の五年間である第二次戦略計画は昨年十二月に改訂版が策定されましたが、さらに科学的エビデンスを深く追求し数多くの機能性にすぐれた商品開発を行い、新たな国内、国外のマーケットの獲得に力を入れてきた感があります。静岡の経済発展を目指した企業立地と販路拡大はもとより食料品や飲料だけでなく、例えば連携した北海道の食品産業が求める食品加工機械の開発や乾燥しない保湿液と茶の実油を活用した化粧品等の化成品など幅広い食品関連産業を担うまで進んできました。私が今後期待しているところはCNFの食品としての可能性やマリンバイオ産業への取り組みそして六次産業化への支援であります。
改訂版では目標数値を見直したことが大きな特徴であると思いますが、平成二十九年度末の実績を見ると研究や試験による効果や事業化件数と人材育成が五年間の目標数値にはまだ届かず、一方販売促進の支援件数やFSC――フーズ・サイエンスセンターへの参加企業数と情報提供希望数は五年間の目標数値を大幅に超えているのであります。来年度が第二次戦略計画の最終年度であり第一次戦略がホップ、第二次戦略がステップとするならば第三次戦略はジャンプとして飛躍的な推進をなし遂げる計画になると期待するところであり、次年度はそのための十年間の大切な総仕上げの年であります。
今後、さらなるプロジェクトの展開を図り地域経済を牽引する産業として引き続き成長させていくためにはより生産額や販売額を拡大させる取り組みを戦略的に展開することが必要であり、次期戦略計画の策定が非常に重要であると考えます。
そこでお伺いをいたしますが、フーズ・サイエンスヒルズプロジェクト第二次戦略計画を推進している中でどのような課題認識を持ち、今後どのように対応をして次期戦略計画につなげていきますか、お答えください。
次に、都市近郊農業の振興について質問します。
二〇一五年の農林業センサス等によれば、静岡市の総農家数六千九百六戸のうち市街化区域内に住所を有する農家数は二千六百十七戸であり総農家数の約三八%を占めております。この市街化区域内とその周辺地域ではイチゴやトマト、枝豆、葉しょうがなどの野菜を初めお茶、ミカン、桃など多彩な農産物が生産されております。とりわけ市街化区域の周辺で営まれている都市近郊農業は、都市という消費地に隣接した優位性を生かし都市住民に新鮮で安全な農産物を供給する意欲的な農業が展開されており、それに加え良好な景観の形成や国土・環境の保全、農作業体験や学習・交流の場の提供など多様な機能も有しております。
しかしながら、市街化の進行や相続に伴う農地の小規模、分散化に加えて混住化に伴う水質や日照などの生活環境への影響に対する周辺住民とのあつれきなど都市部特有の課題にも直面しております。
私の地元である静岡市駿河区においては、市街化区域に隣接した農地で野菜はもとより茶やかんきつ、水稲などの都市近郊農業が営まれております。また静岡市を代表するすぐれた景観を有する茶園が広がる日本平周辺では、やぶきた茶発祥の地として日本平茶のブランド化が形成されておりますが、小区画で急傾斜な生産性の高いとは言えない農地が多く担い手の高齢化、減少も深刻化している状況であり、今後の営農の継続について大きな不安を感じているところであります。
このような状況の中、日本平の西麓地域において農地中間管理事業を活用した農地の基盤整備や集積を進める計画があると伺っております。この農地中間管理機構関連農地整備事業は、機構が借り入れている農地について農業者の申請によらず農業の費用負担や同意を求めずに県が政策的に大区画化等の基盤整備が実施できるようになったものであり、農家の費用負担分を国が全額負担するものの事業完了後十年以内に事業実施地域の販売額が二〇%以上向上するか、生産コストが二〇%以上削減されるなどの事業要件もあります。そのため事業実施に参加する意欲ある農家の決断も重要であります。
そこでお伺いします。この日本平の基盤整備事業についてどのように進めていきますか。また都市近郊農業の今後の振興に向けた県の取り組みについてどのようにお考えですか、お答えください。以上について答弁を求めます。
○副議長(落合愼悟君) 川勝知事。
(知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 佐地議員にお答えいたします。
フーズ・サイエンスヒルズプロジェクトの推進についてであります。
