令和5年6月静岡県議会定例会

2023年7月3日

質問内容

質問者: 佐地 茂人 議員
質問分類 一般質問
質問日: 2023/07/03
会派名: 自民改革会議

○副議長(鈴木澄美君) ただいまから会議を開きます。
 議事日程により、知事提出議案第七十八号から第八十一号まで及び第八十三号から第百三号までを一括して議題とします。
 質疑及び一般質問を行います。
 通告により、三十六番 佐地茂人君。
       (三十六番 佐地茂人君登壇 拍手)
○三十六番(佐地茂人君) それでは、通告に従いまして自民改革会議の一員として知事、副知事、関係部局長、教育長及び教育部長並びに警察本部長に対し質問をいたします。
 今回は九項目の質問を分割方式で行います。
 初めに、先天性難聴児の療育体制の確立について質問します。
 本県では、県立総合病院内に設置した乳幼児聴覚支援センターを中核として難聴の早期発見、早期の聴覚補償、介入に力を入れてきており、全国に先駆けた取組により新生児スクリーニング検査の受診率は約九八%と全国でトップクラスとなっています。早期診断から早期の人工内耳、補聴器の装用といった第一ステージの施策展開は見事にはまり高く評価しているところであります。しかしながら人工内耳装用後の聴覚活用により親と同じ音声言語を伸ばして親子の対話を促進する専門的な指導、介入を担う人材、施設がないために、言語力が不十分なまま六歳の就学時に通常校への進級を諦める児童が少なくありません。
 このような状況の中、本年二月四日に県が難聴児支援の先進国であるオーストラリアから音声言語獲得のための療育機関シェパードセンターのダニエル・ラム氏を招いて開催した講演会を私も傍聴させていただきました。オーストラリアでは生後九か月以内に人工内耳を装用し適切な療育を受けた子供は、健聴児と同等の音声言語を獲得しインクルーシブ教育が当たり前になっていること、また人工内耳装用児の紹介動画では、家族のコーチングの重要性や音と言葉を見分ける子供の姿等療育を行う上で社会生活環境の大切さを学び何より健聴者と遜色なく流暢に会話を交わす子供の姿に深く驚嘆しました。
 私はこの講演を聴き、難聴児支援の先進県である静岡県でも人工内耳手術を受けた子供がオーストラリア同様に専門家による切れ目のない適切な介入を経て音声言語を獲得し、通常校へ進学できるような環境の整備を行うことが極めて重要であり、早期療育の場を提供する第二ステージへ躍進するべきとの思いを一層強くしたところであります。
 そこでお伺いをいたします。
 今後の先天性難聴児への支援として早期療育の場の整備と音声言語獲得の指導を行う専門家の人材育成が急務であると考えますが、県はどのように取り組んでいきますか、お答えください。
 次に、静岡県の新産業への取組についてであります。
 脱炭素やデジタル化、SDGsへの関心の高まりなど社会は大きく変容していますが、私はDXとGXを活用した新たな先端産業創出プロジェクトが地域特性を生かし展開されることを強く望んでおります。
 令和五年二月に策定された静岡県産業成長戦略二〇二三では、今後における戦略的な施策展開を三つの重点テーマであるGXの推進、DXの推進及び産業人材の育成確保・リスキングで推進していくとし、持続可能な地域経済の実現を市場での競争・成長を目指すスケールアップ型と持続的成長を目指すパワーアップ型の両面から支援していくことになります。
 そこでお伺いをいたします。
 県としては、このような社会変容の状況等を踏まえどのような産業、分野に力を入れ、新しいビジネスモデルの構築に取り組む企業への支援を進めていきますか、お答えください。
 続きまして、若者の意識に寄り添った少子化対策について質問します。
 県内の令和四年の出生数は二万五百七十五人であり平成三十年の二万五千百九十二人から僅か四年間で五千人近く減少しております。本県や経済界はこの数字にどれだけ危機感を抱いているでしょうか。
 本県では都会に出た女性がUターンせず、母親になり得る女性の人口減少が顕著な特徴があり、それに伴い婚姻数も減っております。この状況から本県も女性ばかりが育児・家事の負担をしているなどの古い習慣から離れ、社会構造を変えていく気づきが必要です。
 若者にとって社会全体の構造や子育ては楽しい、得をするといった意識を変えることが極めて大切であり、未来を担う若者の仕事や結婚、子育てを含めた自己実現の過程をライフステージに応じて切れ目なく支援すること、働き方や将来の生活に希望が持てることが婚姻数の増加にもつながるものと期待します。
 そこでお伺いをいたしますが、本県の深刻な少子化の現状を踏まえ育児支援に偏らず若者の意識に寄り添った少子化対策に県はどのように取り組んでいきますか。また福祉分野だけでなく全庁挙げての少子化対策が必要と考えますが、県としてどのような体制で臨みますか、お答えください。以上、答弁を求めます。