フーズ・サイエンスヒルズプロジェクトというのは、平成二十七年度からスタートいたしました第二次戦略計画に基づき展開している事業でございます。来年度が最終年度となります。御案内のように第二次戦略計画ではフーズ・サイエンスセンターを中核支援機関に位置づけ、静岡県立大学などと連携し高付加価値型の機能性食品などの開発に重点的に取り組んでまいりました。この結果県内企業が血糖値や腸内環境を整える機能性成分イヌリンを新たに独自開発し大手メーカーの飲料に使用されたほか、二百三十を超える新製品が開発されるなど着実に成果を上げております。
今後食品関連産業が本県経済を牽引する産業の一つとしてさらに発展していくためには、研究成果を活用した事業化や産学官連携による人材育成の取り組みを一層強化していくことが重要です。
このため、研究成果を活用した事業化につきましてはセンターのコーディネーターによる企業ニーズの収集と大学などの研究機関へのマッチングをこれまで以上に進めます。あわせまして成長の著しい化粧品分野におきまして県工業技術研究所が県産の農林水産物を素材とした化粧品開発に取り組みCNFを添加した化粧品、保湿美容液の開発に成功いたしました。あるいはCNFを利用した機能性食品――どら焼き――の開発にも成功しております。
これらと合わせまして、先端科学技術を担うAOIプロジェクト、またマリンバイオプロジェクトとの連携をも強化してまいります。
産学官連携による人材の育成につきましては、現在静岡県立大学と連携をいたしまして十四日間、八十時間を超える全国屈指の総合食品学講座を開催いたしまして機能性食品等の開発を担う実践的かつ高度な人材の育成を図っているところであります。受講生は製品開発の中核的な人材として企業で活躍するとともに、講座を通じまして構築された企業間のネットワークによって付加価値の高い新製品を共同開発する事例も出てきています。引き続きHACCPなど時代に即したテーマを盛り込んだ講座の充実を図ります。
来年度は、戦略検討委員会におきまして第二次戦略計画の成果をさらに発展させるための取り組みや健康長寿への関心の高まりなど時代の潮流を見据えたプロジェクトの展開の方向性につきまして、委員の皆様から御意見を賜りました上で第三次戦略計画を策定してまいります。
県としましては、引き続き産学官金の連携のもとフーズ・サイエンスヒルズプロジェクトを戦略的に推進し、食品・化成品関連産業の一層の集積を図り生産額、販売額の拡大を目指してまいります。以上でございます。
○副議長(落合愼悟君) 鈴木教育部長。
(教育部長 鈴木一吉君登壇)
○教育部長(鈴木一吉君) 子供のスマートフォン使用についてお答えいたします。
現代の子供たちはデジタルネイティブとも呼ばれ、生まれたときからスマホを初めインターネットに接しておりますことから各学校ではその有効性や使い方、問題点についてさまざまな場面で児童生徒に伝えております。また保護者の皆様に対しましてはPTAの会合や有識者を招いた講演会等の場で子供たちの使用実態や学習への影響などを周知するとともに、各家庭においてスマホ使用のルールをつくるよう啓発に努めております。
具体的には、小学四年生と中学一年生の全保護者に我が家のケータイ・スマホルールカレンダーを配布し家庭におけるルールづくりを支援するとともに、PTAと連携し家族のいる場所で使用することやフィルタリング措置を講ずることなど子供たちのスマホの適切な使い方について呼びかけております。
また、来年度は健康福祉部と連携し専門の医療機関の協力を得ながらネット依存症の対策に取り組むこととしており、県教育委員会ではスクリーニングを通して依存傾向にある児童生徒について自然体験による回復プログラムを実施することとしております。
過度なスマホの使用は、子供たちの生活や学習への支障にとどまらず世界保健機関におきまして新たな疾病と認定された、いわゆるゲーム障害など健康への影響も考えられます。今後はネット依存対策を進める上で得られた知見を広く周知することなどにより、生活に密着しているスマホやインターネットを規制によることなく安全・安心で節度を持って使用できるよう、保護者への啓発や児童生徒への教育に努めてまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 芦川農林水産戦略監。
(農林水産戦略監 芦川敏洋君登壇)
○農林水産戦略監(芦川敏洋君) 都市近郊農業の振興についてお答えいたします。