○副議長(鈴木澄美君) 川勝知事。
       (知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 佐地議員にお答えいたします。
 先天性難聴児の療育体制の確立についてであります。
 先天性の難聴は早期発見と適切な治療、療育により症状の改善が可能であります。また音声言語の獲得も期待されております。乳幼児期から人工内耳や補聴器の装用と適切な療育体制が整備されているオーストラリアにおきましては、健聴児と同等の音声言語の獲得により人工内耳装用児の九五%が高等学校へ、八二%が大学等の高等教育機関に入学していると報告されております。
 このことから県では、乳幼児聴覚支援センターが中心となりましてオーストラリアの療育手法や体制を参考とし、本県における効果的な療育体制の構築に向けた取組を進めているところであります。
 昨年度は、音声言語獲得を促す療育手法を学ぶため、乳幼児聴覚支援センターの言語聴覚士と特別支援学校の教員をオーストラリアにある療育機関シェパードセンターに派遣いたしました。本年度は派遣研修で学んだ子供の聞こえの状況に応じた療育手法FLIP、通称フリップの活用に向け、乳幼児聴覚支援センターにおいてその効果と検証を行っているところであります。
 あわせて、シェパードセンターからの御提案を受けまして静岡県立総合病院におきまして県と連携し新しい療育体制の調査に着手したところであります。調査はシェパードセンターから提示される養育モデルにつきまして必要な人材やコスト等を明らかにした上で我が国の療育制度に照らし、例えば児童発達支援センターなどで実現が可能かどうか確認するものであります。今後秋頃までに調査を終え、その結果を踏まえてオーストラリアの手法を取り入れ音声言語の獲得を目指す全国初のパイロット的な療育の場の整備を視野に具体的な体制の検討を進めてまいります。
 また、難聴児の支援に関わる人材育成につきましては、今年四月に静岡社会健康医学大学院大学におきまして聴覚の評価や聴覚補償などを扱う学問領域オーディオロジーに関する学識や認知科学に精通した人材を育成する聴覚・言語コースを博士前期課程に開設したところであります。今後本県の療育の場において活躍していただけるものと期待しております。
 県といたしましては、全国のモデルとなる静岡型の療育体制の実現に向けて静岡県立総合病院や静岡社会健康医学大学院大学などの関係機関との連携の下、新たなステージに向けて積極的に取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(鈴木澄美君) 増田経済産業部長。
       (経済産業部長 増田始己君登壇)
○経済産業部長(増田始己君) 静岡県の新産業への取組についてお答えいたします。
 本県経済の持続的発展のためには、急速に進展するデジタル化や脱炭素化などの社会の変化を好機と捉え県内企業の新たなビジネスモデルへの転換を積極的に後押ししていくことが重要であります。
 県ではこうした認識の下、ファルマバレーやフーズ・ヘルスケア、次世代自動車など地域の強みを生かした先端産業創出プロジェクトにおいてGXやDXの視点を取り入れ、県内企業の事業化等への支援を進めております。
 例えば、次世代自動車分野においては本年中に浜松工業技術支援センター内に仮称デジタルものづくりセンターを設置しソフトウエアツールの試し使いができる環境を整備するなど、中小企業のデジタルを活用した製品開発と人材育成を支援してまいります。また循環型のビジネスモデルの転換に向け六月一日に新設された静岡大学のセルロース循環経済研究所と連携し、リサイクル性に優れたCNFの社会実装を推進してまいります。
 海洋資源を活用し新たな産業を創出するマリンバイオ分野においては、環境保全と経済成長の両立を図るブルーエコノミーの視点を踏まえ海洋微生物ライブラリーなど研究成果のオープンデータ化をさらに進め、産業応用に向けた研究開発を支援してまいります。
 県といたしましては、社会の変容や新たなニーズをおのおののプロジェクトに取り込むとともに、プロジェクト相互の交流などオープンイノベーションの環境を整備することで県内企業が持つ知見や技術力の新しい結合を促し、将来にわたる力強い成長を実現させる産業基盤を構築してまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 八木健康福祉部長。
       (健康福祉部長 八木敏裕君登壇)
○健康福祉部長(八木敏裕君) 若者の意識に寄り添った少子化対策についてお答えいたします。
 少子化の主な要因とされる未婚化、晩婚化の背景には若者が結婚や子育てを含む将来のライフプランを描きにくくなっている現状があることから、本県の若者の意識に寄り添い結婚や子育ての希望をかなえるための対策に関係部局が連携し総合的に取り組むことが重要であります。
 このため、新たな取組として子供や若者がライフプランについて考える機会を設けるため、教育委員会等と連携し学校のキャリア教育として出前講座を実施いたします。県内の中学校、高校、大学の十三校をモデルとして、子育て中の講師から就職、結婚、子育て等の実体験を交えて家庭を築くことの大切さや自らの生きがいにつながることを伝え将来をイメージしてもらう内容とします。
 また、夫婦が共に働きながら家事や子育てを一緒に行いたいという若者の希望をかなえるため、経済産業部との連携により県内企業の職場環境づくりを進めます。経営者の意識改革を図るイクボス養成講座の開催や多様な働き方の導入に向けたアドバイザー派遣等により子育て中の女性のキャリア支援、男性の育児休業取得等を促進してまいります。
 さらに県では、結婚を希望しながら出会いの機会がないという若者の声に応えふじのくに出会いサポートセンターによるお相手とのマッチングサービスを提供するとともに、結婚に伴う新生活のスタートを経済的に応援するため市町と共に新居の準備費用等の支援を行っております。
 こうした施策の推進体制としては、森副知事をトップとするふじさんっこ応援推進本部において各部局の取組を共有し必要な調整を行いながら進めてまいりました。来年度は国の新たなこども大綱を踏まえ推進本部として県のこども計画を策定することとしており、今後も全庁を挙げて教育、雇用、住環境整備、移住・定住など多分野にわたる少子化対策を進めてまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 佐地茂人君。
       (三十六番 佐地茂人君登壇)
○三十六番(佐地茂人君) 御答弁頂きありがとうございます。意見、要望を申し上げます。
 ぜひですね、日本一の先天性難聴児の対策を進めていただいてこの静岡から発信をして世界、アジアからも療育にですね、診療、治療それから療育に来られるようなそういう、そこまでいくぐらいの力の入れ具合を期待したいと思っています。第二ステージへの強力な推進を期待しておりますのでぜひお力添えよろしくお願いしたいと思います。
 それから、少子化対策等についてなんですが私も今までさんざん訴えてきた内容の項目なんですけれども少し諦め加減もあったんですが、ここでとにかく本気でやっていきたいという覚悟を改めて申し上げて皆さんと一緒にまたこども計画を作成できればなというふうに感じておりますのでよろしくお願いします。
 それでは次の質問に入ります。
 次に、静岡大学の在り方と静岡県の将来の高等教育についてお伺いをいたします。
 私は、静岡大学、浜松医科大学が県内全域のバランスを保ち高等教育機関として中心的な役割を担い今以上に充実した若者の人材育成と県内への輩出を望んでいます。全体として学部が増えるとか機能が向上することを求めていけばそれぞれの地域のためになるし、県内各地域のあるべき高等教育を推進していくことができれば形にこだわることではないし、静岡市民、浜松市民だけではない県民全体のためになるビジョンを期待しています。
 そういう意味では、物事の本質を考えず地域の意見を聞かずビジョンがなく形だけに先行して合意書を締結したことは今なら取り返しがつくことであると思います。
 一法人二大学が実現すると、一方の大学の学長が大学法人の理事長になり経営権を預かることになる可能性もあるため静岡地区の大学、浜松地区の大学の学長はともに理事長が決めることもあり得ます。本部の所在地は浜松になる可能性もあります。
 一法人二大学案では五学部の大学と三学部の大学になり静岡地区と浜松地区に分かれた大学となってしまいます。これでは浜松医科大学が医学、工学、情報学が主体の大学になるメリットに対して、五学部に縮小する静大では、例えばスケールメリットが縮小しグローバル化への対応でも留学生の受入れを行うためのプレゼンスや国際的なアプローチが弱くなり留学生も減ることでしょう。一方で、八学部を擁する大学になれば現在の県内大学の医工連携にとどまらず近隣の他の大学と広く連携することが可能となります。
 また静岡大学が公表している最新のデータでは静岡キャンパスは県内出身者四割を超えた進学先となっています。学部生の卒業後の進路を見ると、静岡キャンパスの学生は五割以上が県内にとどまるのに対して浜松キャンパスの学生は二割ほどしか県内にとどまることができません。二つの大学になれば学生の県内定着率にも減少という変化が生じることが予想されます。
 東部地区に関しては、ふじのくにCNF寄附講座や静岡大学未来社会デザイン機構による静岡大学東部サテライトのように知の財産である高等教育としてどのように産業発展や文化学習の向上に貢献していただけるのかが重要であり、バランスを持って形が決まってほしいと願っております。
 そこでお伺いをいたします。