人口が集中する市街化区域の周辺で営まれている都市近郊農業は、近隣の地域住民の皆様に新鮮な農産物を安定供給するとともに良好な景観の形成や緑地環境の保全を担っております。この貴重な農業が将来にわたって持続していくためには、意欲ある担い手への農地集積や経営体の育成強化、新技術の導入促進などにより農業生産活動での収益性向上を図ることが重要であると認識しております。
こうした中で、日本平の西麓に位置する静岡市駿河区の東豊田地区は、これまで茶の生産が活発でしたが農業従事者の高齢化や茶価の低迷などにより茶園の荒廃化が懸念される状況であります。このため県は、静岡市やJA静岡市と連携し約三十ヘクタール規模の農地を対象にして担い手への農地集積やオリーブ等の新規作物導入などを検討してまいりました。今後は事業手法として農地中間管理機構の関連農地整備事業を活用することとし、二〇二〇年度の事業開始を目指し区画整理事業の計画策定を進めてまいります。
また、静岡市の市街地近郊を中心にイチゴやトマトなどの施設園芸が盛んなことからハウス内の温度や湿度、二酸化炭素濃度などを制御する機器の導入を支援し環境モニタリングによる生産性の向上を促進してまいります。さらに枝豆やジネンジョの産地でもあります。生産者やJAなどと連携して新規就農希望者の受け入れ体制を整え、新たな担い手をふやしてまいります。
県といたしましては、こうした取り組みを積み重ねていき消費者との距離が近いメリットを生かして、新鮮で高品質な農産物を持続的に供給する都市近郊農業を振興してまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 佐地茂人君。
(十二番 佐地茂人君登壇)
○十二番(佐地茂人君) 御答弁をいただき、ありがとうございました。
意見、要望を申し上げます。
スマホについてでありますが、持ち込みを全面的に禁止するというのも一つのやり方だとも思うんですが、許容するにしてもリテラシー教育を徹底する必要、環境整備が必要だと思っています。それについて今後、重要視していただきたいと思います。
それでは、二点質問させていただきます。
まず、フーズ・サイエンスについてでありますがAOI、MaOIの連携また社会健康医学の大学院大学等の連携とも考えられると思うんですが、少し早い気がしますけれども第三次計画についてキーワードというような形でどういうような形になっていくかなというようなことが、もし現在の段階で想像されることができるのであればぜひお伺いさせていただきたいと思います。
そして、スマホについてでありますが一点質問させてもらいます。
子供に脳への障害がある、それでもお母さん使いますかというようなことを私はやっぱり問いかけていく必要があります。脳についての悪影響について今後教育委員会として子供たち、保護者に対して私は積極的に通達をするべきだと考えておりますがその点についてはどう考えるか。時間の活用等も含めてお答えいただきたいと思います。以上、一点ずつお願いします。
○副議長(落合愼悟君) 天野経済産業部長。
○経済産業部長(天野朗彦君) フーズ・サイエンスヒルズプロジェクトに関する再質問にお答えいたします。
第三次戦略をつくるに当たりましてのキーワードは何かということでございます。
私はこの第三次戦略をつくるに当たりましてはまず一つはオープンイノベーションということです。先生の御指摘にございましたように試験研究から生まれてくる成果の事業件数が少ないのではないかというような御指摘もございました。やっぱりこの試験研究開発をする場合でも広くオープンイノベーション、産学官のオープンイノベーションをやっていかなきゃいかんというふうに思っています。それを産業に応用していくと。まずはオープンイノベーションが大事であろうと。そこには先端技術の導入も大事であります。
それとかかわりまして、やっぱり人材育成が極めて大事でありまして、やっぱりこの農業を革新させる先端技術を運用できる人材これは農林専門職大学でも養成してまいりますけれども、やっぱりこういう人材の育成も重要な鍵を握っているというふうに思っております。
私はオープンイノベーションと産学官連携それから先端技術を活用できる人材、これがキーワードではないかというふうに思っております。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 鈴木教育部長。
○教育部長(鈴木一吉君) 子供のスマートフォン使用に係る再質問についてお答えさせていただきます。