 静岡大学と浜松医科大学再編について、県内全域の高等教育の在り方としてどのように考えますか、お答えください。
 静岡大学将来構想協議会のまとめでは、国が進めている大学等連携推進法人制度を活用した県内の他の大学との連携強化などの方策について併せて検討してほしいこと、遠くない未来に例えば静岡県内の国公私立大学の学長、静岡県知事、県内市町の長、地域を代表する企業の代表者、さらには県内高等学校関係者等による協議会を設けて、県内にとどまらず日本から世界につながるような視点で議論が広がってほしいと記載されています。私はここが本心なんだと確信しております。
 そこでお伺いをいたしますが、このような協議会までいかずともせめて駿河の沼津高専や県内の各大学と膝を突き合わせて考える場を設置するお考えと、国立二大学を含めた県内全域のあるべき高等教育の将来についてそのお考えを教えてください。
 次に、行政代執行による土砂の撤去について質問します。
 今回は、熱海市伊豆山地区の土砂災害に関する土の処理、島田市福用地区の林地開発許可条件違反、杉尾・日向地区の違法盛土の三地区の行政代執行について詳しくお尋ねします。
 熱海市伊豆山地区の土砂処理につきましては、土と廃棄物を分別して最終的には廃棄物は処理施設へ、土は埋立計画があった熱海港へ埋立てを行いました。そして現在は危険箇所の土を崩して分別せずトンパックでおよそ一・八万立米の汚染土を処理業者へ委託し、土壌汚染対策法にて千葉県で処理しているとお聞きしております。
 島田市福用地区は、採石事業で活用した残りの採石くずが盛土されているということでありますが、成分分析を行っておらず戻されたくずの成分はどのようなものであるのか気になるところです。また土砂災害防止のため、のり面工事等を行えば莫大な費用がかかることも懸念材料です。
 杉尾・日向地区の違法盛土は、盛土された土がどこから搬入されたのかは気になるところでありますが、周辺地域の方からはその匂いから動物の死骸や水産廃棄物等も混入しているのではないかと聞きました。六月の台風二号や三号等大雨の影響で有害物質が流れ出ていないか心配であります。
 本県の盛土条例では、処分する際は土地の履歴等搬入土砂に汚染のおそれがないことを確認する必要があり、土砂基準に適合しない土砂の処理をするには廃棄物の最終処分場や土壌汚染対策法による汚染土壌処理施設で処理することとなります。処理の手法、工法は三者三様でどのような処理が適法であるのか場所や内容の解釈によって異なり正直難しいと感じております。また行政代執行の処分土砂を公共工事で転換利用をするという話も耳にしております。
 そこでお伺いをいたします。
 なぜ、この三か所の行政代執行を実施しなければならないのか理由について教えてください。撤去する土砂はどのような成分が含まれていますか、処理する手法の法的根拠をお示しください。なぜその手法を活用するのか、また処理はどのように行われますか、土の行き先、処分先はどこになるのか、盛土条例に違反していないのか、どのくらいの土を処理するのか、処理するための費用はどのぐらいかかるのか、いつまでに処理するのかスケジュールを教えてください。
 行政代執行について最後の質問になりますが、本来は土地の所有者や管理事業者が処理すべき土を違法な残土処理や置場の責任を取らずに撤退して行政が行うことが当たり前になってしまっては本末転倒であります。盛土対策課が公表した違法盛土だけでも百六十三か所あるとお聞きしております。県民の大切な税金を活用するわけですので今後の行政代執行の費用の徴収については厳格に計画的に進めるべきと考えますが期日等はどうなるのか、どのように進めていくのか、以上についてそれぞれのケースでお答えください。
 続きまして、リニア中央新幹線の建設推進について建設発生土の処理について質問します。
 リニア工事の約三百七十万立米の発生土処理については、三百六十万立米をツバクロに積み上げ、その高さは七十メートルという盛土としては異常な高さで埋立てを行います。残り十万立米は自然由来の重金属が含まれる可能性があるため下流の藤島で要対策土として二重の遮水シートにより有害物質の流出を防ぎ対応する、これがJR東海の計画であります。
 本県は昨年施行した盛土条例を引き合いに出し、要対策土を藤島で処分するJR東海の現計画は条例上認められない旨を伝えたのであります。
 そこでお伺いをいたします。
 この盛土条例を施行すればリニア工事ができなくなることを先にJR東海に伝えていましたか、また土砂災害防止と環境保全はできる限りの努力をJR東海に求めるべきではありますが、トンネル掘削土など土壌汚染対策法対象外となる基準不適合土砂  要対策土ですね  については土壌汚染対策法に準じて処理するか盛土条例にのっとって処理を行うことになりますが、リニア工事における重金属を含む発生土処理について本県はどのようにお考えですか、お答えください。以上、答弁を求めます。
○副議長(鈴木澄美君) 森副知事。
○副知事(森 貴志君) 行政代執行による土砂の撤去について熱海市伊豆山地区、島田市福用、静岡市杉尾・日向地区の順でお答えいたします。
 熱海市伊豆山地区の落ち残りの土砂につきましては、調査の結果盛土が安定しておらず崩壊の可能性が高いと認められました。このため昨年八月、原因行為者に対し盛土条例に基づき不安定土砂の除去を命令しました。そしてこれに従わなかったため行政代執行に着手いたしました。
 この盛土の土壌調査の結果、土壌汚染対策法の基準値を超えるフッ素等が検出されましたので同法に沿って汚染土砂を千葉県の処理施設へ輸送し処分をいたします。撤去する土砂量は約一万九千立方メートル、撤去、処分の費用は約十一億円です。なお、処理施設での処分の完了は令和六年二月を見込んでおります。
 島田市福用につきましては、盛土のある採石場跡地からの直下の国道に土砂の流出が頻発していたことから、昨年八月原因行為者に対し森林法に基づく復旧を命令しました。そしてこれに従わなかったため行政代執行に着手いたしました。
 この箇所は、特定有害物質による汚染のおそれがなく、また外部から土砂が持ち込まれていないので現時点で土壌調査は実施しておりません。土砂は事業地内で安定勾配に盛り直し外部には搬出しない方針です。現在、応急復旧を行っております。本復旧に向けた土砂の処理やスケジュール等につきましては、今後地質調査の結果を踏まえ、計画してまいります。
 静岡市杉尾・日向地区の盛土につきましては、調査の結果盛土が安定しておらず崩壊の可能性が高いことが確認されました。このため今年四月、原因行為者に対し砂防指定地管理条例に基づき原状回復命令を行いました。期限までに履行がなかったことから現在行政代執行の手続を速やかに進めております。
 試掘調査で盛土から土壌汚染対策法の基準値を超えるフッ素等が検出されましたので、現在詳細な土壌調査を続けているところであります。土砂の撤去の方法や処分法、処分量、処分費用、スケジュールなどにつきましては調査の結果を踏まえ土壌汚染対策法を所管しております静岡市と協議を進めてまいります。
 これら行政代執行の費用は、工事の完了後に行政代執行法に基づき原因行為者に期限を指定して納付を命じることになります。期限までに納付されない場合は督促などをした後、財産の差押えなどにより徴収してまいります。
 不適切な盛土行為を決して許さず今後の抑制につなげるためにも、引き続き厳正な態度で臨んでまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 村松スポーツ・文化観光部長。
○スポーツ・文化観光部長(村松毅彦君) 静岡大学の在り方と静岡県の将来の高等教育についてお答えいたします。
 人口減少や産業構造の転換など社会経済状況が大きく変化する中、高等教育機関は地域における教育機会の確保や地域社会を担う人材育成などにより課題解決に積極的な役割を果たすことが期待されています。
 現在、静岡大学及び浜松医科大学では学内外で協議会等を設置し大学の将来像や振興策について検討しているところであります。まずは両大学において十分に議論を重ね、地域における学生の教育や教員の研究にとって最良な方策を検討していただきたいと考えております。
 また、本県では高等教育機関相互の連携を深め行政、産業界などと広範なネットワークを形成し地域社会の発展に寄与していくことを目的に、ふじのくに地域・大学コンソーシアムを設立しております。このコンソーシアムには県や市町のほか静岡大学、浜松医科大学、沼津高専など県内全ての二十一の高等教育機関が参加しており、学長連絡会議等の場を設けて産学官の連携強化に向けた効果的、具体的な政策を協議しております。
 その一例として、本県の産業や富士山、お茶、伊豆の温泉をはじめとした地域資源を学ぶ単位互換授業を行うなど県内全域でバランスのとれた高等教育を推進しております。また留学生の就職支援や日本人学生の海外留学の促進などにも取り組んでいるところであります。
 県といたしましては、ふじのくに地域・大学コンソーシアムを通じて高等教育機関相互や行政、産業界など様々な主体と連携して県内全域で学びを展開することで、地域の産業振興や課題解決に寄与する人材を輩出し高等教育の底上げに取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 高畑くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(高畑英治君) リニア中央新幹線の建設推進についてお答えいたします。
 静岡県盛土等の規制に関する条例につきましては、条例等を定める際に特定の事業者に個別に説明することや意見を求めることはしておりませんが、県議会の開かれた場で御審議頂くとともにパブリックコメントを実施し広く条例案等をお示ししております。