議員御指摘のとおり、脳や健康への影響ということでそれをどのように子供に伝えるかということでございますが、健康等脳への影響が科学的に解明されれば当然のことながら教育委員会といたしましても子供たちあるいは保護者の皆様に積極的に伝えたいと思いますし、来年度実施しますネット依存対策の中でそのようないろいろな分析等も少なからず明らかになる部分があるかもしれませんので、そういうこともあわせて家庭、子供たちにも伝えていきたいと思います。以上でございます。
○副議長(落合愼悟君) 佐地茂人君。
(十二番 佐地茂人君登壇)
○十二番(佐地茂人君) 御答弁いただき、ありがとうございました。
御答弁に対しての意見ですが、ぜひ時間等の使い方、スマホに対してのそれも今後行政でもお考えいただきたいと思います。
それでは、次に進みます。
AIやICTを活用した公共交通の推進について質問します。
人口減少や超高齢化社会に加えて訪日外国人の急増といった観光面での活用として、新たなモビリティ社会の実現に向けたAI運行バスが注目を集めております。AI運行バスは乗客からの予約に応じて、人工知能AIがリアルタイムに配車とルートを最適化して走行する乗り合い型の交通サービスであります。
さらに、自分が乗りたい場所からおりたいところで乗ることができるのが乗り合いタクシーでありますが、二月五日付の新聞ではAIを活用した乗り合いタクシー事業の実証実験を静岡市内で静岡鉄道が行う旨の報道がありました。このようなマイカー以外の交通手段を一つのサービスとして提供する概念をモビリティ・アズ・ア・サービス、略してMaaSと呼びます。静岡市においてAIを活用し最適な経路を提案する次世代交通サービスになることを期待するものであります。
一方、浜松市引佐地域においては利用者が減少していたそれまでのデマンド交通を再編し、ICTシステム導入による利用環境の向上と実証実験による運行概要の見直しにより平成三十年三月一日から開始した新地域バス運行事業は月平均利用者数が三倍にふえました。
そこでお伺いをいたしますが、技術が進化し新たな技術を活用したデマンド交通の社会実験が進む中AIやICTを活用した公共交通の活用方法を積極的に研究し、公共交通の維持はもとより環境や観光さらには高齢化に伴った移動困難者対策など幅広い考え方で交通政策に取り組み、市町をリードする形で支援していくことが重要であると考えますが今後どのように取り組んでいきますか、お答えください。
次に、障害者就労施設等への発注拡大に向けた取り組みについて質問します。
障害のある方がその能力と適性に応じた雇用の場につき地域で自立した生活を送ることができることは、本県の共生社会実現の上でも重要なことであります。企業等で働くことが困難な人に働く場と訓練を提供している障害福祉サービスが就労継続支援B型であり、県内で事業所は約三百十カ所で働いている人は約六千五百人おります。平均工賃月額は一万五千六百七十五円であり、自立した生活を送るにはまだ低い水準のためさらなる工賃の引き上げが課題であり、県や市町等による物品、役務等の発注が重要な収入源になることは言うまでもありません。
平成二十四年六月に成立しました障害者優先調達推進法では、障害者就労施設等の受注の機会を確保するために必要な事項等を定め障害者就労施設等が供給する物品等に対する需要の増進を図りもって自立の促進に資するとされており、本県についても障害者就労施設等の受注機会の増大を図るため今年度の調達目標金額を物品で平成二十八年度の実績である二千六百三十一万六千円以上、印刷や掃除といった役務で同じく平成二十八年度の実績である三千三百三十六万九千円以上、合計六千万円以上と定め各所属において発注を行っているところであります。
県では、この目標達成のために各部局一所属一発注の徹底に取り組み、また授産品の購入促進に向けて今年度からは職員に向けて一人一品運動を展開し授産所製品のよいところの売り込みを行っているのであります。
さらに、若手職員や主婦、学生等で構成されたワーキンググループを立ち上げ季節ごとの商品をそろえた販売促進のための展示即売会を実施していると伺っております。真の共生社会の実現のため足元から気を配りみずから障害のある方との意識の共有を行うことは評価できるところでありますが、調達目標金額はもっと多くてよいと思います。
そこでお伺いをいたしますが、県からの発注実績では物品購入や印刷業務が主となっております。これはこれでよいことでありますが今後発注実績をさらにふやしていくためには他の分野での発注もふやすことが必要であると考えますが、県のお考えをお伺いいたします。