 要対策土につきましては盛土条例では「何人も、土砂基準に適合しない土砂等を用いて盛土等を行ってはならない」と規定しておりますが、環境汚染の拡散を防止するという条例の趣旨に反しないものは適用除外としております。
 具体的には大きく二つの場合があり、一つは法令により認められた汚染土壌処理施設等で行う盛土等、もう一つは許認可等の手続により認められた事業の区域内で採取された自然由来の土砂等のみを用い、その事業の区域内で封じ込め等の措置が行われ継続的に管理される盛土等です。これまで県の地質構造・水資源専門部会において、域外処理やオンサイトでの無害化処理も提案されています。
 県といたしましては、こうした意見も踏まえ盛土条例に適合した発生土処理計画を検討されるようJRとの対話を進めてまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 佐地茂人君。
       (三十六番 佐地茂人君登壇)
○三十六番(佐地茂人君) 御答弁頂きありがとうございます。
 大学関係で一点、それからリニア建設について三点再質問をいたします。
 まず、大学についてですが地域・大学コンソーシアムで行っているという形で、その中で企業や市町と連携するという話でありました。御答弁は。
 私のほうは知事、市町長ですね、また有力な地元企業と将来の静岡県のあるべき高等教育を話し合うような場があればいいんじゃないかという御提案をさせていただいたんですが、それについてはどのようにお考えいたしますか、お答えください。
 続きまして、リニア建設推進について再質問をいたします。
 私ですね、条例の中の要綱の部分が非常にリニアの建設推進にはなかなか規制をかけているように感じているわけなんですが、重金属の囲い込み対策の一部変更と事業区域の変更等によるリニア工事は可能であるという形でよろしいでしょうか。
 また、本来事業区域の指定は静岡市にあるものではないかと考えますが、どのように考えますか。
 さらに、条例中の知事が適切と認めるものを講じた上で行う盛土等とは、これ条例の中ですね、盛土を行う場所や手法、工法はその箇所ごとに違いがあり、国のガイドライン等、その場所、内容によって判断するものであると考えます。そのときそのときにですね、国のやり方で。先ほどの答弁でもそのような形で伝えておりました。県は国の法施行等を待つことなくどうしてこのような要綱の中で条例以上の規制をかけるような、全国ではどこにもない事業区域の指定をされたのかお答えください。以上、答弁を求めます。
○副議長(鈴木澄美君) 村松スポーツ・文化観光部長。
○スポーツ・文化観光部長(村松毅彦君) 静岡大学の在り方と静岡県の将来の高等教育についての再質問にお答えいたします。
 本県では、平成二十六年にふじのくに地域・大学コンソーシアムを設立し県内全域にわたる大学間連携の推進にいち早く取り組んでいるところでございます。
 先ほど答弁申し上げましたとおり、このコンソーシアムには県、それから市町、それから全ての県内の大学、高等教育機関、それから産業界の方にも入っていただいております。平成三十年には県内の経済四団体と包括連携協定を締結しておりまして、地域人材育成について活発な意見交換もしているところでございます。
 まずは、この大学コンソーシアムの場を活用してですね、大学と大学との連携による課題解決、地域振興、研究機能こうしたもののですね、強化について議論を深めていきたいと思います。以上でございます。
○副議長(鈴木澄美君) 高畑くらし・環境部長。
○くらし・環境部長(高畑英治君) リニア中央新幹線の建設推進についての再質問にお答えいたします。
 法令により認められました汚染土壌処理施設等で行う盛土は、要対策土を用いた盛土の禁止の適用除外になりますので可能となります。この場合、施設について設置場所の静岡市の許可を受けることが必要になります。
 事業区域でございますけれども、許認可等の手続において認められた事業の区域というのは南アルプストンネル工事で言いますと全国新幹線鉄道整備法の認可を受けた工事計画の区域となります。この認可は国土交通大臣が行います。環境汚染の拡散防止という条例の趣旨に合致しない場合は、条例の適用除外と認められるものにはならないと考えます。
 要綱でございますけれども、要綱は条例の生活環境の保全上の支障を防止するための措置として知事が適切と認めるものというのを具体的に示したものでありまして、条例以上の規制をかけているものではありません。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 佐地茂人君。
       (三十六番 佐地茂人君登壇)
○三十六番(佐地茂人君) 御答弁を頂きありがとうございます。