また共同受注等、障害者就労施設等への発注や授産品の購入を通じて障害のある人を支援していくことは民間企業も含めた県民全体として取り組むべき課題と考えますが、民間企業からの発注拡大や授産品販売促進に向けてどのように取り組んでいきますか、お答えください。以上、答弁を求めます。
○副議長(落合愼悟君) 吉林副知事。
○副知事(吉林章仁君) 障害者就労施設等への発注拡大に向けた取り組みについてお答えをいたします。
県では、毎年度教育委員会、警察本部も含めた調達推進本部におきまして目標設定を含む調達方針を策定しております。一所属一発注の取り組みスローガンを掲げまして全ての所属において積極的に取り組みますとともに、市町等を含む県全体で発注の拡大に努めております。
県の調達実績は、平成二十五年度に障害者優先調達推進法が施行されて以降着実に増加しており、富士山保全協力者用の缶バッジの制作や県民だよりのポスティングなど工夫した発注もふえてきております。また県庁内での授産品展示販売会の開催や職員向けのギフト商品の販売など一人一品運動の推進によりまして職員の意識啓発にも努めております。また物品の購入に比べまして一件当たりの金額が大きく、障害者就労施設等の安定した運営につながる清掃や施設管理などのサービスの発注をふやすため各部局の取り組み事例の共有化、SDOを通じた障害者就労施設等の業務内容の紹介などによりまして各所属における新たな発注を促してまいります。
民間企業からの発注拡大につきましては、障害者働く幸せ創出センターが企業を訪問いたしまして障害者就労施設等への製品や作業の新たな発注の呼びかけを行っております。企業によるCSR活動のマッチングを行うなど企業と福祉をつなぐ取り組みを行いまして、その結果自動車部品の取りつけ作業やパンの定期的な購入など企業側からの新たな発注につながっております。
授産品の販売促進につきましては、三島カンショを使ったジャムや富士山型のビーズストラップなどマーケティングの専門家の助言によりまして製品の改良を行い、付加価値を高めた製品をしずおか授産品ブランドとして認定をしております。デパートなど大型商業施設での販売会や販売力向上に向けた研修の実施など販売拡大に向けた支援を積極的に行っております。
こうした取り組みによりまして、障害者働く幸せ創出センターが販売、仲介をいたしました授産品や業務の実績は、開設をいたしました平成二十二年度の約六千三百五十一万円から平成二十九年度の約一億千七百十五万円へ大幅に増加をしております。今後は県障害者芸術祭や東京オリンピック・パラリンピック関連イベントにおきまして授産品の展示販売を行うなど、県民の皆様に授産品のことを知ってもらう機会の拡大を図ってまいりたいというふうに考えております。
県といたしましては、これらの取り組みによりまして就労継続支援事業所等の受注機会の拡大を図り工賃向上につなげることで障害のある方の経済的な自立を可能とし、身近な地域で安心して暮らせる共生社会の実現を目指してまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 平野交通基盤部長。
○交通基盤部長(平野忠幸君) AIやICTを活用した公共交通の推進についてお答えいたします。
県内の公共交通は、少子高齢化の進展に伴う利用者の減少や深刻な運転手不足等のためバス路線の廃止が続いており大変厳しい状況にあります。また路線バスの代替交通である自主運行バスやデマンド交通につきましても便数が少なく行き先が限られるなど多くの課題を抱えております。
このような課題を解決し地域住民の日常での利用だけでなく観光利用など多様なニーズに応えるためには、AIなどのICT技術の活用による自動化や効率化等が有効な手段と考えられ県としても大変注目しているところであります。
こうしたことから、県は自動運転の公共交通への導入を目指し小笠山総合運動公園周辺で袋井市などと社会実験を実施しており、来年度は他の市町にも拡大して市街地や中山間地など多様な環境下で実験を行うこととしております。また伊豆地域におきまして四月から東急電鉄、JR東日本などが鉄道、バス、レンタカーなどの予約や決済を一括で行うことを目指したモビリティ・アズ・ア・サービス――MaaSの実証実験を行う予定であり、県もこれに協力しスマートフォンの専用アプリケーションを使用して乗車予約と効率的な経路が設定されるデマンド交通の運行実験を行う予定であります。