 ただいまの答弁に対しての意見なんですが、四年前に大学の在り方について質問したときの答弁と全く一緒なんですね。大学コンソーシアムでやっていくと。四年間、これから先もっとスピード感を持ってこの静岡県全体の大学の、高等教育の在り方をこれから考えなきゃいけないと僕は思っています。ぜひまたその取っかかりをですね、今年考えていただければと思っております。
 それでは、次の質問に入ります。
 中学校の部活動支援について質問します。
 スポーツ庁及び文化庁は、令和四年十二月に学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドラインを示したところ、国のガイドラインでは休日の学校部活動の地域連携や地域移行の達成時期は設けず令和五年度から七年度を改革推進期間とし、既に県内各市町では様々な形の部活動の在り方への取組が行われているところであります。市町の実情に合ったやり方で進めることを是としながらも、一方では部指導者が足りないという課題や市の予算で外部指導者を依頼することができない学校では保護者会費で指導者謝金を負担する等保護者負担が大きくなっている実態があります。
 また、外部指導者には様々な種類があり教師とは違い、与えられた資格の範囲でどこまで指導したらよいか分からないとか、今まで教員が担当してきた保護者へのトラブル対応等を外部指導者だけで対応できるのかとの不安の声もあります。
 令和五年二月に県教育委員会が策定した学校部活動の地域連携や地域クラブ活動の在り方等に関する方針では学校の設置者として市町の取組について示されておりますが、地域クラブでは市町をまたいで所属する生徒もおり、クラブ間で生徒を奪い合うようなことは少子化に対応した部活動改革の趣旨にも反します。今後市町間の調整が必要となることも考えられるのではないでしょうか。
 そこでお伺いをいたします。
 中学校の部活動支援について、今後各市町の取組に対してどのように県が牽引し支援していきますか、また今後公立私学学校部活動と地域スポーツクラブ、民間クラブチームなど様々なチームが県中学総体へ参加していくことになりますが、運営等どのようになりますか、お答えください。
 続きまして、東静岡駅南口県有地の整備について質問します。
 東静岡駅南口のロータリーの西側の県有地は二・四三ヘクタールあり、うち〇・九七ヘクタールに新県立中央図書館が建設され残りとも言える将来活用予定地は一・四六ヘクタールであります。私はこの将来活用予定地は駅前周辺整備にふさわしい土地の高度利用等を踏まえた都市計画でのにぎわい創出や民間活力をフル活用した整備を行い、土地の有効活用をしてほしいと願ってやみません。コンパクトシティーとするならば、県有財産として全ての部局で県施設を設置、検討することもよいと思いますし、県立大学等の大学誘致も中心市街地の利活用としては有効であると考えます。
 いずれにしても、この残された県有地の活用は図書館の完成を待つことなく、日常密着施設や生活利便施設、近隣住民対象施設や周辺の民間専門学校等の学生や若者たちも交流し人がにぎわう空間としての計画が早急に必要ではないでしょうか。
 そこでお伺いをいたします。
 将来活用予定地一・四六ヘクタールの整備について、本県はどのようにお考えですか、またその整備をどのように進めていこうとお考えですか、お答えください。
 次に、質問項目の最後になりますが静岡南警察署の建て替えについてであります。
 静岡南警察署のインフラ整備につきましては、長田地区が加わり管轄区域の拡大による狭隘化対策や、エレベーター設置によるバリアフリー化、移転先の決定による優位性、何よりも施設の老朽化による建て替えについて質問を継続してきました。静岡南警察署の建て替えはその緊急性は築四十一年の経過だけではなく多くの警察官と県民の活用により劣化も激しく、狭隘化とバリアフリー等の必要性などにより待ったなしの状況であります。
 一方で、静岡南警察署は事件や事故が多いことが挙げられます。築四十年以上経過している警察署のうち静岡南警察署の令和四年中の交通事故件数は一番多く、刑法犯認知件数は二番目に多く、老朽化に加え事件、交通事故が多い警察署であり、やはり早期に建て替えが必要であると考えます。
 そこでお伺いをいたしますが、静岡南警察署の建て替えについてはどのような設備をお考えでしょうか。また今後老朽化する警察署の建て替え計画の策定が必要と考えますが、どのようになりますか、お答えください。以上、答弁を求めます。
○副議長(鈴木澄美君) 水口教育部長。
○教育部長(水口秀樹君) 中学校の部活動支援についてお答えいたします。
 学校部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行につきましては、本年二月に県の方針を示し各市町の協議会設置による課題検証や実証への支援を行っております。現在十四市町が協議会を設置し、九市町が今年度内に設置予定となっております。
 地域連携、地域移行につきましては、市町単独だけでなく複数市町間や民間との連携なども視野に入ることから、今後協議会では事情に即した可能性の検討を進めてまいります。県教育委員会は各協議会への助言を行うとともに、複数市町の連携等について積極的に関与し調整を行ってまいります。
 また、課題となる指導者の確保につきましては部活動指導員の配置支援や指導者研修を行い、競技団体や民間クラブの協力を頂いた広域的な連携体制についても市町と連携して検討いたします。
 県中学校総合体育大会につきましては、中学校と地域スポーツクラブが県中学校体育連盟に加盟した上で大会が開催され各校、各クラブの指導者が大会役員として運営に当たります。県教育委員会も運営に参画し生徒が安心して参加できる大会となるよう調整いたします。
 県教育委員会といたしましては、スポーツ、文化芸術活動に親しむ機会となり人間形成の貴重な場となる部活動の地域連携や地域移行について引き続き市町教育委員会と連携し、生徒を中心に置いたよりよい教育環境の整備となるよう丁寧に進めてまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 村松スポーツ・文化観光部長。
○スポーツ・文化観光部長(村松毅彦君) 東静岡駅南口県有地の整備についてお答えいたします。
 東静岡駅周辺地区につきましては、平成二十七年三月に取りまとめたふじのくにの「文化力」を活かした地域づくり基本構想において、周辺に集積する学術、文化芸術、スポーツ施設との相乗効果を生む地域の拠点として多様な交流とにぎわいを生み出す文化とスポーツの殿堂の形成を目指すこととしております。
 このうち、南口県有地につきましては民間活力の導入が重要と考えており、令和二年度から四年度にかけて建設事業者をはじめ飲食や物販事業者など民間事業者延べ四十一社に対し聞き取り調査を実施してまいりました。
 民間事業者からは、駅に隣接し周辺道路も整備され魅力的であるとの御意見があった一方、周辺に人が集う場所が少ないことやコロナ禍でコンベンション施設の需要が減少していることなどを理由に積極的な投資を控えているとの御意見もあり、本格的な民間投資を期待することが難しい状況でありました。
 しかしながら、デジタル化の進展などコロナ後の社会経済情勢が大きく変化していることから今までに想定しなかった活用事例も期待されます。また新県立中央図書館や静岡市が検討中の駅北口のアリーナの整備により駅周辺の回遊性の向上も見込まれることから、まずは改めて民間事業者への市場調査を実施し参入の意向や新たな需要、事業の実施条件等を把握した上で南口県有地の効果的、具体的な活用策を検討してまいります。
 県といたしましては、引き続き静岡市とも情報を共有しながら、新図書館整備と並行して東静岡駅周辺地区が多彩な人々が集まり、にぎわい、交流できる魅力的な場所となるよう取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 大原警察本部長。
○警察本部長(大原光博君) 静岡南警察署の建て替えについてお答えいたします。
 初めに、建て替え後の設備についてでありますが、議員御指摘のとおり管轄区域の拡大による狭隘化、エレベーターが未設置であるなどの問題があるほか、事件事故が多いことも十分承知しております。
 そこで、今後建て替えが具体化した場合には、これらの問題を解消すべく、地域住民の皆様の利便性や時代の要請を踏まえた適切な設計となるよう心がけてまいります。
 次に、老朽化する警察署の建て替え計画についてお答えします。
 静岡南警察署の建て替えについて現段階、具体的な計画の策定に至っておらず、同署も含め県下全警察署について築年数順を原則としつつ、災害対策の要急性など個別の事情を加味した建て替え計画の研究を進めている段階にあります。
 そうした研究を進める中で、用地の取得等の条件次第では建て替え順を柔軟に前後させる可能性も視野に入れてまいります。以上であります。
○副議長(鈴木澄美君) 佐地茂人君。
       (三十六番 佐地茂人君登壇)
○三十六番(佐地茂人君) 意見、要望を申し上げます。
 私の地元の小学校にですね、もう昔からよく頑張っている小学校のブラスバンドがあるんですね。これがクラブ活動というよりもどちらかというと部活的な感じの内容で、先生がよく指導をしていただいています。小学校の教員が主導で行ってきた地域独自の部活、クラブについては児童の活動機会が失われることがないように継続できることも併せて望んでおります。小学校の部活、クラブの存続についても必要があれば御支援頂きたく思います。
 中央署、そして南署の建て替え、期待しておりますのでよろしくお願いいたします。以上で全ての質問を終了します。