県といたしましては、多くの方々にこれらの実験に参加していただけるよう広報に努めるとともに実験の結果を検証し市町や交通事業者等に提供し共有することにより、AIなどのICT技術を活用した誰にも利用しやすい次世代の公共交通の実現を推進してまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 佐地茂人君。
(十二番 佐地茂人君登壇)
○十二番(佐地茂人君) 御答弁をいただきありがとうございます。
次に進みます。
静岡海岸における海岸堤防のかさ上げ整備について質問します。
地震・津波対策は本県が最も重点的かつ優先的に取り組むべき施策であると考えます。平成三十年十二月に静岡県地震・津波対策アクションプログラム二〇一三が改訂されました。プログラムの中でも最重点施策として津波を防ぐための防潮堤の整備が初めに記載されております。
私の地元であります静岡市駿河区の静岡海岸は、国の交付金事業では県内の海岸の中でも重点的に整備する地区の一つであり、現在安倍川河口から清水区境までの整備対象区間約七・九キロメートルを県が鋭意海岸堤防のかさ上げ整備を進めているところであります。しかしながら二十九年の進捗が百八十九メートル、三十年に至っては百五十メートルの進捗であり当初の計画では最低二百メートルは進捗するはずだった整備が年々短くなっており、現在の進捗状況を踏まえると今後はますます整備に長い時間を要するのではないかと大変に危惧しているところであります。
県当局においては、引き続き全区間の早期完成を目指しスピードを緩めることなく整備を進めていくことが重要であります。特に安倍川河口から二級河川浜川河口までは背後地の標高が比較的低く海岸堤防のすぐ背後に住宅地が広がる地域であります。津波が堤防を乗り越えることになれば多くの尊い人命を危険にさらす恐れがあることから、海岸堤防のかさ上げを最優先で進めていくべき地域であります。そしてこのように長期間にわたる海岸堤防の整備については、長期的な視点で全体の整備を見据えつつも当面いつまでにどこまで整備するのか。例えばアクションプログラム終了時までの見込みを持って計画的に進めることが必要であると考えます。
そこでお伺いいたします。静岡海岸では安倍川河口から浜川河口までの区間の整備について三十一年度の施行箇所予定も含め今後どのように事業を進めていきますか、お答えください。
次に、警察施設老朽化対策等について質問します。
私の住む駿河区に所在する静岡南警察署は、警察署管轄区域が指定都市移行後一・五倍の人口を管轄するより大きく重要な警察署として設置されていると認識しています。警察署は殺人、強盗等の重大事件やオレオレ詐欺、SNS等を活用した知能犯の増加に加えて大規模な災害等の突発重大事件の発生時の対応など治安を守る要請は次々とふえています。
一方、虐待を初め被害者相談や多様化する住民からの要望など警察力にますます期待されていることと考えます。
このような状況の中、定められた警察官の人員を有効に配置し限りある財源により設備を行い能力を最大限に発揮できる機能強化が求められているのであります。大・中規模警察署の役割はその管轄区域を守るだけではなく、その地域の特徴を考慮した特別な課の設置や警察本部の機能を補完すること、また他の警察署を先行し牽引していくモデル的な警察署の存在があってもいいのではないかと思います。
警察署の老朽化対策については、現在築三十五年を経過するものが大仁署を含めて七カ所存在し静岡南署もその中に入ります。またエレベーターが設置されていない署は十八カ所であります。二階建てや三階建ての建物にエレベーターがないことは一歩譲るとして、四階建てにエレベーターがないのはいかがなものでしょうか。
前回の答弁では、震災被害の恐れや建物の老朽化等の事情を勘案し建てかえ場所の候補地は県有地、市有地、民有地の情報を幅広に収集しながら順次検討を進めるとのことでありました。
そこでお伺いいたします。警察署の機能強化や求められる新たな機能の検討など今後建設を予定する警察署のあり方を研究し老朽化対策と合わせて進めていくべきと考えますがどのようにお考えですか、静岡南署の建てかえについてと合わせてお答えください。また老朽化した交通管制センターについては今後どのように取り組みますか、お答えください。以上、答弁を求めます。
○副議長(落合愼悟君) 平野交通基盤部長。
○交通基盤部長(平野忠幸君) 静岡海岸における海岸堤防のかさ上げ整備についてお答えいたします。
静岡海岸では、静岡県地震・津波対策アクションプログラム二〇一三に基づき平成二十七年度から国の交付金事業を活用して現在の高さ七・二六メートルの海岸堤防を八・五メートルにかさ上げするとともに、津波が乗り越えたときに壊れにくく補強するための工事を進めております。
静岡海岸のうち安倍川河口から浜川河口までの約二・四キロメートル区間は、議員御指摘のとおり海岸堤防の背後まで市街地が迫ることに加え中島浄化センターや特別養護老人ホームが位置することから、安倍川左岸の中島地区から東に向けて工事を進めております。今年度末時点で約八百七十メートルが完了する予定であり、来年度は中島地区の残区間百三十五メートルを完成させるとともに西島地区におきまして整備を促進してまいります。
県といたしましては、海岸堤防に隣接して人家が連なる優先度の高い区間がアクションプログラムの計画期間である二〇二二年度内に完了できるよう、引き続き国への働きかけなど必要な予算の確保に努め津波に強い安全で安心な地域づくりを推進してまいります。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 小嶋警察本部長。
○警察本部長(小嶋典明君) 警察施設老朽化対策等についてお答えいたします。
警察庁舎の整備につきましては、本年四月一日に新設警察署である浜松西警察署を開署する予定であるほか津波による浸水被害の高い湖西警察署と最も老朽化が進んでいる警察署である大仁警察署について移転の上、建てかえることを決定しそれぞれ取り組みを進めているところであります。このうち浜松西警察署については、県下初の警察署併設の拳銃射撃場や女性留置施設を設置するなど県警全体の治安維持能力の向上につながる機能を付加したところであります。
今後も、警察署等を建設するに当たっては県警察の治安維持能力の強化や地域の皆様の利便性の向上を図ってまいります。
静岡南警察署につきましては、築三十六年が経過し老朽化が進みつつあるほかエレベーターが設置されていないなど利便性に課題がある施設であると承知しております。このため同署を含めエレベーターの設置のない警察署については窓口業務を一階に配置するなどしておりますが、今後も地域の皆様の利便性に配慮した警察署の運営に努めるとともに将来的には庁舎の建てかえによりエレベーターの設置を含めたバリアフリー化を進めてまいりたいと考えております。
また、交通管制センターについては築四十四年が経過し庁舎、設備ともに老朽化が進んでいることから交通管制機能を維持するために必要なメンテナンスを適時適切に行うとともに、交通管制センターに求められる耐災害性能の強化を図るため近い将来の改築についても検討していく必要があるものと考えております。以上であります。
○副議長(落合愼悟君) 佐地茂人君。
(十二番 佐地茂人君登壇)
○十二番(佐地茂人君) 御答弁いただきありがとうございました。
まずは意見、要望を申し上げます。
静岡南署の建てかえとあわせて交通管制センターについても早期の取り組み、計画等の立案を要請したいと思います。よろしくお願いします。
それでは、防潮堤のかさ上げについて一点再質問させていただきます。
アクションプログラムでは、どこをどれぐらいという具体的な目標がないというところで各県議の中でもいろんな問い合わせがあろうかと思います。被害を八割削減するということは非常に重要なことであります。しかしながら具体的な中期的な目標をつくるべきだと私は考えておりますが、今後改訂等見直しを図る上でアクションプログラム内もしくは計画を今後つくる必要性を感じていますが当局に関してはどのようにお考えでありますか。改めて再度質問させていただき、全ての質問を終了します。
○副議長(落合愼悟君) 平野交通基盤部長。
○交通基盤部長(平野忠幸君) 静岡海岸における海岸堤防のかさ上げ整備についての再質問についてお答えをいたします。
アクションプログラムでございますけれども、先ほど静岡海岸につきましては海岸堤防に隣接して隣家が連なる優先度の高い区間についてアクションプログラム完了までに整備を進めていきたいというふうに考えております。それ以外のアクションプログラムそのものについて具体的にどこまでにという明確なものはつくっておりませんが、例えば静岡海岸七・九キロ全部やろうとしますと七十億ぐらいまだお金がかかるというところもありますので、しっかり予算を確保してプログラムの推進また次のアクションプログラムをつくるときにはそういったところも含めて考えていくということかなというふうに思っております。以上でございます。